食べない
ねねちゃんはうちの子になった2019年9月から病気になった2020年7月までの間、まともに食べ物を食べたことがありません。
いやそんなばかな、と思いますよね。私もそう思います。
でも食べないんです。
ねねちゃんが初めてうちに来た日、保護主さまが帰り際に”ねねちゃんちょこちょこ食いなんですー”とおっしゃいました。ちょっと気になりました。
でも、多少少食でもそこは野生動物、自分に必要な栄養は摂るだろうと高をくくっていました。
当時のねねちゃんは離乳食からカリカリに切り替えが始まった頃でした。
うちの子になった初日、食べません。緊張しているからだと思いました。
2日目、食べません。お腹が空いたらそのうち食べるだろうと思いました。
3日目、食べません。困った…
この頃摂取できていたカロリーは、なんとか無理やり食べさせても1日20kcalいくかいかないかだったと思います。
その状態が4日、5日、1週間、2週間と経つ中で、はじめのうちは”お腹が空いたら食べるだろう”と思っていた私も、”この子は餓死しても食べない”と確信するようになりました。
そこから闘いの日々が始まりました。
カリカリをふやかしたり、ウエットフードを与えたり、ミルクに戻してみたり。
当初はねねちゃんには体に良さそうなプレミアムフードだけを与えたいと思っていましたが、そんなことは言っていられなくなりました。
ジャンクフードでも食べないよりまし。人間の食べ物でも死ぬよりはまし。
そう思ってありとあらゆるものを与えました。
キャットフードはネットに食いつきがいいと口コミが記載されているものを片っ端から試しました。
最初のひとくちふたくちは食べるんです。でもそのあとは”これいりませーん”と砂をかける仕草をしてもう2度と食べません。
開封してひとくちだけ食べたフードがどんどん溜まっていきました。
ちゃおちゅーるなら喜んで食べるでしょ、と思いますよね?
でも食べないんですよ。
なんでもいいからとにかく少しでもカロリーを摂らせようと捕まえて無理やり舐めさせていたため、ちゅーるを見ると逃げるという稀有な猫になりました。(それでも無理やり舐めさせているうちにあまり嫌がらなくなりましたが)
獣医に相談したりペットフード会社が無料で行っている電話相談を利用をしたりもしましたが、総合栄養食を色々試してくださいと言われるだけで打開策は見出せませんでした。
成長期の猫の栄養が不足すれば将来的に深刻な影響を与えることが懸念されましたが、明日の命が保証されないとなれば偏っていてもとにかく何か食べさせるしかなく、唯一多少は食べる気になってくれた鶏ささみにちゅーるをつけて食べさせるようになりました。
はじめのうちはそれも1日20g食べるのがやっと。
生後10か月を超えた頃には1日にささみ1本を食べられるようになりましたが、すぐに食べることに飽きてしまうので何度かに分けて、それもちぎりながら手で与える必要がありました。
猫が鳥を捕まえて食べる場合、血や内臓や骨も一緒に食べることでビタミンやミネラルを摂取できます。
精製されたささみだけを食べているねねちゃんが長生きできるはずもなくいつ死んでしまうかわからない。
私は常にねねちゃんとの別れを意識していました。
ねねちゃんが眠るとき、私が眠るとき、次に目を覚ましたらねねちゃんは冷たくなっているかもしれない…いつもそう思っていました。
生後2か月を迎えられるか、4か月を迎えられるか、避妊手術が必要な時まで生きていられる気がしない…不安な日がずっと続きました。
ねねちゃんが1歳になるということは期待も想像もできませんでした。
だからこそ、ねねちゃんとの1分1秒は大切でした。
長生きはできないかもしれない。でも、ねねちゃんが今日1日楽しかった!と思える日を積み重ねていこうと、生活のすべてにおいてねねちゃんを第一優先にして過ごしていました。
ちなみに…
見てないところで他の猫の餌とか食べてるんじゃない?と思われた方もいらっしゃると思います。
確かにうちには他に2匹の猫がおり、餌は出しっぱなしにしています。
でも心配だった、かつ暇だった私は24時間ねねちゃんを見張っていたので、与えたもの以外を食べていたという可能性はありません。
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