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【新刊試し読み】 『インド超特急!カオス行き』|嵐 よういち

旅行作家嵐よういちさんの著書『インド超特急!カオス行き』が12月13日(水)に発売されたことを記念してまえがきを公開します。



本書について

広大なバーラトの大地を、飛行機やバスを使わず列車だけでぐるり一周してやる!
インドの混沌パワーに辟易し「二度と行きたくない」と言い放っていた旅作家の嵐よういちが、13年ぶりに彼の地を旅した。インド鉄道は過酷か?天国か? 遅延・キャンセル当たり前、過酷な暑さ寒さ、ヒドいトイレや変な乗客に耐え、無事に旅を完遂できるのか……。筋金入りのバックパッカーが挑んだ混沌と憤怒と灼熱の鉄道紀行。


試し読み

まえがき
 殺人的な暑さだ!
 ニューデリーの空港から一歩外に出た瞬間、俺は来たことを早くも後悔した。スマホで気温を調べると42℃。おまけに世界で一番空気汚染が酷いとされているこの街は、空気を吸うだけで不快感が増してくる。空港に降り立った時から相棒のホッシーは咳を連発しているし、この旅に早くも不安感が漂ってくる。

 インドと聞いて、皆さんは何をイメージするのだろうか? カレー、ターバン、象、そんなところだろうか。だが実際に訪れると、そんなことはどうでもよくなるほど刺激的すぎる国だ。昔からインドはハードだと旅人の間では知られている。人は一筋縄ではいかず、ぼったくりにあい、腹痛も起こり、激しい下痢を発症して仕方なく帰国してしまう人もいる。
 俺は過去三回も訪問しているが、感想は「嫌いで二度と行きたくない」だった。
 インドは一回ハマると何回も通ってしまうようだが、俺の周りの旅人は酷い思いをして二度と御免だという人が多い。俺もそのタイプだ。そんなこんなで俺は13年間も行っておらず、これからも訪問することはないと信じていたのだが、他国を旅しているうちに無性に刺激が欲しくなってきた。普通の国はある程度の常識が通じるため、それが当たり前になりマンネリ化してしまう。その反面、インドは日本人の常識は通じず、正直わけがわからないことばかりだ。行けばストレスがマックスになるのは確実だが、なんだか刺激を求めている自分がいた。これがインドの魅力、魔力なのかもしれない。それにイベントなどの発信する場所ではインドの話はウケる。旅人同士の話でもとにかく盛り上がり、なんだかよくわからないがインドには助けられている部分はある。
 「嫌い」だけで済ますことはしないで、今回、インドを一周して改めてゆっくり見てこようと思った。思い出だけでその国を批判しても恰好悪いし、一応、旅行作家を名乗っているからには、13年ぶりに変化を見てこよう。それにはテーマが必要だ。俺は列車に乗るのが好きで世界中で利用しているのだが、皆に意外な顔をされるのは、インドの列車には一度も乗ったことがないのだ。よし、じゃあ列車でインドを一周しようじゃないか。現在、インド鉄道はネットで予約が出来る。キャンセルや遅延も多いようだが、もしトラブルが起きて乗れなかった場合は……その時に考えればいい。
 インドのことを好きになれるとは思わないが、少しでも理解したいし、今までの誤解などを払拭したい。それが目的でもある。
 今回のコースは全て列車で移動する。首都のニューデリーからスタートし、南下してジャイプール、更に西のムンバイへ。そこから反時計回りにプネー、ゴア、コーチン、チェンナイ、コルカタ、バラナシ、そして最後にニューデリーに戻ってくるルートだ。およそ5週間はかかると見ている。
 どんな旅になるかお楽しみいただきたい。


列車が入線してくる。コーチンにて。ユーイチ撮影
インド鉄道の上から二番目のクラスの座席です。
上段はあまり居心地良くないです



目次

まえがき
第1章 混沌のニューデリー
第2章 ピンクシティー ジャイプール
第3章 3回目のムンバイ
第4章 旅行者が行かないプネー
第5章 開放的なゴア
第6章 共産党の旗がはためくコーチン
第7章 インド4大都市の一つ・チェンナイ
第8章 魑魅魍魎のコルカタ
第9章 ガンジス川を誇るバラナシ
第10章 そしてゴール ニューデリー
あとがき


著者紹介

嵐 よういち
東京都杉並区出身。 20歳からイギリス、アメリカへ留学。その後、海外を放浪する。訪問国は93ヵ国。特に好きな地域は南米。 著書に『海外ブラックロードー危険度倍増版―』『海外ブラックマップ』『世界中の「危険な街」に行ってきました』『未承認国家に行ってきた』『おそロシアに行ってきた』『ウクライナに行ってきました』(いずれも彩図社)などがある。 哲学――楽しくなけりゃ、人生じゃない。



インド超特急!カオス行き
【判型】B6変型判
【ページ数】272ページ
【定価】本体1,485円(税込)
【ISBN】978-4-86311-390-9


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