20皿目 “くまもと牛 vs くまもと豚” ぎゅーぎゅー亭|元気の出るカツカレー
くまもと牛 vs くまもと豚
アニメ『放課後ていぼう日誌』で有名な芦北町をご存じでしょうか? 私は恥ずかしながら知りませんでした。人口約18,000人、デコポンや甘夏が名産で、八代海に面した自然豊かな町は、人気漫画・アニメの舞台となったことでここ数年、活気づいているそうです。
今回取材に訪れたのはその美しい海、ではなく、かつて薩摩街道の宿場町として栄えた佐敷地区です。
この日の昼食は名店や老舗に寄り道している時間はない、ということで、道の駅で済ませることに。選んだのは、「道の駅芦北でこぽん」にある「ぎゅーぎゅー亭」。
「あしきた牛」というブランド牛が名産のようで、高級な焼肉セットから手頃な焼肉定食、ほかには天丼やミックスフライ定食、蕎麦まで取り揃えています。どうやら、“焼肉レストラン”ではなく“レストランand焼肉”ということみたいです。
何にしようかなーとメニューを眺めて、「あしきた牛カレー」というメニューを発見した時、もしかして……と思ってさらに探してみると、やはりありました。ヒレカツカレー! こうなってしまうと、焼肉屋さんだろうが、牛が名産だろうが、関係ありません。選択肢はただ一つ、カツカレーのみです。
店内の説明によると、カツカレーに使われる「りんどうポーク」というのも熊本の名産とのこと。緑豊かな大地に咲く県花「りんどう」のように、くまもとを代表する銘柄豚なのだそうです。
到着した一皿は、銘柄豚のヒレカツにふさわしい、上品な佇まい。(なんとなく、「とんかつ」より「ヒレカツ」の方が上品な感じがしませんか?)サラダやスプーンまで上品に見えます。
まずは、黒々としたカレーから一口。甘味がまず口の中に広がって、その後少しピリッとしますが、味にコクがありとても美味しいです。あしきた牛のうまみが入っているのでしょうか、奥行き、深みのある旨さです。
次にヒレカツ。この取材をするようになってから、「ヒレカツカレー」は初めてかもしれません。この断面を見てください。
無駄な脂がなく、それでいて柔らかくてジューシー。欧風カレーのルーと相性抜群です。カツとカレー、どちらもガツンとくる味ではないのですが、二つが合わさった時、なんともいえないハーモニーを醸し出すのです。たまにはヒレカツもいいですね。
正直なところ、となりのテーブルから漂ってくる「あしきた牛」の焼ける匂いにずっと後ろ髪をひかれていたのですが、カツカレーを信じて間違いはない、と思わせてくれる一皿でした。
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