悪いおっぱいと言われて16年
初めて乳がん検診を受けたのは30代になってからだった。
勤め先近くにある健康診断クリニック。オプション(当時500円)で乳がん検診を追加した。
最初の2年間は触診だけだった。部屋も煌々と明かりがついていたような気がする。やっぱり恥ずかしかった。
結果は問題なし。
そして3年目。この年は女性が担当だった。触診ではなく初めから超音波検査。薄暗い診査室の中でしっかりと時間をかけて丁寧に診てくれているなぁと思っていたら...結果は要検査。
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乳腺専門のクリニックを受診。女性のドクターをあえて選んだ。気持ちがわかってくれるだろうという想いがあった。
同日にマンモグラフィーと超音波検査。たくさんの石灰化とのう胞が見つかった。さらに細胞診が追加された。後日MRI検査する為、大きな病院への紹介状を書いてもらった。先生から
「あなたのおっぱいは悪いおっぱいです」
といわれた。
全ての結果が出るまでとても怖かった。彼にも知らせた。MRIの結果次第では、カナダ移住も諦めようと思っていた。
がん細胞は見つからなかった。とはいえ、乳腺の状態がよくなるわけではない。早期発見・早期治療のために定期的に検査をしていくようにとアドバイスをもらった。
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そして2021年。16年ぶりに細胞検査(マンモトーム生検)をうけることになった。超音波で8mm大のグレーゾーンのものが見つかったからだ。
早期発見、早期治療開始の為に定期的に検診を受けてきた。食生活もガラリと変えた。やれるだけのことはやってきたから、結果がどうなろうとも後悔はない。もし陽性でも早期発見できたんだからと思いながら報告を待った。
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2週間後の検査結果は陰性だった。6つのサンプルのどれからもがん細胞は検出されなかった。半年後に超音波検査でフォローアップ。問題がなければ、年に1度のマンモグラフィー検査をする診療プランに変わることになる。
2005年に私の胸は『悪いおっぱい』という烙印を押された気分だったけれど、それから16年間カナダで無事に過ごしてきた。もう『悪いおっぱい』という名前からは卒業していい。そう思った。
これから先も、私は私のおっぱいと一緒に生きていく。
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