44:コンビニ人
深夜どうもやる気がなくて、
徒歩で出かけるサンダルと。
アパートの沼をくぐり抜け、
荒い私道を踏みしめる。
換気扇に給湯器、
ファンが永遠回ってる。
ポケットの鍵はカラカラと、
風鈴のように、音を成す。
前も見えないヘッドライト、
原付少年俺睨む。
故郷思って空想に
おとぎ話が流れ出す。
希望だけの世界じゃない、
哀しみがまた襲いだす。
陳腐な電飾煌めいて、
前のあいつも吸い込んだ。
続く俺はよろめいて、
暗い顔してドア開ける。
凄惨なほどに揃った陳列、
忌み嫌いながら、買い物だ。
欲しいものなどあるわけなく、
適当に取ったガムと水。
マニュアル通りのレジにいて、
外人いつも座ってる。
帰りの虚無感、今日超えて、
朝を待つのみ、空を斬る。