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個人的にモンテディオ山形の2024シーズン(事業面)を振り返ります
なぜ、来場者数は過去最多(J2在籍時)を更新できたのか?
2024シーズンの平均来場者数は10,265人で、昨対比123%(昨シーズンは8,318人)という結果になりました。
結果としてJ2在籍時における平均来場数は過去最多となったわけですが、なぜ、このような結果が得られたのか。
マーケティングに携わる者として、元も子もない発言になりますが、来場者数が増えたのは「勝っていた」からというのが結論になります。
来場者数を伸ばす上での、一丁目一番地は場づくり(プロダクトづくり)
だと思っています。
そのプロダクトの最大のピースは、試合に勝つこと。勝利というエンターテイメントを届けることが、最もお客さんが最も期待することであり、プロスポーツにおける最大の顧客還元・提供価値は勝利です。
プロダクト視点でもう一つは、モンテディオの特徴にもなっている、多種多様なイベントとスタジアムグルメの設計です。
毎回変化を投じることで、既存のお客さんを飽きさせない、はじめての方の観戦体験を向上させることにつながります。
もちろん、ターゲットをセグメントし、ストーリーをつくり、イメージを想起できるプロモーションを実施すれば、初回の観戦にはつながると思います。ただし、プロダクトの中身が伴っていなければお客さんはお金に対する対価を感じずに離脱します。
マーケティングを実行する上では、ありのままの楽しさ、お客さんが意思を持って選んでもらえているその理由を伝えることが大切だと思います。
この結果、商圏エリアの人口ボリュームが少ない山形でも、転換率が高いため来場者数の増加を実現することができています。
これは決して戦績に依存しているというわけではありません。戦績と来場が紐づくのがスポーツだと言いたいです。つまり、来場数が増えれば、スタジアムはホームアドバンテージが生まれる。選手たちのモチベーションもあがり、プレーへの影響を及ぼす。エビデンスとして示しているわけではありませんが、きっとそうだと思います。
一つだけ、具体的な施策で振り返ると、テレビの影響、効果を実感しています。山形で放映した生中継は、リーグ戦全体の中でも最も良い数字(世帯平均視聴率 14.7% リーグ最終 千葉戦)でした。全国規模でみれば、デバイスの分散やデジタル移行は起きていると思いますが、地方都市におけるテレビの影響はまだまだ大きいと感じます。それを踏まえて、来シーズンの広報戦略、KPIに落とし込みをしていきます。
来年に向けて、さらなる観客動員増加を目指す上で、「新規層へのリーチ方法」「転換率・ロイヤル顧客化」という2つの課題を感じています。
新規を増やすためには、ボリュームゾーンである『認知×未関心』層に対してどのようなアクションができるかです。プロダクトの良さが伝わっていないか、伝える方法が間違っているかのどちらかだと思いますので、クラブ主導の発信に限定せず、新たなアプローチを検討していきたいと思います。
転換率・ロイヤル顧客化に関しては、セグメント別の有効施策を検証していくしかないのですが、ここは見える化、深堀り含めてデータボリュームが少ないので、まずはそこからかなと。
総じて、今シーズンの結果は、現場担当者の頑張りはあれど、一昨年のシーズンから取り組んだことの積み重ねです。大きく舵をとることの重要性を学んだシーズンとなりました。
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なぜ、60歳以上を対象にしたサービスをスタートさせたのか?
今シーズンから新たにスタートした、60歳以上を対象にした『O-60モンテディオやまびこ』。
一般的に、高齢化というワードを聞くとどうしてもネガディブなイメージがあります。確かに、高齢化は脅威であり、解決しないといけない課題も山積みであることは間違いありません。
でも、エンターテイメントを提供するスポーツチームくらいは、この高齢化をポジティブに、機会に捉えてみよう!というのがこの活動の始まりです。今年のシニアデーでは、高齢者の方約100名が集まり、健康体操や声のトレーニングを実施しました。実施内容はさておき、みなさんの笑顔あふれる最高の雰囲気は誰も感じたことだと思います。あまり見たことのない光景で、誤解を恐れずいえば、「こんなにみなさん楽しそうに笑うんだぁ」と思ってしまいました。その後、スタジアムのゲート入り口では挨拶運動をしたのですが、鍛えたのどを武器に元気な声が響き渡っていました。山形のような地域においては、若い人、ご年配の方と区切るのではなく、共存です。今は別々に動いてるプロジェクトも、どこかで必ず交わりができます。
O-60はサービスを通じて、健康の向上、新たなつながり、機会創出の3つを実現します。機会を延長して定義すれば、シニアの方が社会や経済に貢献することを意味します。
モンテディオ山形発となったこのモデルは、日本全国、各地のスポーツチームがある場所で同じことができると思っています。
元気なシニアの方であふれる空間、そのシニアの方々が未来のこどもたち希望を見守ることはとても素晴らしいことではないでしょうか。
来年に向けたアップデートのリリースも準備中です。
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なぜ、U-23マーケティング部は必要なのか?
2期目を無事に終えた、学生のマーケティング組織『U-23マーケティング部』。有難いことに、参加応募数も年々増加、2年連続でJリーグシャレン!アウォーズを受賞、新規のスポンサー契約締結、メディア露出増加など、順調に事業を広げています。
では、U-23マーケティング部をなぜやってるのか?もう一度意思表示をしておきたいと思います。
すごく大袈裟に言えば、日本再興計画です。
ここに参加した学生たちが、働くことや生きることに楽しみ、やりがいを感じ、その後の社会で活躍すること。
社会や人との結びつきに有り難みを感じ、還元の心を持つこと。
これ自体が、僕は日本再興に繋がると思っています。
日本も、山形も、未来も明るいということを僕たち大人が言わないでどうするのか?
そんなことでこどもたちが頑張れるのか?
という話です。
参加メンバーは分かるかもしれませんが、U-23マーケティング部は、決して楽な場所ではありません。
むしろ学生の体感値は辛いことや厳しいことの方が多いはずです。
その対価が成長です。
これをスポーツチームがやるのは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」といった社会人基礎スキルとスポーツは非常に親和性が高いからです。机上では学べない多くのことが学べる場だと思っています。
すごく、稚拙な表現になりますが、イケてる若者を創出し続けることがこの活動の目的であり、それは中長期でみれば必ずモンテディオ山形に還元されます。
そのためには、プログラムは全て学生の成長、学びから逆算してつくることです。
そこにクラブの課題を反映させたり、大人の思惑が混在してしまうと、一気に目的が足元の人員不足、集客という課題に執着されてしまいます。どうか長い目で見守ってください。
大切な学生の時間を預かる10ヶ月。来年も覚悟を持って取り組みます。
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