ライス🍚センター🍚梅干し-1
思えば境目は中学三年の卒業式。
あの時、ずっと好きだった男子生徒に告白しようと最後の教室で会話をしていた時だったと思う。
男子生徒の名前はもう思い出せないけど、その時のあたしにとってはかけがえのない存在で。
高校受験という名の懲役で踠き苦しんだあたしの学校生活に、唯一色彩を付けてくれていたのは確か。
他愛も無い、今まで楽しかったねー、高校行っても忘れないでねーとか、そんな話の中で、いつ切り出そうか迷っていて。
漸く、ずっと交換出来なかった連絡先を書いたメモを渡そうと思ったその時だった。
「おぅ、お前達、最後までラブラブだな」
っていう、いつも私達の間に茶々を入れてくる嫌いな奴が割って入ってきて。
なんていうか、今までなら邪魔だなぁとか心の中で舌打ちという舌打ちを何千回も打ってきたのだけれど。
その時ばかりは、年老いたように物忘れにも似たような感覚になっちゃって。
あれ? 今なんて言おうとしたんだっけが、ずぅっと頭の中をグルグル渦巻いて。
台風が今何号目なんだっけとかよく分からない事ばかり浮かんできて。
そうこうしている間に、彼が「そんなんじゃねぇよ」「またな」って言っているのが聴こえてきてさ。
あたしの事を無言で暫く、じいっと見つめて言った台詞だけ忘れられていないの。
名前も顔もうろ覚えなのに、あたしに告げた言葉だけ鮮明に覚えているなんて、最早トラウマに近いよね。
「じゃあね、○○さん。卒業おめでとう。さようなら」
あたし、来年から新しい学校生活が始まるっていうのに思っちゃったんだよ。
ああ、終わっちゃったな、って。
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