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【すごい博物館009】國學院大学博物館:考古学資料が豊富ズラリ並んだ土器や埴輪は圧巻!

考古学好きにオススメ 大学関連施設 神道の展示あり 無料


■國學院大學博物館とは

2024年1月と8月に訪問

東京・渋谷の駅から南東方向1Kmほどのところに國學院大學の渋谷キャンパスがあり、校舎の半地下部分のフロアに博物館が設けられています。

(参考)國學院大學発祥の地

國學院大學は、明治15年(1882年)に現在の千代田区飯田橋に創設された「皇典講究所」が母体となっていて、日本の伝統文化や神道に関する教育・研究に力を入れています(神職の資格を取る課程もあるそうです)。

かつて大学内にあった「考古学陳列室」や「神道学資料室」が統合し、いくつかの資料室・資料館の形態を経て、平成25年(2013年)に現在の國學院大學博物館が開館したのだそうです。

所蔵資料は約11万点とのことで、この大学が発掘調査で収集した「考古」資料の展示のほか、「校史」、「神道」、そして「企画展」を行う4つのコーナーから構成されていました。

展示資料には日本語と英語などでキャプションがつけられていたほか、スマートフォンに「ポケット学芸員」アプリを入れると、解説を読んだり聞いたりすることができました。

また、各展示の概要を解説動画で見ることができるYouTubeチャンネル「オンラインミュージアムOPEN」も内容が充実していました。

■考古展示室

フロアの約半分を占めるメインのコーナーで、縄文・弥生時代の土器や青銅器などが多数展示され、日本古来の人々の暮らしや宗教観などを考察できるようになっていました。

縄文時代後期から晩期にかけての土偶が置かれていましたが、土偶は大半のものが手や足が外れた状態で発見されることから、壊すことで何らかの宗教的な儀式に使用していたのではないかと考えられているそうです。

長野市の遺跡から出土した4世紀の古墳時代に作られた土器には、人の顔の横から2本の腕が挙げられている様子が表現されていました(キモカワイイ)。

縄文時代に儀式に使われていたと考えられる、土偶、石剣などですが、石棒は形が男性器を模しているようにも見えました。

手前は遮光器土偶、背面は縄文土器(後期・晩期)のコレクションです。

人型、馬型、そして建物のような形をした埴輪たちは5世紀ごろのもので、古墳に埋葬される人の財を象徴したものと考えられているそうです。

千葉県で出土した6世紀の「人物埴輪正装男子」は、ほぼ実物大と思われる大きなもので、帽子やひげなどから結構イケメンだったのかなと想像が膨らみました。

様々な時代に祈りの対象として作られた、神や仏の像のコレクションです。

中国、大韓民国、タイ王国の土器や石器は日本のものと類似していることから、アジア大陸から海を渡り多くの技術文化がもたらされたことを納得することができました。

■校史展示室

國學院大學の前身である「皇典講究所」の関連資料や、大学の研究者や出身作家の功績を紹介しているコーナーです。

明治維新以降に西洋文化の影響で近代化が進む中、日本の伝統文化を尊重する機運が高まり、国学の教育・研究を行うことを目的に皇典講究所が設立されたという経緯が解説されていました。

初代総代を有栖川宮幟仁親王が務めるなど、有栖川宮家との縁が深いことから、有栖川家ゆかりの印鑑、書道道具、勲章なども紹介されていました。

■神道展示室

日本に根差した信仰である神道に関し、伊勢神社の模型や吉田神道の行事壇、日吉神社の山王祭を描いた屏風、そして神様の像や捧げ物などが展示されていました(このコーナーは写真撮影ができませんでした)。

■企画展:神輿 つながる人と人

訪問時には夏祭りの時期ということもあり、神輿の歴史を紹介する企画展が開催されていました(写真の神輿は、國學院大學の神輿サークルが使用しているものだそうです)。

神輿は神が移動するための神社という位置づけとなっていて、天慶8年(945年)に志多羅神の神輿が摂津の国から移動したのが最も古い記録だということです。

平安時代末期の祇園祭の神輿を描いた絵巻です(江戸時代後期の作品)。

江戸時代に行われていた「日吉大社の山王祭の神幸行列」を描いた屏風には、船に乗せられて琵琶湖を渡る神輿たちの姿が描かれていました。

江戸時代に歌川芳崇が描いた「天皇祭りの行列の図」には、神輿を担げば疫病を免れられると信じた男たちが集まっている様子が描かれていました。

■まとめ

なんといっても、膨大な量の考古資料がずらーっと並べられている風景が圧巻で、縄文・弥生時代の人々の発想や工夫などにじっくり思いを馳せることができたのが貴重な体験でした。

「考古」、「神道」、「校史」の3コーナーがそれぞれに関連していて、日本の伝統文化や神道に関する知識を、ビジュアル的な美しさも伴いながら理解できるように構成されていることに感銘を受けました。

なお、この記事は展示の解説やホームページ等を参照して記載しました。

<良かった点・いまひとつだった点>

〇考古資料の多さにインパクトあり、レイアウトが美しすぎる。
〇日本語、英語、中国語、ハングルでの解説で外国人にも文化が伝わる。
〇館内スタッフが簡単な解説をしてくれポイントをつかみやすかった。
△YouTubeでなく、現地のモニターで見られる解説ビデオが欲しかった。

■インフォメーション

詳細はホームページで確認を

開館日・時間
 基本的に通年開館(閉館日は不定期)
 10:00 - 18:00(入場は17:30まで)
料金
 無料
アクセス
 JR山手線・埼京線、東急東横線・田園都市線、京王井の頭線、
  東京メトロ銀座線・半蔵門線・副都心線の渋谷駅 徒歩約10~13分
 JR山手線・埼京線の恵比寿駅 徒歩約15分
 東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線の表参道駅 徒歩約15分
住所
 150-8440 東京都渋谷区東4-10-28
地図

以上です、ご覧いただきありがとうございました。


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