子犬な恋の話。 その2 初めてのお泊りおデート
わんこくんと知り合ったのはもう3ヶ月前のこと。
それから今日まで、会ったのはたったの5回。
私が田舎住まいでわんこくんは東京の人だから。
普段は朝夕、そしてお昼休みにとLINEで会話してる。
電話は。。。これでも私一応夫がいるので、そこらへんは向こうも気を使って控えてくれてるんだと思う。
それに文字のコミュニケーションのほうが個人的には好き。
ゴールデンウイークを迎える直前の先週。
わんこくんと二回目のお泊りデートをしてきた。
その前のお泊りは先月。
私の誕生日。
ちょうど東京は桜が咲き始めた頃のこと。
。。。今日はその初お泊りおデートのときのお話ね。
仕事を終えたわんこくんが宿泊先の最寄り駅まで来てくれたのが22時前。
まだまだ人でごった返す大きな駅の改札前で、仕事帰りのわんこと合流。
あいさつもそこそこに手をつないで人混みを歩きだす。
しかし平日の夜なのに人の多いこと。
東京さすがだわ。。。。
。。。あの頃はさ
正直そんなに好きじゃなかったのよ。わんこのこと。
ただ、優しい人だし話しやすい人だなぁ。。。ぐらいの感じ。
嫌いではないけど、そこまで好きってほどでもない。
居心地は良いけど、絶対この人かって言われたらそうでもない。
そんな曖昧な
悪く言えば都合のいい相手。
付き合ってるわけでもないしそもそも好きとか言ってないから責任もないし。。。楽だったんだと思う。暇つぶしに会うのには。
まぁ
その前から結構この人私のこと好きなんだろうな。。。ってうのはわかってたけどね。
でもあんまそれに対して真剣に考えようとしてなかった。
どうせ言ってるだけでしょ?
そのほうが盛り上がるから。
てかなんならドクズだって同じようなこと言って近づいてきてやり捨てるんだから。。。別にアンタがそうだとしたっていまさら驚かないし。。。
むしろそんぐらいには思ってたかもしれない。
どんだけネガティブ思考なんだか、私。笑
それにもう恋とか男とかで傷ついたら私の心が持たないからさ。
だからそうやって傷つかないようにしていたのは事実。
駅から少し離れた静かな一角に建つ大きなホテル。
あれだけ溢れていた人の声もまばらになった大都会の夜道
まだうっすらと冷たい風と街頭の明かりが心地いい。
繋いだ右手を通して伝わってくるわんこくんの手の大きさとかごつごつした感じ。
ああ、男の人だなぁ。。。って思うとにわかに緊張してくるよね。
私が先に入ってチェックインは済ませてあったから、そのままお部屋に向かう。
まだ世間はまんぼーだった頃のことだから
予め私がデパ地下で買ってきてたお弁当をお部屋で一緒に食べる。
小さなテーブルを挟んで向かい合う二人。
買ってきたお酒をすすりながら他愛もない会話をする。
表では会話こそしているものの
私の頭の中は既に
「ああ。。。このままわんこと朝まで過ごすのか。。。」
っていう不安と期待と緊張で正直余裕がない。
いい歳ぶら下げて何やってんだろうな。。。っていう気持ちもなくはない。
私ももう40半ばだかんね笑
おかげで何話したのかは正直あまり覚えてないんだけど笑
とにかくこの人とは話が途切れない。
ていうか素で話せる。
素直な自分でいられる。
そんなとこが居心地がいいのかも。
そういえば、仕事のかばん以外に袋をいくつか持ってきてたわんこくん。
ご飯中に突然子供のように目を輝かせ
「あ、そーだ◯◯◯さん!忘れないうちに」
って取り出したのは、私への誕プレ。
私が話してたこととか私の好きなものとかをちゃんと覚えてくれていたみたいで。。。
そういう何気ない部分をつぶさに観察していて逐一覚えていてくれるとこ。。。好きかもしれない。
てかほんとに私のこと好きなんだろうなぁ。。。この人。
中身はちょっとした宝石類だったのだけど。
後で調べたら6桁の金額でちょっと固まった。。。。
何アンタ?
実は金持ち?
。。。じゃなくて。
まだ知り合って(当時は)2ヶ月弱
会うのだって(そのときは)4回目
そんな相手にそこまでぶっこむとか。。。
きっとわんこなりに考えて選んでくれたのだろうし。
そうやって私のことを考えてくれるその気持が、金額以上に嬉しい。
ただ素直に、嬉しいよ。
だから今仕事部屋のデスクの上に飾ってある。
後日
「ボクも買っちゃいました」
とか言って同じの自分で買ってる写真送ってきてたけど。。。
。。。何アナタ?
やっぱホントは金持ち?
じゃなくて。
なにその中学生みたいな「お揃いで持とうね」みたいなの笑
やだほんともう可愛いかよ!!!
その後は買ってきてくれたケーキ食べて。
明け方まで仲良しして。
ちょっとだけ寝て。
わんこくんはそのまま仕事に行った。
私はあと帰るだけなので
わんこを見送り、シャワー浴びて化粧して何食わぬ顔で再び田舎に帰る。
桜の花越しの春の東京の日差しは、やたら眩しかった。
新宿。
私の人生がスタートした街。
自分が何者かがわからずに、どう存在していいのかがわからずに人生の迷子のようになっていた私を拾ってくれた街。
今日私はまたここに立っている。
しかもわんこくんと一夜を供にして。
あれから20数年の時間を経て。
今日また私は新しいスタート地点に立ったような気がした。
きみのおかげでまた私は新しいステージに向かう気がする。
今ここに存在する私を私は好きだし。
今ならもう大丈夫だと自信を持って言える。
ありがとう。
わんこくん。
私もキミのこと好きかもしれない。