「この商品が、初めて売れた、、、!」とサプライヤーが驚く。数十年に一度しか売れない超ニッチな部品まで、ロングテールも大事にするバイヤーの仕事
※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。
モノタロウの商品点数は1800万点を超えますが、それらをメーカー/サプライヤーから採用するのが商品採用/バイヤーの仕事です。メカニカル部品などのカテゴリーを担当する小野瀬さんにインタビューしました。
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Q. モノタロウにバイヤーとして中途入社した経緯は?
「専門性の高い機械部品もネット販売に切り替わっていくことを実感」
大学卒業後に新卒入社した会社は、工場全体の自動化や生産設備のFA(Factory Automation)向け製品や部品を専門に扱う商社でした。製造業の顧客に対してそれぞれの現場が抱える課題の解決に最適な装置の導入を提案営業していました。担当していた顧客は半導体メーカーなどの大手が中心で、それらの工場では誰もが知っているグローバル企業へ部品供給をしていました。半導体の需要は世界的に変動するので大変な時期も経験しましたが、日々私たちの生活の中で使われている製品の一部がどんな風に作られていくかを身近で体験できて興味深かったです。
装置導入の提案の他にも保守や修理の要望に応える仕事も多く、そんな時は細かな機械部品からその周辺のものまで交換が必要な場合があります。その際に、製造の現場担当者から「これはモノタロウで買うから大丈夫です。」と主力で販売していなかった部品やその周辺の商品について言われることが年々増えてきました。製造業の機械部品は専門性の高いものもありますが、それらもいずれネット販売に切り替わっていくだろうと実感しました。これがモノタロウに興味を持ったきっかけです。
また、製造業向けの営業職は、全国各地の工場がお客様なので転勤が多い職種であり、「結婚をして、子供が産まれて、次は家をどうするか?」という将来設計が立てづらい面があります。その点、モノタロウは私の地元の関西に本社があって、転勤もないということだったので、そのことは転職の後押しになりました。
Q. 担当している業務について教えてください。
「150万SKUを超えるFA分野などの商品を採用するバイヤー」
現在、モノタロウで販売している商品は工場用間接資材を中核に1800万点を超えており、働く現場の細かなニーズに応えています。商品は専門分野ごとに26カテゴリーに分かれていて、それぞれを担当バイヤーが受け持って販売する商品を採用しています。
私は、転職してからは電線やコンセントなどの「電気材料」や「パソコン/家電」のバイヤーを数年間担当した後に、前職で携わっていたFA関連のカテゴリーを担当することになりました。産業用ロボットやセンサーに関連する部品などを扱う「メカニカル部品/機構部品」と様々な種類や素材を豊富に取り揃えている「ねじ・ボルト・釘/素材」のカテゴリーを担当しています。
モノタロウの品揃えはとても充実しており、家電でも2万SKU(※)以上ありますが、メカニカル部品は製造業を中心に使われる機械の中の細かなパーツまで取り揃えており、商品数は150万SKUを超えています。
※SKU: Stock Keeping Unitの略。在庫管理上の最小の品目数を数える単位です。Sサイズ、Mサイズ、Lサイズのバリエーションがある商品では、3SKUとカウントします
Q. モノタロウのバイヤー業務の特徴は?
「ロングテール商品で需要を掘り起こす」
Eコマースは対面の営業のように積極的に売り込んでいくのではなく、あくまでも受け身の営業スタイルなので、お客様ご自身が探していて欲しいモノが見つからないでは話になりません。そこで、モノタロウでは全国のあらゆる現場に無駄な手間をかけることなくモノが足るように、サービスを展開してきました。「世の中にある間接資材の商品を全て登録していこう」という方針をとっています。
それから20年の期間の中で、多くの商品を登録し販売してきました。一方でカテゴリーにもよりますが、網羅的に商品を登録しているようでも実はまだ未登録の商品が残っているケースがあります。それをメーカー様のお力も借りながら漏れなく登録していくというアプローチを最近は強めています。
未登録だった商品はメーカー様の中で売れ筋ではないかもしれませんが、お客様が探していて、販売店などで見つけられなかった商品があったとき、それがモノタロウで見つけられたことで、「この商品が必要だった、見つかって良かった」と体験していただくことができます。モノタロウには年に1度しかご注文されないお客様もいて、そういった方々が探している商品を見つけられることで、「次の機会もモノタロウで買おう」とか「他の商品も合わせて買おう」となっていただけるので、未登録だったロングテール(※)な商品の登録を進めていく意味は大きなことです。
ロングテールな商品ほど、品番は存在するけれど商品写真や情報がないケースは多くて、その場合は新たに撮影して商品説明の文章を作る必要があります。商品登録は大変な作業になるので、取り組むことに仕入先様にも大変ですがご協力頂いております。ロングテールの商品を充実させていくことで、仕入れ先様の売上も徐々に増えていくので喜ばれることもあります。中には「この商品が売れるのは初めてです」と、おっしゃる勤続年数の長い営業担当の方もおり、モノタロウでは本当にニッチなモノも売れているのだと実感しました。それまで店舗や販社に扱いがなかったから買えなかったのであって、それがECサイトで取り扱うことによりお客様に利便性を感じて頂けているんだと思います。
他にも、特にFA分野の商品はロングセラー商品がたくさんあって、何十年も品番が変わっていないものもたくさんあります。モノタロウが創業してからずっと同じモノや、半世紀以上も同じ品番のモノもあります。そういった部品がメーカーの機械の中で動き続けて世の中を支えています。そこに自分が採用した商品が使われるというのは、とても嬉しいです。
※ロングテール:販売機会の少ないニッチな商品群を指します。
Q. 対面営業や実店舗でのバイヤーと、オンライン販売の違いとは?
オフラインの対面営業では、お客様に直接商談などの場で説明が出来ますが、オンラインではインターネット上でしか情報を提供できません。私が前職でそうであったように大型の製造機の導入などで対面での仕様確認やコミュニケーションが必要な場合は、Eコマースよりも店舗や販社営業などのオフラインのチャネルが重宝される傾向があります。
次に店舗の場合です。実店舗に商品を揃えるバイヤーは商品を絞りこむアクションが必ずあります。店舗の棚の数は限られているので、売れるもの、売りたいものを選んで、買っていただけるように誘導・配置することが仕事の一部です。一方で、オンラインの当社の場合は先述の通り稀にしか売れないテール商品まで登録を増やしていきます。
オンライン販売では、対面で説明を聞けない方に、その商品は何がどのように良い商品なのかを理解してもらって、買ってもらうページにするにはどうしたらいいか、またどう販促していくのかなどを考える必要があります。
仕入先様から良い商品だとご提案頂いた際に、それをオンライン上でお客様に伝えるためにどうするのか、というような思考が出来るようになりました。私自身も対面の営業から転職し、当社で経験を積むことでこうした能力を身に付けて来られたかなと感じています。
こうした違いはありますが、過去実店舗でバイヤーされていた方も活躍されていますし、必要なスキルは共通する部分が多いと思います。オンラインの販促は私がそうであったように入社後に学んでいただけますしね。
Q. Eコマースの中でのモノタロウの強みは?
「20年間専業で蓄積した圧倒的な量のデータと活用」
保守や修理ですぐに必要だったり手に入れにくかったりする部品については、当日出荷も可能でロングテールな品揃えのモノタロウがそのニーズに応えていけます。オフラインとEコマースそれぞれの利点がありますが、お客様が一番理解されており、チャネルを使い分けて商品ごとに最適な購入先を選択されています。
Eコマースでは、私の担当している専門的なカテゴリーにおいて、他社EC様も取扱商品を増やしているように思います。それぞれにお客様の属性に違いはあると思いますが、モノタロウは現場や保全関連に強い傾向があります。間接資材(MRO)領域においては、20年専業で取り組んでいるモノタロウが蓄積した「データ量」は圧倒的に多くて、「どんな属性のお客様が、どのタイミングで、どの商品を閲覧して、購入/リピートしているか」という購買行動や履歴の大量な情報があります。それをデータ分析して品揃えやマーケティングから物流最適化など、モノタロウの経営のあらゆる場面に活用していることが強みです。私の担当カテゴリーにおいても、お客様のご要望の声に加えて潜在化しているニーズをデータから読み取って、これから先も売上をまだまだ伸ばしていけると考えています。
Q. これから取り組んでいきたいことは?
「エンジニアと協力して幅広い商品を知ってもらう販促を強化していく」
モノタロウは働く現場に特化したEコマースなので、お客様はご自身が使い慣れていて必要な商品以外は、他ブランドの商品をご覧にならない傾向があります。日々の現場で使っているけれども、モノタロウ以外から購入している商品も実はモノタロウで販売していることを知ってもらえれば、それが必要なタイミングで購入していただける機会が生まれるかもしれません。
私の担当しているカテゴリーの商品は季節によっての需要変動がないので、年末にこの商品がよく売れるからダイレクトメールを送ってみよう、など販促活動についてはこれまで積極的には取り組んできませんでした。そこで、「モノタロウにはこんな種類の商品も充実していますよ」ということを気づいてもらうきっかけを増やして、お客様の購買の選択肢の中に常にモノタロウが思い浮かぶ状態に持っていくための発信の強化を計画しています。ECサイトを内製しており、販促にもエンジニアが関わりますので、そういった際にどんな内容にしていくべきかを社内のエンジニアに協力してもらいながら考えています。
バイヤーの私とエンジニアの彼らとでは経験やバックボーンも全く異なるので、新鮮な視点で取り組むことができています。これはモノタロウでの働き方の非常に大きなメリットであり、担当者が一人で課題を抱え込むのではなく、解決のために多様なスキルを持った仲間とチームを組んでプロジェクトを推進することができます。社内にはすぐ横にエンジニアやマーケターがいるのでスピード感を持って実行でき、部署を超えて互いに協力し合うしっかりとした枠組みがあるので、自分発信で声を上げやすい環境です。周囲を巻き込むときに大切なことは、どんな仕事でもそうですが「目指していることがどれくらいの規模で、どんなゴールを描いているのか」を数値的な根拠を示して想いと共に伝えることであり、そのことにより取り組む価値を感じてもらえ一緒にチャレンジしていけるのだと思います。
Q. モノタロウの働きやすさは?
「上司や同僚と一緒に協力していける環境がある」
トップダウンの指示を一方的に受けるのではなく、上司とも相談しながら仕事を進められることもモノタロウの職場環境の特徴です。直属の上司とは週1回の30分〜1時間程度の一対一の面談が設定されています。堅苦しい業務報告やダメ出しではなく、上司が聞き手に回ってくれて、目標の進捗状況や悩んでいることなど基本的には自分のことを話します。その場では「今度こんなことをやってみたいのですけれど」ということも相談できます。「それで良いんじゃないか」とか「ちょっとわからないけれど、ここら辺に詳しい社内の人に聞いてみてフィードバックするよ」などのアドバイスにより自分にとっての気づきが得られ、何かをスタートさせるきっかけにもなります。根拠が明確になっていれば、上司も部署を超えた仲間も「じゃあ、1回やってみましょう」となるので、責任は伴うけれども裁量は幅広いと感じています。
コロナ禍のリモート業務が中心になり機会は減っていますが、他カテゴリーの同僚バイヤーと情報共有することもできて、「いま、どんなことに取り組んでいるのですか?」や「こういう時、そちらではどうしていますか?」などが聞けて刺激になります。
商品採用グループは、商品採用担当者(バイヤー)と商品販促担当者がペアになって仕事を進めているので一人が抱え込むことはありません。バイヤーの1日の仕事の多くは仕入れ先との面談が占めます。取り扱う商品点数はかなり多いですが、モノタロウ社内では役割ごとに分業が進んでいて、価格や条件を決めた後は、商品登録等の業務を担う業務グループが引き継いでくれるなどとても助かっています。また、私の担当カテゴリーでは年間での忙しさの波はありません。もちろん、目標の達成のために努力はしますが、それは毎日やっていることですし週1回の上司との面談でも共有しています。なので期末だからといって特別数字を追いかけるようなことはなくて比較的落ち着いた環境で働くことができています。
こうした環境や仕事にご興味をお持ちいただける方に、仲間となっていただけると嬉しいですね!