経理担当者が語る、モノタロウだからできる経理業務の積極的な自動化と業務改善の面白さとは?
※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。
年間の売上規模が2,000億円を超え、13年連続で最高益を実現したモノタロウは間接資材販売のECとして日本最大規模のサービスへと拡大しつつあります。今回は当社を支える経理グループから3名に経理の仕事や、モノタロウだからこそ感じるやりがいについてインタビューしました。
モノタロウに入社するまで
ーーモノタロウに入社した時期と、入社の経緯を教えてください
伊与:
2011年9月に中途でモノタロウへ入社しました。
前職は通販会社で経理をしていたのですが、人数が少なく労働時間が長いため、家庭での時間がまったく取れないことに悩み、転職を考えるようになりました。
人材紹介会社の紹介で、初めてモノタロウを知りました。間接資材という珍しい商材、BtoCではなくBtoBのネット通販、間接資材の最高のプラットフォームを目指す姿勢など、ビジネスモデルに大きな将来性を感じ、この会社と一緒に成長したいと思い入社しました。
Mさん:
2014年4月に新卒でモノタロウへ入社しました。
就職活動がきっかけでモノタロウを知りましたが、会社のことを色々と調べる中で、間接資材の通販会社ということが分かり、「学生時代にロボットコンテストで工具やパーツを扱った経験が活かせるのでは」と考えて、入社を決めました。
佐藤:
2020年2月に中途でモノタロウへ入社しました。
前職では会計事務所に勤めており、お客様を訪問して会計支援などを行っていました。
実際に会計作業をするお客様へ提案をしていたのですが、自分の思うような改善の取り組みができず、歯がゆさを感じることもありました。
「自分の手で会計業務の整備や構築がしてみたい」という気持ちが高まり、事業会社の経理への転職を考えるようになりました。
モノタロウのことは元々CMで見て知っていたのですが、面接の時に風通しの良い雰囲気が伝わってきて、ここなら長く働けそうと感じたことも入社の一つのきっかけですね。
ーー会計事務所の経理サポートから事業会社の経理だと業務内容の変化が大きい印象がありますが、キャッチアップは大変でしたか?
佐藤:
中途入社のため、最初はモノタロウのサービス形態や、社内のどこの部門でどのような業務をやっているのかを把握するのが大変なことも多くありました。
ですが、周囲の方にサポートしていただきながら仕事を進めることができています。
私はまだ小さい子どもがいるため時短勤務をしているのですが、そういった働き方や経験不足などの理由でプロジェクトの参加を断られることもなく、前職の経験を信頼し、任せていただけることがやりがいにもつながっています。
今は債務管理グループで経費の計上と支払確定、仕入れの支払確定などが行えていますし、インボイス制度対応・電子帳簿保存法の制度対応といったプロジェクトにも関わることができています。
経理グループの特徴について
ーーモノタロウの経理グループの特徴を教えてください。
伊与:
私が入社した当時、モノタロウの売上はまだ360億円程度でした。
それが12年経った現在では2,000億円を突破と、約6倍の数字を叩き出しています。
もちろん売上が伸びれば、そのぶん経理の業務量も増えます。
しかし、モノタロウの経理グループは7人から19人、わずか12人の増員でそれを乗り切ってきました。入社当時と比べると約6倍の売上に伴う業務を、約2.5倍の増員でさばいている状況です。これを可能にしたのが、プログラミングやRPA(※)を使った積極的な自動化の業務改善です。
常により正確で迅速な対応を目指し、会社と共に経理グループも成長を続けてきました。
こうした常に成長し続ける姿勢こそが、モノタロウの経理グループの特徴だと思っています。モノタロウの経理グループでは、役割ごとに2~4人のチームを組み、それぞれが情報共有しながら経理という一つの仕事を完成させていますが、現在も皆でアイデアを出し合いながら、チームごとに目標を設定し、改善に向かって動き続けています。
働き方について
ーー佐藤さんは小さいお子様がいらっしゃるとのことですが、モノタロウの経理グループの働き方はいかがでしょうか。
佐藤:
私はモノタロウに入社してから、産前産後休暇と育児休暇を取得しました。復帰後は時短勤務を選択しています。経理という仕事上、決算時期はある程度忙しく、月次決算の時は残業もあります。ですが、時短勤務の現在、月次決算の時以外は残業なしで退社しています。
休暇に対してもみなさん理解があり、事前にお伝えすれば休みを取ることができます。
入社前には、休暇の取得には気を遣わないといけない、などと不安に思っていたのですが、それも良い方向に裏切られました。
モノタロウの制度や環境は非常に整っており働きやすく、長く勤めるのに適しているので、これから子育てを考えている方にも、ぜひおすすめしたいです。
経理グループの構成について
ーー経理グループが所属する経営管理部門の中には、他にも主計・財務グループがありますが、業務ではどのように関わっているのでしょうか
伊与:
経理グループは、売上計上、請求、入金処理、代金回収と、仕入、経費計上、支払確定、及び取引に関する全ての仕訳計上など、基礎的な業務を担当しています。
一方で主計・財務グループは、連結含む決算対応、予算実績管理、税務申告など、基礎部分に理論付けする業務を担当しています。
簡単にいえば、経理グループが土台を作り、主計・財務グループがそれを成型して社外にも通用する形にする、というイメージですね。
また、このようにグループが分かれているのは、適切な分業により不正が起こりにくくするためでもあります。銀行口座の管理は主計・財務グループが行っていて、各部門からの申請に対して、経理グループが幾ら払うか、そこに正当な根拠があるかを精査し、主計・財務グループが実際に銀行口座で手続きをする形を取っています。
2つのグループをあえて跨ぐことで、チェックが働く仕組みを構築しています。
ーー経理グループの組織構成について教えてください。
伊与:
経理グループには現在、アルバイトや派遣も含めて19名が在籍しており、それぞれが債権管理・債務管理・入金管理の3つのチームに分かれて仕事をしています。
債権管理チームの仕事は、ユーザーに対する請求や商品代金の回収、問い合わせ対応、注文に対する不正チェックなど、債権にまつわる業務全般が挙げられます。
債務管理チームの仕事は、入出金の記帳処理や経費の計上、仕入に関する支払金額の確定など、債務にまつわる業務全般です。
入金管理チームは売掛金の入金消込や返金を担当しており、債権管理チームの中でも業務量が多い部分に特化しています。特に入金が集中する月末日には、1日で3万件弱の振り込みがあるのですが、自動処理では売掛金と消し込みできない1割ほどの個別対応や、商品注文明細単位での入金消込と債権管理が必要になる「検収払い」などを担当しています。
モノタロウの経理の仕事内容とやりがい
ーー担当している業務の内容と面白さについて教えてください。
Mさん:
私は債務管理チームでチームリーダーを務めており、主に経費計上や仕入金額の確定、監査資料の準備などの業務を担当しています。チームの業務改善活動にも取り組んでおり、振り返りを行って、どのようにすればミスが減るかを考えています。
他には経理の単純作業の自動化の検討にも取り組んでいます。過去にRPAを使って買掛金と前渡し金の照合を一部自動化し、月に10時間程度の作業工数削減に成功しました。また、経費申請のプロセスもGAS(※)を使って改良し、上長への承認申請をメールで自動的に行えるようにしたこともあります。
このように、今ここにある作業をどのように自動化するのか、あるいは他の手段で処理をするのか改善を考えるのは面白さがあり、自動化できた時は非常にやりがいを感じます。
佐藤:
前職の会計事務所では、国内取引のみの中小企業のお客様を担当していたので、国内だけの決まった取引の会計処理しか経験できませんでした。
ですがモノタロウでは、入金の消込や経費の計上といった一般経理はもちろん、海外との取引や不正注文のチェック、自動化プロセスの開発など、幅広い仕事に関わることができます。また、回ってくる経費申請の量や金額から、ダイレクトに会社の成長が感じられるのも面白いです。
そうした環境下での仕事に刺激やチャンス、面白みを感じます。
ーー担当している業務の課題と、課題に対する取り組みについて教えてください。
Mさん:
業務の課題は、各部門でいかに不備なく経費を申請してもらえるかです。
経費精算システムで申請してもらっているのですが、やはり多少の経理上の知識なども必要になるため、予算や会計、操作に詳しくない方に不備なく申請してもらうのは、簡単なことではありません。
そこで現在は、正しい申請方法を伝えることに注力しています。以前は操作や知識の情報をただポータルサイトにアップロードするだけでしたが、今はどこに記載されているかをきちんとアナウンスをして常に最新の情報が周知されるようにしています。
佐藤:
Mさんと同じチームなので担当している業務や課題もほぼ同じですが、それ以外で挙げるのであれば、リモート申請の環境整備やポータルサイトへの掲示、毎月の月次決算の振り返りを活かした業務改善などに取り組んでいます。
ーー経理グループ全体の課題を教えてください。
伊与:
先ほどもお話したように、モノタロウの売上はハイペースで伸びており、それに伴って経理のそれぞれの業務も増加しています。
業務量が増えた分、より効率的な仕組みを構築し、自動化・省力化を進めていかなければなりません。
システム部門との協力や外部システムの導入、アウトソーシングなど、常にあらゆる手段で改善を続けています。
また、インボイス制度・電子帳簿保存法の制度対応も、直近の大きな取り組みです。
もちろん、システム部門にも動いてもらいますが、経理グループが主導していかなければなりません。
法令は絶えず改正されていきますから、今後もこうした法令遵守のための対応は常に意識する必要があるのではないかと思います。
ーー経理グループで最近取り組んだ大きなプロジェクトはありますか。
Mさん:
2021年4月からスタートした会計システムの切り替え(SAP導入)のプロジェクトに関わりました。
SAP導入の理由としては幾つかありますが、当社の成長に伴い取引量も急増し、旧会計システムでは処理の限界が見えつつあったことが大きな理由です。スピーディーな対応や、ペーパーレス化を進めたかったことなどもあり、SAPの導入を決めました。
このプロジェクトは、システム開発の部門をはじめとする他部門と合同で進めるプロジェクトでした。プロジェクトメンバー全員が経理業務に関する知見を持っているわけではなく、全員に分かってもらえるように業務内容を分かりやすく伝える必要がありましたが、結果的に共通の認識を持ちながらプロジェクトを進めることができたと思います。
またプロジェクトには社員だけでなく社外のベンダーさんなど、たくさんの人が関わっていました。他部門と一緒に打合せをすることはこれまで幾度かありましたが、初めてプロジェクトに関わり、「大きな仕事をやっている」という面白さを感じることができました。
今後目指す姿
ーーモノタロウで今後実現したいことを教えてください。
Mさん:
経理グループだけでも現在19人の人員が業務にあたっていますが、今後事業が拡大するにつれ、一層業務量も増えていきますので、多くのプロセスを自動化して手間をなくしていきたいですね。
例えば、経費申請や消込などには一定の法則性があるため、それらを全部洗い出せれば、経費関連の一定の自動化も夢ではないと思います。
財務諸表の作成プロセスにも自動化の余地がまだあると思っていて、機会があれば、財務諸表の作成から開示までの全自動化の実現も目指したいです。
佐藤:
「経理の仕事はゆくゆくはAIに取って代わられる」などという話もありますが、それはあくまで、仕訳の起票などルーティーン業務に留まることだと思っています。経営判断の材料となる会計的な資料をその時々で適切な切り口を考えながら、正確かつ迅速に作っていくためには、どのような仕組みが会社にとって最適なのかを検討し、構築していかねばなりません。そうした経理の存在意義に深く関わる業務は、今後も変わらずにあり続けるのではないでしょうか。
モノタロウは成長スピードが速いため、仕組みや運用の検討・構築に何度も関わることができます。そうしたモノタロウならではの需要に貢献できるよう、私自身ももっと経験や知識を身につけて、最適な仕組みや運用を作り上げていきたいです。
ーー作業などのルーティン業務はAIに任せて、自動化で短縮できた時間を使って会社にとって最適な仕組みを構築するというように、AIと人が協働して効率的に仕事をするということですね。
ーー今後どんな方にご入社いただきたいですか?
伊与:
担当にもよりますが、基本的に経理の知識は欠かせません。また、業務改善にはプログラミングやRPA、データ化、自動化などの知識が必要になってきます。プログラミング等の実務経験がない方でも業務改善のための知識を意識的に吸収してくださる方であれば嬉しいですね。
俯瞰した見方を持って、効率化に取り組んでいただきたいです。
ーーモノタロウの経理グループが、今後目指す姿について教えてください。
伊与:
モノタロウの経理グループは、会社の規模の拡大と共に成長を続けなくてはなりません。幸いモノタロウでは、解決が必要であることと実現のコストが合理的であることがきちんと説明できれば、それ以上の行動は必要がないため、実行までのプロセスが他社よりもシンプルだと思っています。経理の基本である正確性を保ったうえで、自動化や省力化を推進していきたいと考えています。
また、長く快適に働ける環境作りにも、より力を入れていこうと思っています。快適に仕事できるほうが、パフォーマンスも上がりますからね。
「モノタロウの経理だからやりたいことができる」と思ってもらえる環境を整えて、グループ全体でより高いパフォーマンスを目指していきたいです。
ーーありがとうございました!