止まらないデザインへの探究心と情熱。monopoアートディレクターのクリエイティブマインドを探る。
こんにちは、monopo Tokyo PRの山田です。
monopoではメンバーのバックボーンや仕事観をインタビュー形式で紹介する企画「Stories of monopians」を連載しています。
今回はmonopoのアートディレクター、山口 央 (やまぐち あきら) とTran Minh Villageois (トランミン ビラジュア)の二人をご紹介。monopoにてビジュアル面を担当してきた彼らの仕事観や過去のプロジェクトなど、アートにまつわるあれこれをインタビューしました。
Profile
山口 央
ART DIRECTOR / GRAPHIC DESIGNER
1987年 愛媛県生まれ。愛媛大学 法文学部人文学科卒業。TSTJ Inc.や株式会社たき工房などの広告制作会社で数々の大手企業広告案件を手掛けた経験から、monopoではブランディングや広告、Webサイトなどのアートディレクションとデザインを中心にクリエイティブを引率している。インスタアカウント「日刊タイポ」土曜日担当。
Tran Minh Villageois
ART DIRECTOR / DESIGNER
パリで生まれ育ち、ベトナムにルーツを持つ。フランスのトップデジタルデザインスクール「HETIC」でデジタルコミュニケーションの修士号を取得。文化的な視点とクリエイティブを融合させたユニークな作品を得意とする。現在はアートディレクターとして、Webサイト・マーケティングキャンペーン・ソーシャルメディアコンテンツ・モーショングラフィックスなど多岐にわたるプロジェクトを担当。コミュニケーションとチームワークを大切に、クリエイティブなビジョンの実現を信念としている。
1. アートディレクターへの道のりとmonopoとの出会い
— まず、monopoで特に印象に残っているプロジェクトについて教えてください。
山口:クライアントワークでいうと、伊勢丹新宿店本館3階のコンセプトショップ「コンテンポラリー」のビジュアル制作が一番印象に残っています。リモデルに伴ってブランドデザインを刷新するにあたり、ロゴやコピー、メイングラフィックなどを手掛けました。ビジュアルの撮影はコペンハーゲンで行い、新宿三丁目駅のメトロ構内のサイネージでも映像を展開しました。やり過ぎずに、でも少し先を見据えた等身大のデザインを追求しています。直近で一周年を迎え、記念に制作したLOOK BOOKも記憶に新しいです。トルソーをモデルに見立てて撮影しました。
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あと個人的に、monopoの周年パーティーで作成したポスターやサイネージ動画も気に入っています。東京にいるデザイナーはもちろん、ロンドンにいるメンバーにも協力してもらい、たくさん検証しながらつくりました。
トラン:私が一番印象に残っているのは、NIKEのスケートボードライン「NIKE SB」のグローバルキャンペーンです。2020の東京オリンピックをきっかけに盛り上がった日本のスケートボードシーンにスポットライトを当て、スケボー女子たちのドキュメンタリー映像「Japan Diary」を制作しました。
グローバルキャンペーンを通じて、スケートボードの楽しさと女性が活躍するシーンをリアルかつスタイリッシュに表現しました。日本のストリートカルチャーをアピールするだけでなく、彼女らの勇気と友情にも触れた構成になっています。アートディレクターとして、世界共通の社会問題に対するメッセージを発信していけるクライアントと一緒に仕事ができることは、とても嬉しい経験でした。
— お二人がアートディレクターを目指すきっかけとなった出来事や経験について教えてください。
山口:きっかけは「素敵だな」と思っていたクリエイターがみんなアートディレクターだったことです。自分もそんな風に、自らの手で素敵なものを生み出せるひとになりたいと思いました。
トラン:最初はデジタル専門のデザイナーとしてスタートしましたが、正直言って自分がアートディレクターになるとは思ってもみませんでした。しかし年月が経つにつれて、プロジェクト全体のコンセプトや世界観を構築することに興味を持ち始め、アートディレクターを志すようになりました。でも自分で手を動かすことは、もちろん今も大好きです。デザインの魅力って、思考と手仕事の両方が関わるところだと思っています。どうやってクライアントのニーズに応えるか、どのツールを使うのがいちばん効率的なのか、最終的にどんなアウトプットに仕上げるか。それらを考えつくっていくプロセスがたまらなく好きなんです。
— monopoに入社した経緯について教えていただけますか?
山口:最初は転職エージェンシーの紹介がきっかけでした。そのときはmonopoのことを知らなかったんですけど、蓋を開けてみたら友達が働いていたり、共通の知人がいたので驚きました。不思議な縁を感じて、神様に「ここだよ」って言われてる気がして入社を決めました。
トラン:大学で修士号を取得するために、海外で6ヶ月のインターンシップが必要でした。子どもの頃から日本のポップカルチャーが好きだったので、東京にあるクリエイティブエージェンシーで働きたいと調べていたらmonopoを見つけたんです。観光客ではなく現地の人として日本を体験できた6ヶ月間は、本当に人生最高の経験の一つでした。それ以上に、monopoの環境やチームのメンバーのオープンマインドな雰囲気に感動し、本格的に日本に移住してフルタイムメンバーとして働くことを決心しました。
2. 心を動かす作品と日々のインスピレーション
— お二人のインスピレーションはどこから受けていますか? 日常のどんな瞬間がクリエイティブな刺激を与えるのでしょうか?
山口:SNS、友人との会話、街中の風景からですね。今はスピーディーに情報を得ようとすると、すぐネットで情報を得られる便利な世の中になりました。
ただいろんな人とのリアルな会話や、外を歩く時にすれ違う人の服装から、世の中のトレンドや「気分」のようなものを身体を通して感じられるんだと思います。正直どんなところからもインスピレーションは得られますが、それを受け取る側のその時の姿勢次第かなと。
トラン:私も日常の全てからインスピレーションを受けていると思います。街を歩いていると、たくさんの疑問が浮かんでくるんです。なぜこの建物はこの形なのか? なぜこのタイポグラフィが選ばれたのか? と考える時間が、デザインに対する新しい視点を生み出してくれます。
— 最近特に感動した作品やデザインについて教えてください。
山口:アナログな要素が好きなので、生の視覚や聴覚を通じて響くものに感動することが多いです。例えば、「we are rewind」のカセットプレーヤー。長い間聴けていなかったテープ音源を聴ける幸せを楽しんでいます。そして、KOKUYOが手がける「THINK OF THINGS」のプロダクト。どれも素敵なデザインで、目を奪われます。
【we are rewindのCassette Player】
【KOKUYOのTHINK OF THINGSのプロダクトたち】
トラン:スポーツ写真家のGeoff Loweさんの作品に、パリオリンピックからすっかりハマっています。彼はシークエンスショットという技法で動きのさまざまな段階を一枚に収めるような写真を撮っていて、静止画なのにまるで動いているかのように感じるんです。スポーツと写真、両方が好きな人にはたまらないですね。
— 最近得たデザイン技術やツールについても教えてください。
山口:最近はAIを使ったグラフィック作成にハマっています。日本語のタイポグラフィとAIの組み合わせが、これまで以上に実用的になってきました。でもその反面、手作業の大切さも再確認していて。手書きから生まれる自由な形やデザインも改めて楽しんでいます。デジタルツールと手作業のバランスが、新しいインスピレーションを生みだしてくれると思いますね。
トラン:私は最近TouchDesignerを使い始めました。インタラクティブなマルチメディアコンテンツを作るためのツールでなかなか面白いです。映像やインタラクションの表現の可能性を広げてくれます。
3. アートディレクターに求められるスキルとは?
— アートディレクターには多岐にわたるスキルが求められますが、これまでの経験を通じて特に重要だと感じるスキルは何ですか?
山口:粘り強さと熱意が重要だと思います。そして、日常的なインプットと、他者への思いやりも欠かせませんね。
トラン:新しいアイディアを見つけていくことですかね。クライアントからいただくご相談にインパクトある提案で応えるため、トレンドに頼りすぎないことや固定概念を壊していくことを意識しています。もちろんアイディアだけではなく、かたちにしていくための正しいデザイン知識も必要です。それが社会に対して、ブランドのメッセージを印象強く届けていけるアウトプットに繋がると思います。
— 他者への思いやりと言及されていましたが、チームで働く際に他のメンバーの意見やアイデアをどのように取り入れていますか?
山口:上下関係にこだわらず、フラットに意見やアイデアを取り入れるよう心がけています。そのなかで大事なのは、芯をつかんでいるか、イメージしやすいか、そして何より自分がワクワクするかという感覚です。たとえアイデアがピンとこなくても、もらった考え方やエッセンスを取り入れることもあります。相手へのリスペクトを忘れずに、自分の気持ちも大切にしています。
トラン:少し似ていますが、みんなが安心して話せる雰囲気づくりを心がけています。異なる視点やバックグラウンドを持った人たちと一緒に考えることは、ひとりでは思いつかなかった新しい可能性へと背中を押してくれると思うので。ベストなクリエイティブはそうやって生み出していけるんだと思います。
— 最後に、アートディレクターとして今後挑戦したいことや、将来のビジョンについてお聞かせください。
山口:これからも日々挑戦し、フレッシュでボールドなものを作っていきたいです!
トラン:クリエイティブで世の中をより良くしていきたいです。大胆なアイデアを追求し、新しい挑戦を通じて成長していきたいと思っています。
日常の何気ない瞬間から、プロジェクトで得た経験、新しいツールへの挑戦に至るまで、彼らのデザインに対する情熱と探究心は止まりません。monopoのアートディレクターによって生み出される新しいクリエイティブに今後もご期待ください。
業務拡大につき、monopo Tokyoでは正社員枠にてアートディレクターを募集しております。興味を持たれた方はふるってご応募ください。詳しくはこちらをご覧ください。
執筆:山田にな
編集:鎌上真帆
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