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サミットレポートvol.3:全社イベントで東京から世界へ進出した意味を振り返る。イベントを導いたグローバルプロデューサーたち

2023年3月、monopoは史上初の世界4都市(東京・ニューヨーク・ロンドン・ベルリン)からメンバーを集め、さまざまな取り組みを行う『monopo Global Summit』(以下、サミット)を開催しました。約1週間のサミット期間中は、世界約14カ国ものバックグラウンドを持ったメンバーが東京オフィスを拠点に日本に滞在。支社同士でオン・オフを問わず交流を深め、知見をシェアするさまざまなイベントを企画しました。

▼サミット実施の経緯〜行程をまとめた記事はこちら

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実に9割以上の社員が「またやりたい!」と回答した社員総会を企画した幹事は、monopoのグローバル進出に大きく貢献したプロデューサーのAsako Tomotani & Georgi Roberts ペア。
彼女たちを中心に、サミットの舞台裏や参加したロンドン支社のメンバーからエピソードを聞いてみました!

サミットを成功に導いた「グローバルプロデューサー」の仕事とは?

「グローバルプロデューサー」という仕事は、monopo(会社)において、サミットなどの国際的なイベントやプロジェクトを成功に導く役割を果たすポジション。

グローバルブランド(資生堂、カナダグースなど)の制作業務を中心に取り組んでいた社員を中心に、2018年のロンドン支社設立をきっかけに、グローバルプロデューサーのポジションが誕生しました。この役職では、国境を越えたプロジェクトをリードし、異なる文化や言語の要素を考慮しながら、参加者や関係者とのコミュニケーションを円滑に行います。そして、今回のサミットも彼女たちのリードを中心に実施されました。

東京開催のawwwardsでも基調講演をつとめた二人。

サミット幹事への6つの質問。手配周りからグローバル展開の意味を思い出すまで

サミットレポートvol.2では、社員からの振り返りをまとめましたが、今度は中心人物となった幹事たちにどんなことを考え、試行錯誤しながらサミットを実施したのか訊いてみました!

ー 代表・佐々木からのブリーフ「サミットやりたい(全オフィスから集まるイベントをやりたい)」と聞いたときどう思った?

Asako: 最初の感想は「楽しみ!」でした。とてもワクワクする気持ちがある一方、これまで行われたことのない取り組みなのでその分未知のなかに飛び込んでいくような気持ちもありました。
佐々木さんから最初の連絡が入ったのは2022年10月5日。実際にサミットが開催された3月のおよそ半年前で、半年かけて準備できる分、それだけの時間をかけられるのならいいものにしないとな、という緊張感もありました。ベルリンに拠点を置きながら東京でのイベントを企画することに不安もありましたが、全支社の中間地点にいることをうまく活かして、全てのメンバーにとっていいものになるように全力を尽くそう!という意気込みもありました。

Georgi: 今思えば、このサミットは、2019年にロンドンにある最初の支社を見学に行ったときから考えていたアイデアだったんです。新しい街で新しいmonopoに直接触れたことで、私たちの企業文化が進化していくのを目の当たりにし、とても感動したことを覚えています。そして、ロンドンやニューヨークで(東京発の)monopoが新しい形になっていくのを見て、私たちは出張先でとても感動し、グローバル展開には価値があると確信し、創業の地である東京にみんなが集まる日を心待ちにしていました。 コロナによる影響もありましたが、ついに正式に計画ができたとき、グローバル展開の夢が叶ったような気がしました。


ー「サミット」はどうやって形にしていったのでしょうか。

Asako:佐々木さんから当初もらったブリーフ「team integration and get inspiration from each other (チームが一体となりそれぞれが刺激しあうこと)」を基盤とし、各支社の創業メンバーたちがサミットに期待する内容をヒアリングすることから始めました。支社によってこの巨大ミートアップに期待する内容は少しずつ異なるので(特に東京とロンドン)、そこに特に注意しながら企画を進めました。

今回は初回ということもあり、複雑なコンセプトはあえて掲げず、シンプルに全社で同じmonopo像を共有し、同じ視点から新しい未来に向かっていけるきっかけになるような場を築こうと思いました。それが私なりに考えたintegrity buildingでした。

また、パソコンの画面の中でしか会話したことのなかったメンバー同士が遂に現実世界で出会う機会でもあったので、一人一人のメンバーがしっかりお互いのことを知ることが出来る場を作ることにも注力しました。東京チームの人数が圧倒的に多いので、チームのサイズの差を考慮することも大切でした。
そして、東京に来ること自体を心待ちにしていた海外メンバーが「monopoだからこそできる体験」を出来るような企画の組み方もポイントとなりました。monopoメンバーのクリエイティビティはオフィスの外でも発揮され、みんなのセンスの良さがキラッと光るような体験を通して交流を深めてもらいました。


ー 多くの会社で課題にあるように、「(普段の業務が忙しいにもかかわらず)社内イベントってなぜやるのか?」という声もあったとのこと。でも最終的にはかなり社員が各イベントの幹事や手配を行うなど、コミットしてくれたように思います。「サミット」に社員を巻き込んで参加してもらう、幹事としてイベントを支持してもらうために意識していたことは?

Asako:もちろん全社アナウンスや事前のスケジュール共有もありましたが、さらに社員にもイベントの企画やオーガナイズを担当してもらうことでサミットに向けて意識を高めてもらうことを試みました。

また、事前準備を各支社の社員混合のチームで進行することにより、東京に集合する前から(リモートで)支社間の交流を増やしていくことも意識しました。

ベルリンからのオーガナイズだと、やはりこの部分が一番難しかったのも正直なところ。現地にいないことにはそこのチームの温度感がわからないこともあり、次回はイベント周知の方法をより改善できるといいな、とも思っています。

Georgi: 開催地の東京オフィスのメンバーは業務で忙しくても、来日メンバー(ロンドン・ニューヨーク)にとってより有益で刺激的にしたいと感じていたようで、実際のプランニングの多くを担ってしまうのが負担になった点はあるかもしれません。でも、サミット初日に来日したメンバー(ロンドンとニューヨーク支社のメンバー)からのインスピレーションが東京メンバーにも伝わったようで、雰囲気が一変したように思います。そして、サミットで一緒にアクティビティを企画することで新たな友情が生まれ、サミットの日程が近づくにつれ、全員がお互いに「おもてなし精神」を発揮できたのはよかったと思います。


ー「サミット」をやる意味や効果とは何でしょう?また、この壮大なプロジェクトを乗り切れた理由はなんでしょうか。

Asako: monopoをmonopoたらしめているのは人です。誰にも縛られず、みんな一緒に創り続けたいという意志のもと、会社という形でチームになっています。人と人との繋がりを具現化することで、みんなの創造性は向上するだろうし、尊敬しあっている仲間だからこそお互いから受け取るエネルギーを糧に新しいクリエイティブを生み出していけるんだと思います。

準備は結構辛かったけど(笑)、サミットの週が始まった途端にみんなが絶対に楽しんでくれる、という自信はありました。monopoの人たちは一つの同じ場所にさえいれば、絶対に楽しい内輪ネタを作ったり、会話を始めたりするような人たちの集まりです。なのでどんな状況でも、みんなを同じ場所に集めれば必ずいい時間になると確信していました。それは私がmonopoの全てのオフィスに行ったことがあり、ほぼ世界中の全社員とも面識があって、この人たちが一緒になったときのことを簡単に想像できたからです。

今回、monopoのカルチャーについて考える時間がたくさんありました。なんで私たちは「monopoらしい」んだろう?この「らしさ」がパーティーや国際的なこと、そしてクリエイティブに結びつけられたりもします。でも今回気付きました。言語やインスピレーションの交換のし合いは、みんなの能力の高さ以前に、一人一人の優しさの上に築かれていました。お互いを思いやる気持ちがこれほどに強い40人が集まると、言語や育った環境が違えど「わかりあいたい」という気持ち一つでいろんな想像力と創造性が生まれていました。

Georgi: monopoは何年も前からグローバルブランドとして成長してきましたが、そのほとんどは東京の国際的なコミュニティや、デジタルネイティブとして、支社やクリエイティブコミュニティとオンラインでつながることでした。サミットは、私たち全員が物理的に集まり、それぞれのクリエイティビティを享受し、monopoカルチャーの解釈をさらに広げることができる初めての機会でした。

2019年にロンドンに進出したとき、私たちは初めて世界のほかの地域に物理的に文化を持ち出し、既存の文化をどのように取り入れ、地元の「ひとひねり」を加えた新しい味付けを見て、とても刺激を受けたのですが、サミットは、その感動をmonopoメンバー全員が味わう機会になったと思います。そもそもなぜ私たちがグローバル展開に一生懸命なのか、その理由を思い起こさせてくれました。そして皆、文化や言語の枠にとらわれず、勇敢でオープンマインドなのだということを知ることができました。  

monopoのクリエイティビティは奥が深いですが、その文化、そしてそれを作る人々こそが、monopoのコアバリューなのです。サミットでは、過去から学び、現在を振り返り、monopoの未来を共に夢見ることができました。


参加支社代表に訊くー海外から見た日本の「個性」とは?


幹事側には、主にホスト都市からの視点が上がってきたが、実際来日したゲスト側はどうだったのだろうか? もともと東京を拠点としてロンドンに渡ったMattijs、ニューヨークに渡ったToshikaに訊いた。

ー ロンドンメンバーがほぼ初来日するイベントにあたり、どんな内容を企画に入れたいと思っていたか?

Mattijs:  私たちが大切にしている(元祖でもある)monopo Tokyoの価値観や行動様式を、ロンドンのみんなにも感じてもらいたいと思いました。コラボレーション、配慮、ホスピタリティ、イマジネーションは、東京の日常生活の一部であり、ロンドンのチームには、それらを直接体験してもらう機会を作りたかったのです。日本について教えるのではなく、日本を体験することが重要だと思っていました。

ー (ロンドンメンバーから)面白いリアクションはあったか?

Mattijs: monopo Tokyoの皆さんの素晴らしいホスピタリティに圧倒されていたようです。小さなグループに分かれて、東京のメンバーが街の印象的な場所を案内してくれたときには特にそう思いました。このような小さな体験(を積み重ねること)への配慮と準備には驚かされロンドンのメンバーはそれぞれユニークな思い出を大切にしています。

ー 日本のクリエイティブ&ユニークネスとはなんだと思うか?

Mattijs:日本は想像力×技術×コラボレーションをユニークなレベルで組み合わせることができると感じます。この3つの要素をすべて組み合わせるのはとても難しいのですが、東京オフィスと一緒に仕事をすると、それらの要素が作品に表れてきます。クリエイティブな才能があるのはもちろんですが、他の人の意見を聞きながら、一緒に作品を完成させようという好奇心もあります。だから、コラボレーションをすることに喜びを感じるんだと思います。

Toshika: ありきたりだけど細部へのこだわりが徹底している、ハイスタンダードな品質がジャパン・クラフトだと思う。広告表現に限らず、日々触れるもの(お土産の和菓子、レストランのインテリア、結婚式のプログラムなど、なんでも!)の伝統的な部分と現代的な部分がうまく混じり合い、品質へのこだわりを持っているんだと思いました。

ー コロナ禍で往来ができない時期を経て、自分の拠点と、東京オフィスと比較してどういう印象を持ちましたか?

Mattijs: コロナ禍は目に見えないレベルの不確実性があり、自分たちにとって非常に厳しい時代でした。政府の規則が頻繁に変わり、それが国によって違うので、ロンドンのチーム内だけでなく、海外の同僚とも緊密な関係を保つことが本当に難しくなりました。しかし、私たちはチームの努力に感謝し、誇りに思っています。そしてコロナ前よりも絆はさらに強くなったと感じています。

Toshika: Both has resilience and recovery(ニューヨークにも東京にも復元力・回復力があった) ー コロナ後のニューヨークでは消費主義への批判的な声も多く、D2Cブランドや買い物客が減ったりと、物理商材を扱うビジネスが大きく減ったように思います。その一方で小さいスタジオやフリーのクリエーターが連帯しあって、コラボレーションしたり、自分たちにとって意義のあるビジネスを作り出したりしていることにはインスピレーションを受けています。

ー もともとTokyoオフィスで働いていたNYのメンバーたちが、いわゆる「凱旋帰国」に向けて意識していたことはあるか?

Toshika: 「ありますか」と聞かれるとないのですが……。東京オフィスには勢いがあり、若い新しいメンバーがたくさん増えたので、彼らと話せることを楽しみにしてました。

まとめ

サミットレポートのnoteでは3回にわたり、イベントの内容、そしてmonopoを形作る人たちの声、幹事と各支社の代表の声をまとめてきました。そこに共通して話題に出るのは派手なイベントでも、言語や表面的なグローバリゼーションを讃えるものでもなく、いつも「人」がどうであるかにフォーカスした話であるということ。サミットでは、いままで明言せずとも浸透していた「monopoらしさ」が世界中のメンバーに渡っていることを実感し、一体感が生まれるきっかけになったのではないでしょうか。そんなmonopoに興味を持った方は、ぜひ各オフィスに遊びに来てください!


写真:monopo Tokyo, 馬場雄介
レポート・文:Midori Sugama


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