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モノの図書館の今。2024年時点の調査レポートをご紹介(前半)

こんにちは。モノの図書館研究所の佐藤です。
今回は、2024年時点のモノの図書館の現状に関して、Shareable(共有をテーマにした非営利のWebメディア)がまとめたレポートを紹介していきます。原文レポートはこちらです。ここで紹介されるデータは、11カ国82箇所のLoTを対象としたアンケートの結果です。

長くなってしまうので、前半と後半に分けて紹介します!

LoTの活動年数:1年以上5年未満が半数

LoTの半数は、活動年数が1年以上5年未満の団体です。一方で6-10年の活動を行っているLoTも20%弱存在しています。

LoTの週あたりの営業日数:週に3-5日が最多(44%)。ついで週に1-2日(36%)

LoTの週あたりの営業日数は、週に3-5日が最も多く(44%)、ついで週に1-2日(36%)、毎日(10%)という順番です。

LoTの週あたりの営業時間:週に10-19時間(24%)が最多、ついで6-9時間(22%)、3-5時間(14%)

LoTの週あたりの営業時間は、週に6-19時間が半数で、ついで3-5時間という結果です。

LoTはどのような場所に設置されているか:公共スペースでの設置は少なく、コワーキングスペースや慈善団体が管理するスペース、教会、障害者施設、大学キャンバス内など様々

LoTはいわゆるコミュニティスペースに設置されることが多いが、公共スペースの設置は10%程度に留まる。コミュニティスペースとしては、コワーキングスペースやビジネスハブ、他の団体のスペースの一部、教会など様々である。

ニーズ調査の実施有無:半数以上が実施をしていない

55%のLoTは、ニーズ調査は実施していないようです。(先行研究では、ニーズ調査の必要性に関する記述が多かったので意外でした)

会員の人種・地域:46%が白人、ヨーロッパ系で、21%が不明。ついで黒人が9%

会員の46%が白人、ヨーロッパ系という結果です。(LoTがある地域、実施しているアンケートの地域もヨーロッパに多く存在しているため納得の結果ではありますが、筆者としては人種・地域を聞くことの意味は不明です。)

多言語対応の有無:8割が非対応

利用者の46%が白人、ヨーロッパ系で21%が不明、9%が黒人、アフリカ、カリビアン系であり、多言語対応の必要性が低いのかもしれません。

LoT利用者の世帯年収:$30,000-$49,999が最多(30%)、ついで$50,000-$74,999(28%)、$75,000-99,999(19%)

chatGPTで調べた欧州の平均的な世帯年収が約30,000~40,000ユーロ/年(中央値:約25,000~30,000ユーロ/年、最頻値:約20,000~25,000ユーロ/年)ということなので、利用者は概ね平均的な世帯(もしくは、若干世帯年収が高め)であると推察できます。

どのようなサービスを提供しているか:ワークショップ(28%)、リペアカフェ(24%)、その他(16%)、ついでリサイクル・アップサイクル(14%)

LoTの91%が、道具の貸し出し以外のサービスを提供している。とりわけ、道具を使ったワークショップは28%のLoTが実施している。その他としては、種子バンク(植物の種の配布)などが行われている。米国の道具図書館では、ワークショップやイベントなどで、年間20万ドル以上の収益を出しているとのこと。

有給スタッフの人数:半数近くは有給スタッフはいない(47%)、ついで1名(19%)、2名(18%)

半数近くのLoTは、有給スタッフがいない中で運営している。8割近くのLoTは0-2名の有給スタッフで運営している。

アクティブボランティアの人数:1-5名が最多(31%)、ついで21名以上(30%)、6-12名(24%)、13-20名(15%)

1-5名と21名以上がほぼ同割合であることは驚きである。

ボランティアへのインセンティブ:会費無料orクレジットの提供(44%)、その他(27%)、道具賃料無料(17%)

ボランティアの時間的コミットメントに対し、LoTの会費無料やLoTで使えるクレジットの配布をLoTの44%が行っている。

どのようなパートナー機関と連携しているか:サービス機関(24%)、ボランティア機関(23%)、政府機関(19%)、その他(15%)、民間企業(12%)

LoTの4分の1は、地域のサービス機関やボランティア機関と連携をしているようです。(サービス機関とは、行政サービス、市民サービス、メーカーのサービスセンター、コミュニティサービスセンターなどの窓口機能を提供している機関のようです)他にも学校や企業の組合などともパートナーシップを結んでいるようです。

前半は一旦ここまで!次回は、LoTの母体がどのような運営母体(NPO法人?株式会社?組合形式?)で行われているかからスタートします。

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