ちょっと、が気になる本。
『人生最後のご馳走』の青山さんの新刊本。いまベストセラーになっていますが、以前こんなインタビューを「メシ通」というところで載せてもらいました。
https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/jitsu-asayama/19-00128
そんなこともあり、新しい本が出たときに本を送ってもらい、すぐにこんな書評を書いたんですよね。
【ちょっと書評】
『ほんのちょっと当事者』青山ゆみこ ミシマ社
三枚のクレジットカードを「手裏剣のように切りまくった」あげく自己破産寸前までいった社会人ほやほやの頃の出来事を振り出しに、「ざー」という耳鳴りの悩み、三日間傍聴したある裁判のこと、50近くになって言えるようになった、十代のセクハラなどを綴ったコラム集だ。
この本のポイントは「ちょっと」にある。
どん底だった「あの日々」を、時の経過で客観視。胸のつまりをそのままに「ちょっと」軽妙に味付けしている。
読者は、著者の軽率や失敗を「ちょっと」上から目線で笑い読みしながら、自身の教訓とすることになる。
とりわけ身近なのは、親の介護と看取り。「ゆかん」の日の父親の顔。いがみあっていた父娘だったが、あれやこれやを遠のけ、遺品の「父のすててこ」を履こうとする場面。遺されたモノは物ではあるが、単なる物品ではない、と得心する。 (朝山実)
という原稿を某誌に送って、いつもながら忘れかかっていたころ、担当さんの「ええー!!」というありえないチョンボで「あれ、載せられくなりました」といわれ、つまりボツにしたいと。短い記事だから、まあ、しょうがないとおもいつつ、もったいないから、ここに載せることにしました。
前著のホスピス病棟を取材した本のタッチとは一変して、おんなは奥が深いと思いました。繰り返しになるけれど、「父のすててこ」は、『人生最後のご馳走』ともクロスして、「お弔い本」につい食いついてしまう筆者としては時間差攻撃で胸にくる。
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