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【第5回】「踊ってみた」動画は著作権侵害になる?

「踊ってみた」 動画は、YouTubeだけでなく、InstagramやTikTokなどでも若者を中心に人気のあるコンテンツです。
中には自分なりのアレンジを加えたり、顔出しせずともVTuberに踊らせたりして動画をアップしているケースも珍しくありませんが、ダンス(振り付け)の著作権についてはあまり知られていません。
ですが、振り付けに著作権が認められたケースも過去には存在します。

Q:「踊ってみた」動画は、YouTube だけでなく、InstagramやTikTokな
どでも人気です。
AKB48の『恋するフォーチュンクッキー』のMVで用いられた振り付け、ド
ラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で使用された星野源さんの楽曲『恋』の恋
ダンス、アイドルグループNiziUの『Make you happy』の縄跳びダンスなど
が有名ですが、最近では特徴的な振り付けが使われている「踊ってみた」動
画が投稿されるケースも多く見られます。
ダンスが苦手な私も、VTuber動画においてキャラクターに踊らせたいのですが、ダンスは著作権法で保護されるのでしょうか?

A:著作権法第10条では、「舞踊又は無言劇の著作物」 があげられています。
舞踊とは、 音楽にあわせて身体をリズミカルに動かすことにより、感情や意思などを表現する芸能のことを言い、 ダンスは、「舞踊」 に含まれるものと考えられます。
ダンスの振り付けについては、音楽の著作権などと異なり、裁判にまで発展するケースは少ないものの、 著作権が認められたケースは、 バレエの振り付けに著作権を認めた東京地方裁判所1998年11月20日判決、 日本舞踊の振り付けに著作権を認めた福岡高等裁判所2002年12月26日判決、 フラダンスの振り付けに著作権を認めた大阪地方裁判所2018年9月21日判決があります。
ダンスの振り付けに著作権が認められなかった具体例として、 社交ダンスの振り付けの著作権が問題になった 「Shall we ダンス? 振り付け事件」(東京地
方裁判所2012年2月28日判決) があげられます。この判決では、 振付師である原告が著作権を主張する振り付けはいずれも独創性を備えるものではないとして、 著作物性が否定されています。
振り付けが社交ダンスの既存のステップを組み合わせ、 適宜アレンジを加え
たものに過ぎない場合には著作権は認められないが、 それを超えて顕著な特徴を有するといった独創性を備えた場合には著作権が認められることになります。

『IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください』

実際には多くの 「踊ってみた」 動画が投稿されていますが、これらの動画のほとんどが、 著作権法に違反しているということになるのでしょうか?

『踊ってみた』 動画については、 ゲーム実況動画と同じ特殊な側面があります。
『恋するフォーチュンクッキー』 や 『恋』 などの場合が典型例ですが、 動画の中で一部が使われるという程度であれば、その曲やミュージシャン、提
携している商品などの宣伝になるという側面もあるので、 問題にされることはあまりないでしょう。

『IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください』

このマガジンでは、引き続き本書からの抜粋をご紹介していきます。
この他にもYouTuber・VTuberの目線に立ったわかりやすい事例で法律と規約について解説しています。
気になった方は是非『IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください』をご一読ください。

イラスト カケヒジュン

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