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息をする、本を読む

本を読んで、小説を書く。
『本を読む』という部分は別の物にも置き換えられる。アニメを見たり、映画を見たり、どこかへ出かけたり、おいしいものを食べたり。
受け取った刺激を、自分の場合は小説へと出力する。

この感覚がどこか『呼吸』のようだと思った。
吐き続けるのは難しく、同じように吸い続けるのも難しい。

穏やかな読後の余韻の中で、自分の経験や思い出と読んだ本の内容が溶け合っていく。この感覚を覚えたのは、いつからだろう。よくは覚えていない。

昔は、もっと純粋に物語の世界に入り込むのが好きで読書をしていた。主人公たちの後ろを追うように物語が進んでいく。その感覚が好きだった。

でも、ある時、本がぱたりと読めなくなってしまった。私のnoteではたびたび出てきているが、大学で色々あったせいか『読書』ができなくなっていた。マンガでぎりぎり、一日に1冊が限界な時もあった。

それと時を同じくして、趣味である『小説を書く』こともできなくなっていた。筆が進まない、考えがまとまらない……そして何より『何も想像できない』――何度か、筆を折ろうとした。それでも、書くことをあきらめきれなかった。

ある程度時が過ぎ、以前と同じようにとはいかないが、漫画や物語が読める、その世界を考えられる、想像できるようになってきたとき、再び書きたいという気持ちに気が付くことができた。そうしてようやく『小説を書く』という世界に戻ってこれたような気がした。

残念ながら、私の中に湯水のようにアイディアはないし、売れる・読まれるような小説を書くメソッドもない。
それでも。素敵な本に出会った時、素敵な世界に触れたとき。
私は自分の世界も書いてみたいと思えるのだ。

私はそうして、今日も筆を執っている。