わりなき恋 著者:岸恵子
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わりなき恋
タイトルを見た印象は
「わりなき恋」ってなんやね
と言うのが印象
最初は「終わりなき恋」だと
思っていたけど
理りなき恋=恋をするのに理由なんかない
恋をするのに理屈なんてない
ただ恋に落ちた
ただ惹かれていく
ただ心が相手を求めている
ただ体が相手を求めている
世間体とか体裁とか関係ない次元で
二人は惹かれ合う
そんな状態
なんか懐かしいにおいが漂っている
そんなふうに思いました。
この恋をするのに
理由などない、理屈などない。
それは立場や年齢や歳の差や
国籍なども関係無いと言う事だと思います。
ちょっと素敵で
ちょっとワクワクな
そんな小説ですね
チャーミングな70代とわがままな50代
この話は逆年の差カップル13歳、
しかも男性は地位も家庭もあり。
女性は未亡人。
不倫の関係が7年続くわけです。
男性のわがままさと
女性の謙虚さに若く見えるチャーミングな
70歳との恋なら有かと思いました。
女優さんだとこんな感じ
でも・・やっぱり二人ともわがままで
自分勝手ではあります。
恋とはそういう物なのかもしれませんね。
これが人間だけに許された感情
でも動物の部分も捨てきれないから
悩み苦しみ、人を思いやり、周りを思いやる
だからこそ、また、
苦しさが、切なさがこみあげてくる。
そんな関係なんですよね。
時間と空間と感情
この小説の素晴らしいのは
時代背景という空間を現実の歴史の中に盛込み
そこへフィクション(多分)という
仮想を重ねている事
※もしかすると、私が提唱している
ハーフフィクションかもしれません
半分はノンフィクションで半分がフィクション
岸恵子さんに聞いてみたいですけどね
二人の生い立ちから
年老いるまでの時間をうまく描いている事
実在する地理や名所を見事な描写で
読者をその世界に引き込む事
この辺が素晴らしいのだと思います。
東日本大震災
この小説で許せない事が一つあります。
それは、東日本大震災をモチーフにし
小説内の家族を死なせてしまう事です。
100年前の出来事であるなら
まぁ良しとしましょう。
しかしこの小説が発刊になった
2013年はまだ傷跡が生生しく残る
心に大きな傷を負った方たちが多くいる
その内容をモチーフにした事は
私には許せません。
この小説が完全なノンフィクションであるなら
記録と記憶を整理する意味ではアリです。
しかし、精神を病んだ妻と東日本大震災
これはどう見ても私には納得いかない部分でした。
そして・・家族に精神を病んでいる者を持つ
家長として、主人公の男性は
仕事に逃げただけでしょと思ってしまい
不愉快な思いはしました。
私もまた、
家族に精神を病んだ者を抱える身として
夜は幼い子のミルクに2時間おきに起き、
朝5時に起きて洗濯をし、
朝6時から働き、
午後3時には帰り、夕食や家族の世話をする。
そんな日々を10年以上続けました。
いつかノンフィクションとして書きたいとは
思っていますけど。
それでも私は逃げずに家族と向き合い、
仕事や女に逃げたい気持ちを抑制して、
今も家族を支え続けているし
会社でもそれなりの地位には居ます。
なんか、この小説のこの部分だけ取ると
二人ともわがままで
自分勝手で、ただ言い訳、大義を探していた。
それでも求め合う心と体は止められなかった。
小説だから、仮想空間だから
まぁいいでしょうね。
私がファンタジーを好んで描きたいのは、
自分の現実から唯一逃亡する手段だからです。
あるいは岸恵子さんも
この小説の中に、自分を逃亡させたかった。
そういう見方をすれば、私も同じだななんて
ちょっとだけ思いました。
不倫
この小説は不倫です。
しかも、女性が13歳年上です。
でも若く見え、チャーミングです。
この小説を読んでいて、自分の書いたものと
少しオーバーラップしてしまいました。
このMrs.書いた時は、テーマは年上の女性でした。
物語を書き直すにあたって、同年代へ戻しましたが
一度はまってしまった二人には見えない手錠がはめられ
この鎖を切る事ができず、もがき苦しむ
そんなテーマでした。
この「わりなき恋」
7年であっさり分かれてしまいます。
奥様を迎えに行く彼を見送る形で
でも・・小説だから断ち切れる
実際に、この物語の中に登場させた二人の性格
感情から
さてさて、本当に「恋は終わった」のか
その水面下で「わりなき恋」が続いていたのかは
読者が想像せよという事なのでしょうね
エロチシズム
最後に二人で旅行にいくんですよね。
そこの美術館で出会う絵画
グスタフ・クリムトの「接吻」ヴェルバーデル宮殿に飾られている
「接吻」
https://www.artpedia.asia/klimt-the-kiss/
こんな風に溶け合いたい
これが「わりなき恋」の形なのかもしれません
そして黄金の雨に打たれるダナエ
https://www.artpedia.asia/work-danae/
ある意味で、著者:岸恵子という人物像を
その知識の深さを、
この小説を通じて垣間見ていたのかもしれませんね。
https://fujinkoron.jp/articles/-/2415
88歳
この小説の主人公のように、まだまだ女を感じてしまいます。
本日もだらだらとした長文を、
最後まで読んでいただき、
ありがとうございます。
皆様に感謝いたします。