ボロクソワーゲンの事
その昔、日本の私鉄ではドイツのコッペル製の蒸気機関車がやたら使われていて、イヌのク◯とか呼ばれていたそうだ。
自分達が小学生だった1977年頃には「ボロクソワーゲン」という言葉があった。
これは自動車メーカーの名前をひねった(ひねってないともいう)言葉で、そのメーカー全般ではなく、あるクルマに対して使われた。
それはタイプ1、すなわち(初代)ビートルである。
既に後継車種である初代ゴルフがデビュー後、今から考えればドイツ国内での生産が終わろうとしている頃だった。
そういえば、ゴルフとかシロッコとかはボロクソには言われなかったと思う。
当時のスーパーカーブームの中で、スポーツカーを探し回るガキどもにとっては、初代ビートルはあまりに数が有りすぎて「外車」の枠に入れてもらえなかった。
昆虫採集みたいな感覚だ。いや、昆虫採集ならカブトムシは大当たりなんだが。
故障するという印象はあまりなかった。いや、ピストンが一発死んでるような音を立てる個体を見たり、箱根の登りでエンジンフード開けてるのを見たりした記憶はあるが。
そういえば「事件記者チャボ」でも煙吹いてた気がする。コカ・コーラのCMではボート代わりにされ、「元気が出るテレビ」では鉄球を落とされ、「ドラえもん」では迷惑駐車している所を、「スッパリ包丁」でバラバラにされた。
初代ビートルだけでなく、タイプ3、カルマンギア、ポルシェ914(ワーゲンポルシェ)もよく見かけた。ポルシェ914、カタチがポルシェっぽくないし、音が初代ビートルみたいだし、ガキどもには「外れ」扱いだった。
この時点で356レプリカを見ていたら、どんな感想を持っていたかは分からない。
この頃見た初代ビートルやタイプ3、カルマンギアは、手入れはされていたし、さびや汚れはないんだけど、なんとなくくすんでいたり、経年相応にヤレていたりした所も、ボロクソ感を増していたように思う。「外車」でそういうのは他にはあまりなかった。
あ、ミニがあったか。
そういえば既に見かけなくなっていたマイナーチェンジ後の初代パブリカを見て、「ドイツ車だ、ドイツ車だ、」と大騒ぎしたのもこの頃だった。音も似ていたし。
初代パブリカも実は初代ビートルの影響を受け、国民車を目指したものだったのだが。