謎の類人猿「ヤマゴン」は実在した?

「ドラえもん」の、てんとう虫コミックス未収録作品に「雪男のアルバイト」がある(「ドラえもんプラス」4巻に掲載)。

 タイトルからしてUMA(未確認生物の意味の和製英語だが、一部の海外の不思議な物好きには「ジャパンではそう言うんだろ」という感じで通じる)がらみだと分かる。

 時代背景を説明する必要があるかもしれない。1973年、日本テレビの木曜スペシャル枠で「現代の怪奇」というシリーズが始まる(毎週ではない)。それまで少年向け雑誌に時折特集されていた、UMA、UFO(未確認飛行物体)、超能力等がゴールデンタイムのテレビ番組で放送されるようになった。「UFOと宇宙 コズモ」というUFO雑誌が創刊されたのも同年である。
 それ以来、何度か波はあるのだが、「そういうもの」が流行るようになる。

 1978年にはテレビ朝日の水曜スペシャル枠で「川口浩探検隊シリーズ」も始まっている。

 ツチノコとかクッシーとかイッシーとか、随分流行ったものである。

 1979年夏、自分も家族旅行でブームたけなわの池田湖を訪れているが、ほとんど記憶がない。どちらかというと「ドラえもん」単行本未収録(「てれびくん」掲載)の「ターザンパンツ」に出てくる(?)宮崎のサファリパークの方が印象に残っている。

 余談ながら、スネ夫と同じくブルートレインで指宿に行った訳である。父親に最も感謝している一件である。

 これに少し遡り、1970年から1974年にかけて広島県の山奥で類人猿らしき姿が目撃される「ヒバゴン」事件があった。1980年には近隣で「ヤマゴン」が目撃され、1982年には石器を持った「クイゴン」が目撃されている。

 さて「ドラえもん」の「雪男のアルバイト」を見ていこう。

 まずはスネ夫の自慢、「パパがテレビ局の偉い人と知り合いで」入手したスクープ写真。

はっきりしない所がリアル
ロマン溢れるスネ夫
のび太にしてはまともな意見だ

 珍しく、のび太がツッコミ役に回るのだが、いわゆる「否定派」ではない。否定役は他にいるのだ。

手厳しいドラえもん
重ねて強調する

 まあ、ドラえもんは未来を知っている訳で、仕方ないんだけど。

 で、ブームとなると色々な人が来ている。

親子連れ、カジュアル過ぎる

 テレビ局とかだけじゃなく、友達同士とか、家族でヤマゴン見物に来る人まで出る始末。え? 池田湖に行ったお前に言われたくないって? あそこはもともと観光地なんだってば。

これは一体……

 カメラが時代を感じさせる。
 でまあ、正体に関する諸々とかあったりするんだけど、この話、1979年11月号の「てれびくん」。実際の「ヤマゴン」より前に描かれているのだ。

 偶然の一致って世の中にあるものである。

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