単純に世代が交代しているだけなのである

 国鉄185系電車が登場した際、自分達の上の世代の評判は宜しくなかった。国鉄っぽくないとか、新快速の117系と変わらないとか、同じ型式を特急と普通で使うつもりかとか。

 しかし自分から見ると、熱狂的歓迎という訳でも無いが、悪くもないという評価だった。
 確かに185系は転換クロスシートだ。でも新幹線だって転換クロスじゃないか。もっと言うなら、183系の座った途端に座席全体がガタガタして落ち着かないロック無しの簡易リクライニングシートより、ずっとマシではないか。

 こう思っていたし、先輩方にも言っていた。太鼓持ちは趣味の上では一番みっともない行為であるし。

 よく「鉄道好きの間で評価が変わった」と言われる事がある。

 蒸気機関車の写真を撮りに来たのにディーゼルのDD51が来て罵声だったのが、DD51の最後に鉄オタが押しかけるようになったとか言う人がいる。

 でも、みんな気付けよ、現実を見ろよ、SLブームから何十年経ってると思ってるんだよ。
 ついこの間のように言うなよ。あの頃のアイドルは山口百恵だったじゃないか。忘れたのか。ボケたのか。

 評価が変わったんじゃない、世代が交代しただけなんだよ。

 DD51の最後を見に行っているほとんどは、DD51に親しんだ以降の世代である。SLに親しんだ世代ではない。

 北海道にキハ183系が登場した時にキハ82が好きだった先輩方は、あのスラントノーズに悲しんだ。キハ82のライトケースやエンブレムを残した上での貫通型のデザインは素晴らしいとは思う。しかし、今はもう、キハ183に親しんだ世代が引退を惜しむ時代である。

 あなたの世代の評価は、そして私の世代の評価も、さらに下の世代の評価も、「絶対」ではない。

 今はキハ40が引退しつつある。キハ40もまたデビュー当時には宜しくない評価があった。でも、キハ40がデビューした後に鉄道好きのヤングだった世代もまた、今やいい歳なのである。いい加減気付けよ年寄りども。

 琴電に京急の1000が入って、京王の5000が入って、入れ替わって、琴電のHL車達が好きだった人たちは受け入れたのか、いや、受け入れた人はいるが、おそらくは多くは「黙った」のだ。
 そして京急1000とか京王5000とかが好きで、そこから琴電に入った人の時代になった。
 あるいは、全く別な要因で琴電が好きになった人もいるだろう。

 琴電だけじゃない。「あの頃の布原」が好きだった人たちも、「あの頃の飯田線」が好きだった人たちも、「あの頃の根府川」が好きだった人たちも、みんな黙ったのだ。そしてネットで細々と写真や昔話をアップするだけになったのだ。

 だいたい「共通の評価」なんてのが間違っている。鉄道雑誌が無くなる時代だ。

 他人の事ばかり言ったが、自分も「汽車の時代」のおそらく最後の世代である。SLブーム本から入ったのであって、「電車」から入った訳では無い。
 いずれは自分も細々と動くようになるのは間違いない。

 ゴジラだってウルトラマンだってガンダムだって、世代が変われば新しい評価が生まれる。

 逆に、ルーカスの頃のスター・ウォーズだけが好きな人は、それだけを好きであり続ければいい。

 そして「世代交代がうまくいっている」のは、別に寂しい事でも嘆く事でもないのである。

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ものぐさ太郎α
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