軽便鉄道の話とか
軽便鉄道というやつが好きである。何の説明も無しによくここでも書いているが、これの説明が難しい。
英語だとライトレールウェイだが、LRT(ライトレールトランシット)とどう違うのか。
一番有名なのは夏目漱石の「坊っちゃん」に出てくるやつ。「坊っちゃん」、サワリは教科書にも使われたりしている。
教科書に載っている所だと、家政婦の清がおかしいが、続きを読んでいくと、なぜ昔のマンガやテレビドラマなんかでおしなべて、校長がタヌキで、教頭がキザな成金趣味なのか、(多分)その発端である事が分かる。
他にもエラいさんにヨイショばかりで、「これを江戸っ子というのなら、江戸には生まれたくないものである」な野だいこ、「実はいいヤツキャラ」でモデルがいるとされる山嵐、「そういう役だったのか」のマドンナ(本作品は「男はつらいよ」ではない)、主人公がいかに自分が「坊っちゃん」かを語るも、台無しにする発言を返してくる生徒たち、と、実にいいキャラが揃っている。
軽便鉄道は、
「乗り込んでみるとマッチ箱のような汽車だ」
と説明される。海に出かけるんだったと思う。「ターナー島」とか出てくる。
赤シャツは上等車に駆け込むが、これをカッコつけてるというのは、道後温泉で泳ぎ(注意書きの件は被害妄想だろう)、「食いたいものを食って何が悪い」と言う主人公の視点からなのであって、当時の田舎では「教頭先生御一行様」が「下等」という訳にはいかないのである。ってのは旧ツイッターでも話題に出たな。これは「天ぷら先生」の件とつながっている。監視社会だ。
このマッチ箱と呼ばれた客車は、ドイツから木箱に詰めて船で運ばれたというエピソードもある。今も松山市内のあちこちでレプリカや、古い時代の客車を見ることができる。
ついでながら、主人公がその後ついた職業は「電車の運転手」ではない。整備部門の監督さんである。直列並列とかオームの法則とか「フラットが出てるぞ」(注1)といった事(いや、もう少し複雑だろ)が分かっている人が必要なのである。これが分かると「物理学校を出ている」という伏線が回収される
軽便鉄道が出てくるのはもう1つ、芥川龍之介の「トロッコ」である。「熱海小田原間の軽便鉄道の敷設工事が始まったのは良平が8つの年だった」。軽便鉄道の建設工事の様子なのだが、ややこしい事に既に「鉄道」があって、そこを強化して蒸気機関車を走らせようとする工事の様子が描かれている。それ以前にあったのは「トロッコ」のように人が押し、下り坂では重力で進む「人車鉄道」であった。
その後鉄道の全国チェーン(コンビニや札幌ラーメンみたいだが)となった大日本軌道の一部となる。
この完成した鉄道の蒸気機関車は、後に書かれた志賀直哉の「真鶴」に出てくるセリフから「へっつい」と呼ばれ(最初のは屋台みたいだったらしいが)、1両が今もJR熱海駅前にあるので、いかに小さいかが実感できると思う。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に関しては諸説あるのでやめておく。
注1 フラットが出ている
重度の鉄オタと電車に乗っていると、特に雨の日に指摘される言葉。オレはそんな事言わないから安心するように。
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