ヒンドスタン・アンバサダー
インドのクルマと言えばタタ・ナノで知られるタタ、マルチ・スズキ(3ボックスセダンのディザイアもある)、3輪のリキシャ辺りが浮かぶものだが、ヒンドスタン・アンバサダーも忘れがたい。
英国では1956年から生産されたモーリス・オックスフォードシリーズ3がベースで、インドでは1958年から。OHV直列4気筒1489cc、MGBでおなじみの、いわゆるBMC、Bシリーズのエンジンだった。
タクシーや公務員用の車として使われ、タクシーは黒で屋根が黄色が多く、公務員用は白だったという。
タクシーとしては他にムンバイでよく見かけたというフィアット1100ベースのプレミア・パドミニがあったが2001年生産中止、ついでにフィアット124ベースのプレミア118NEも2001年生産中止、「昔ながらのクルマ」としてはアンバサダーが最後まで残っていた。
これ以外にインドではスタンダード(トライアンフ)ヘラルドと、その後継車ガゼルが生産されていた。
実はヒンドスタン社はアンバサダー以前にも、同じフラッシュサイドのモーリス・オックスフォードシリーズ2をベースにしたヒンドスタン・ランドマスターを生産し、さらにそれ以前にもモーリス10、モーリス・マイナー、モーリス・オックスフォードMOを生産していたという話である。
なぜアンバサダー以降、最新車種にスライドしていかなかったのかは、多分アンバサダーの生産しやすさなのだろう。
アンバサダーはマイナーチェンジを重ね、1990年代からはいすゞ製エンジンが加わったが2014年生産中止。
1990年代中頃から日本に輸入された個体も存在している。「クラシックカーの新車」としての人気があったらしい。
生産開始は同じBMCの旧ミニと、3年しか違わないんだよね。
インドの鉄道風景をジオラマにする時には、ちょっとミニカーが欲しいクルマである。