SL急行は発明だったのか?

 随分前に、「お金を出して缶入りのお茶(緑茶、砂糖も加えてない)の飲料を買う」という行為が普通になったのはいつか? という話で知り合いと盛り上がった。

 だいたいお茶って、鉄道の弁当に対して別買いするものを除けば、タダで出てくるものだったからだ。

 この時期は多分1980年代後半ぐらいじゃないか? という事になったのだが、これを「発明」とするならば、同じような「発明」が思い当たった。お茶とも縁が深い大井川鉄道による「SL急行」がそれである。

 その少し前までありふれていた「汽車による列車」は「SLブーム」以後、付加価値を持った存在に生まれ変わっていたのである。

 時に1976年。国鉄から蒸気機関車が一旦消えた後であった。このSL急行、過度なデコレーションなどせず、本当にありふれていた「汽車」そのものだったのも、成功の秘訣だったのではなかろうか。

 大井川鉄道の「かわね路号」は1976年7月からの運転だが、その少し前の6月からはボンネットバスの「伊豆の踊り子号」が運転開始されている。これも外見はごく普通の田舎のバスである。

 この「伊豆の踊り子号」はマスコミに知られ、各地でボンネットバスが復活するきっかけともなった。

 この時代、まだボンネットバスを使用した路線バスは呉市に残っていたから、時代に先駆けた観光化ではなかろうかと思う。

 とはいえこういう乗り物は最初は良くても、次第に維持が難しくなってくるのも、困った問題である。

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