僕のためにパンを焼く

 妹にホームベーカリーというものをもらった。
家でパンが焼けるのである。すばらしい。
 コメが高い昨今、パンで生きて行こうと思った。すばらしく安直だ。
粉やらなんやらをマニュアル通りに放り込む。
生き方は雑なわりに、レシピは守るタイプの人間なのだ。
 十年前の機種らしいが、材料さえ入れれば何もしなくても四時間で食パンが焼ける。
新型には、これ以上の機能があるのだろうか?
もしかして、もうちょい音が小さい? それだとうらやましい。
けっこうな音なのだ。バタンバタン音がする。
始めのほうだけなのだが、中であばれる音がする。
 深夜に活動する夜行性家畜の僕には、なかなか居心地の悪くなる音量。
そのために日が昇ってから作るんだけど、寝てる最中に焼きあがるんだよね。
焼きたてが食べたいのだが、それは休みの日だけで、毎日は無理なのだ。
 今日は週末の焼きたてパンの日!
スイッチオンには、まだ時間が早い。現在朝の五時。
しかも四時間かかる。とおい。すごくとおい。
匂うはずもないパンの匂いを感じながら、明け方からそわそわする僕なのです。