#041. 「生産性」の定義は、難しい.
ビジネス関連のYouTubeやネット記事に目を通してますと
「日本は、生産性が低い」と云われてます。
ところで。「生産性」とは、何でしょう?
ビシっと定義できるモノでしょうか?
(1) 生産性の仮説.
「一人あたりの人間が、一定の期間で生み出す経済価値」
生産性に対して、このように仮説を立てますと
その国のGDPを、その国の人口で割り算すると
算出することが出来そうです。
唐突ながら ここでクイズです。
GDPを 人口で割った、一人あたりのGDPを
ランキング化すると 日本は何位でしょう。
GLOBAL NOTEを参考にさせていただきますと
2020年のデータで、日本は、世界23位です。
40146 (USドル)とデータにありますので
1ドル=109円にてざっくり計算しますと
4375914 となります。一人あたり、約 437万円 です。
他国の一人あたりのGDPは、
アメリカ :世界 5位、 691万円
中国 :世界63位、114万円
ドイツ :世界16位、498万円
といった具合になります。
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(2) 生産性の高低.
日本は、GDPが世界3位ながら 一人あたりのGDPが
23位となると「生産性が低い」ように感じてきます。
悪くないけど もっと上に行きたい。
ライバル意識を燃やしますと、GDP 4位のドイツは
一人当たりのGDPが 世界16位ですし
オーストラリアの一人当たりのGDPは、世界9位、
約576万円ですので、日本より生産性が高くみえます。
大手企業の新卒採用の初任給(額面)を 約21万円として
計算しますと、ボーナス 4カ月の企業なら
21万 × 16ヶ月 = 336万円
ボーナス 5カ月の企業なら
21万 × 17ヶ月 = 357万円 です。
これらの金額を「日常の消費」の参考値に出来そうです。
GDPの計算式が
GDP = 政府支出 + 日常の消費 + 企業の投資 + 輸出額 - 輸入額
でした。お給料から税金で持っていかれている部分が
そのまま「政府支出」になっている、と仮定しますと
企業の投資 + 輸出額 - 輸入額
の部分が 437万 - 336万 = 約101万円 と
考えられます。日本は、食料や エネルギー源を
大きく輸入に依存しているので「輸入額」も
大きくなっているのではないか、と推察されます。
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(3) GDPを増やすには?
GDPを増やすには、
・企業に投資していただく.(設備投資など)
・輸出を増やす.
・輸入を減らす.
の3点がポイントになりそうです。
設備投資をすると、従来、人間が手作業で
行っていた仕事を 機械に任せられるので
なるほど 生産性も高まると考えられます。
広大な農園にて 大きな機械を用いながら栽培したり
巨大な工場で大量生産するようなイメージです。
また 工場の設備でなくとも、今まで人間が手作業で
行っていたことを電子化して、ソフトウェアによって
自動化、ないし、半自動化できれば 生産性が
高まると考えられます。ソフトウェアと云えば
アメリカのGAFAMNの得意分野です。
企業が設備投資にお金を使うとなると
企業が従業員に支払うお給料に影響します。
つまり「日常の消費」が落ち込みます。
ボーナスが 基本給の5ヶ月分だったのに、
今年は4ヶ月分だぜ……の世界観です。
「企業の投資」と「日常の消費」とを両立させるなら
銀行が企業へお金を貸すのが 対応策になります。
現実、政府と日銀が 2%のインフレ目標を掲げていて
(2013年 1月22日発表) 現在も継続中です。
また。外貨の獲得、つまり
・輸出を増やす
・輸入を減らす
の2点については、たとえば 発電所を輸出する、
といった作戦が挙げられます。
インフラ事業は、動く金額が大きいです。
火力発電所ですと、
CO2排出削減に向かってゆく世界の方針 と
開発途上国にも電力を安定供給したい考え方 とが
せめぎあっていきます。
たとえば ビッグなスポーツイベントを開催できれば
・航空会社が潤う.
・宿泊、飲食産業が潤う.
・観光で外貨を獲得できる.(インバウンド消費)
といったチャンスが発生します。
海外、国内、凄まじい逆風でも「中止」と言い出せないのは、
人口減少と共に アメリカや中国との差が広がってゆくGDPを
どうにかして踏み留まらせたい、
少しでも多くの外貨を獲得したい、
このような経済的観点が 多分にあるように感じます。
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本稿では、GDPを シンプルに人口で割り算することで
「生産性」の数値を算出しました。もし あなたの
会社の偉い方が「生産性を改善せよ!」と
仰っていたならば「設備にお幾ら投資してますか?」と
ご確認くださいますよう。
本稿は、あくまで「強引に仮置きした数値」ですし
世界は、もっと複雑だと感じています。
ただ、フェルミ推定と申しますか
何かしらのデータを手掛かりにして、仮説や
仮の数値を算出する時の ご参考に頂けると幸いです。
データは、あくまでデータであって
「そのデータを どう考えるのか?」が大切です。
日本の生産性は、低いですか?高いですか?
あなたは、どう感じられますでしょう?
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最後まで お読みいただき ありがとうございます。
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<参考図書>
ファクト・フルネス