#029. オンライン世界と所有権.
先日の
を推敲する中、過去と 現在とを比較しますと たくさんのものが
デジタル化、オンライン化したのだと 感じました。
整理すると共に、未来のことを 少しだけ お話させてください。
-------------------------------------------------
(1) デジタル化、オンライン化した ものごと.
まず、デジタル化、オンライン化が進んだものを
思いつく範囲で 挙げさせていただきます。
[音楽]
☆ レコード → CD → 着メロ → 1曲配信 → サブスクリプション
☆ ライブのチケットは徹夜で並ぶ → オンラインで申し込み・抽選
☆ コンサートグッズを物販に並んで買う → オンラインでも購入可能
[映画]
☆ 映画館でのみ上映 → VHS → DVD → Blu-ray → サブスクリプション
☆ 映画館チケットは窓口で購入 → チケットはオンライン予約
[写真]
☆ 銀塩 → デジタル一眼 → (ミラーレス) → スマフォ
☆ お店で現像・焼き増し → ネットでプリント
[書籍]
☆ 紙書籍を書店で買う → ECで購入する → 電子書籍
☆ 週刊誌を買う → サブスクリプションで読み放題
[将棋]
☆ 街の将棋サロン → クラブ24・YahooなどPC環境 → 将棋ウォーズ(スマフォ環境)
☆ 人間の方が強い → コンピュータの方が強い
[ソフトウェア]
☆ 箱に入ったCDやDVDの形 → オンラインでDLする
☆ 買い切り型 → Updateと サブスクリプション
[自動車]
☆ ガソリン車 → ハイブリッド車・EV車
☆ カーナビ → スマフォ+Googleマップ
☆ 所有 → カーシェア(予約はオンライン)
[空港]
☆ 紙のチケット → オンライン予約・電子チケット
[会社]
☆ 出社が出勤を意味する → 在宅勤務・テレワーク
☆ 会議室で会議 → オンライン会議
☆ 紙と電話 → メール → チャット
[学校・教育]
☆ 紙のノート → 電子デバイス併用
☆ 電話連絡網 → ML・メールで連絡
☆ 対面のみ → オンライン授業
[証券・資産運用]
☆ 銀行の窓口で相談 → ネット證券で運用
-------------------------------------------------
(2) 考察.
列挙しますと、あらためて、たくさんの ものごとが
デジタル化、そしてオンライン化していると分かります。
Microsoft「Windows 95」が1995年に発売され
インターネットが、一気に一般家庭へ普及しました。
(1995年と云いますと、先日、私が加入させていただきました
「note大学」の学長、ひな姫さんは、
まだこの世界に 存在されていない時代かもしれません。)
2007年に Macintoshから「iPhone」が発売され、数年後の2014年、
国内のスマフォ契約者数が、ガラケー契約者数を上回りました。
在宅勤務やテレワークに関しては、COVID-19の影響を
受けた要素もあるかと推察しますものの、いずれにせよ
20年どころか、直近5~6年で 急速に 変わったと感じています。
「4G」が2010年にリリースされ、 実運用に耐えうる、
広い範囲へと普及したのが、2015年ごろなのかな、と思います。
社会のインフラが整い、4Gを土台としたサービスも
加速していったように考えられます。
-------------------------------------------------
(3) オンライン化の順番と お約束.
上に挙げた事例を考えますと、ものごとの順番は、
・デジタル化 → オンライン化
であることが分かります。オンライン化するためには、
まず先に デジタル化 が前提条件になると言えます。
「当たり前でしょ」と言われてしまう内容です。
しかし少し前までは、デジタル化したけれど
オンライン化と、必ずしもイコールになっていない時代、
つまり 当たり前ではない時代 もありました。
たとえば、ネット回線速度の事情により、DVD画質のデータを
ストリーミング再生するのが 現実的ではない時代がありました。
今は、厳格なリアルタイム性さえ求めなければ
デジタル化することで、ほぼ同時に
オンライン化にも結びつけられる社会になりつつあります。
自動運転などの領域では、今後、
通信のリアルタイム性と
通信が途切れないこと(ロバスト性)とが
要求されてゆくと考えられます。
なお。
まだデジタル化、オンライン化していない領域として、
・味覚に関する領域
・嗅覚に関する領域
が考えられます。
たとえば 気になる香水があるけれど
オンラインだと香りが分からない……といった案件です。
「香りを電子化すること」が一歩目となり、実現すれば
次に「電子化したものをオンライン化する」の
順番になると考えられます。
あわせて「複製されないようにする技術」も
研究、開発、進歩してゆくと予想されます。ディオールなど
ブランド物の香水の成分が 簡単にコピーされては、
大打撃になってしまいますので。
ブロックチェーンのような技術と 組み合わさるのでしょうか。
それともデジタル署名のような技術と 組み合わさるのでしょうか。
私達が生きている時間で実現されるでしょうか。
実現されて欲しいな と、わくわくします。
-------------------------------------------------
(4) オンライン化と在庫.
デジタル化・オンライン化で変化した概念の一つが
「在庫」だと考えます。オンライン化することで 売る側や
提供する側は、場合によりますが、在庫を持たなくても よくなります。
たとえば。ひと昔前は、
「フォトショップ ○○バージョン」ですとか
「アンチウィルス ○○年バージョン」といったソフトが
DVD形式になり、認証キーの書かれた紙とセットにされ、
それが箱に入れられ、ヨドバシカメラや
ビックカメラなどの店舗で 販売されていました。
この場合、提供する側の観点で考えますと
パッケージを「在庫」として持つ必要がありました。
しかし 在庫は、ビジネスの観点で リスクになります。
しかし ソフトウェア本体をオンラインでDLする形式とし、
認証キーも オンラインで発行すれば、パッケージの箱、
DVDのディスク、認証キーを記載した紙などを
省略することができます。
将棋は、どうでしょうか。
「街角で 将棋教室を運営したい」と 考えた場合
部屋を買うなり、借りたり します。
将棋盤や 駒の準備もありますし、手合い係、
清掃係など、人間の工数も必要になります。
何より、お客さんが来ない場合、
部屋の解約などが必要になりますので大変です。
しかし、オンライン化してしまえば
物理的な物件も、 盤も駒も不要になります。
このように、オンライン化は、物を売ったり
サービスを提供する側の目線から考えると 在庫や
有形資産を持たなくて良いので、ビジネスにあたり
リスクを減らすことが出来る、と考えられます。
在庫の代わりに、 提供する側へ要求されるのが
過去の「信用」、そして未来への「信頼」になります。
-------------------------------------------------
(5) オンライン化と業種の相性.
そう考えますと、ビジネス時の材料として「お金そのもの」の
要素が強い、證券、保険、銀行といった業種は、
オンライン化と相性の良い業種に考えられます。
( 私が 中の人 ではないため
企業や業界の体質までは、分かりませんけれども。)
保険をビジネスの構図で考えますと
・たくさんの人からお金を集める → 契約条件に従ってお金を配る
と、シンプルな図式になります。
お金を集める部分も お金を配る部分も
今の時代、どちらもオンラインで完結します。
一方で 在庫を持つことから どうしても
逃れられない業種もあります。不動産、自動車、飲食、
アパレル、お花さんなどが 分かりやすいと思います。
たとえば。不動産を 売る側は
・土地を買う → 家やマンションを建てる → 売る
の図式になります。
こと日本の場合は、人口が減少傾向にありますので
土地や建物が「在庫」になってしまうリスクが
年々 高まっていきます。
余談になりますけれども、今後、「新築物件」に対する付加価値をいかに
演出してゆくかが 売る側のポイントになるように感じます。
と同時に 中古物件のお値段が 今後
どうなってゆくか興味深いトピックになります。
「これから マンションを買おう!」と考えている人には、
安くなった方が嬉しい側面がありますし
「将来 マンションを中古で売ろう!」と考えている人には、
値下がって欲しくない側面があります。
今後の 需要と 供給の 曲線がどうなるか。
供給を減らしてしまう手も あるのですけれども
固定資産税が、国家の収入の一部である以上、
「いらない建物を どんどん壊そう。需要に対する
供給を相対的に減らし、不動産の価値を維持しよう。」とは、
なりにくいかと考えます。
少し話が逸れました。自動車の場合、売る側は、
部品を調達する → 組み立てる
→ 販売店に売る → 販売店からエンドユーザに売る
の図式になります。
大量に仕入れ、大量に生産し、コストを下げるのが
根本にありますし、
欲しい と仰ってくださるお客さんがいらしたのに
在庫がなくて、
じゃぁ別の会社の 似た車にしますヨ……
といった機会損失を防ぐためにも 一定の在庫が必要となります。
たとえば アマゾンや楽天で 折り畳み傘を
買おうと思ったとき、 候補を2つに絞り込んだけれど
・片方は、納品が3カ月 先です。
・片方は、明日 発送です。
でしたら 消費者は、後者に流れてしまうため
それを阻止するのと 同じ理屈です。
在庫を抱えることを免れないとなると
在庫を減らす作戦が自然な発想になります。
そして「家を売る」や「車を売る」ではなく
「シェアする」もしくは「サービスを提供する」に
作戦を切り替えてゆくのが自然な考え方と推察します。
「あなた無しでは、私、もう生きられないの♪」
と云う環境を創り出しておいて、あるタイミングから
「ウヒヒ。明日から有料でーす★」
とするワケです。
最近ですとPayPayが その戦略をとってます。
-------------------------------------------------
(6) 結び.
音楽や映画などコンテンツのサブスクにせよ、
不動産や自動車のシェアにせよ、私達は、
「物を買うこと」よりも
「サービスを受ける権利を買うこと」に対して
多くのお金を払ってゆく世界になると思います。
そうしますと「私は、○○を持っている」の概念――
つまり「所有権」の概念や 定義が
今後 少しずつ変わってゆくのでは? と考えております。
「所有権」の未来については、
また改めて 深掘りしていきます。
-------------------------------------------------
最後まで お読みいただき ありがとうございます。