sketch 05
ふと違和感を覚えて、ソファに寝転がっている夫のパンツを見ると、ないはずのところに肌が見えている。しかも思いきり。
「パンツ穴あいてるよ?!」
触って確認する夫。「ほんとだ。なんで気がつかなかったんだろ。」
「ほんとだよ。穴っていうレベルじゃなく、いっそ裂けてるよ。肌が空気に触れ過ぎでしょう。」爆笑してしまう。
「いや、避けてるっていうか、滅失?」
パンツの滅失。自分で言うかね。
*
「アレがあるよ、クリームブリュレ」と夫。
「ああ、アイスのやつね。」
夜だけど食べちゃおうか、ということになり、カップの蓋を開ける。クリームブリュレらしく、ほんとに焦げ目がついてる。
スプーンでカチカチとしながら、いっこを反対端からそれぞれ食べ始める。うまい。キャラメルほろ苦い、アイスが甘過ぎなくて良い。
中途半端なところまで食べて、席を立というとする夫。
「これだけ残すの?」
「うん。だって全部だと食べ過ぎじゃない?」
「開けたてが一番おいしいじゃん。」
「でもさっきのドラマの女の人も、プリン食べるの半分だけにしてたよね。」
ああ、してたね。そこは見てたのか。
「でも結局全部食べてたよ。」
「そうか。」
私たちも、結局全部平らげた。
アイスの容器を捨てようとすると、ゴミ箱の中にパンツが捨てられていた。さっきまで夫が履いていたパンツだ。
「もう捨てたの?潔いね。」
いつもなんだかんだいって穴があいたまま履き続けている夫も、さすがに捨てる気になったか、と思ってわらった。
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