芸備線高速化が実現した際の料金妄想
最近、過去に検討された芸備線高速化についての取り組みがいくつかの芸備線関連記事でクローズアップされているのをみました。
https://toyokeizai.net/articles/-/770346
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/6f14b3f3f1c0a3a7427a86de978ce2eb96297150
と言ってもこの2つですが。
私自身、Wikipediaに記述があって存在を知っていて、過去の資料(一橋大学の鉄道研究会がまとめたものhttps://www.ikkyo-tekken.org/ikkyo-tekken/studies/1995/1995_321.pdf がすぐ手に入ってわかりやすい)とかも読んである程度知っていましたが、やはり「広島-三次間59分」という過去の新聞の見出しを見ると改めて魅力を感じる計画でありました。
実際にはJR西日本が拒否した、との関係者の話も上の記事ではみられます。これをみて、果たして現在広島-三次間59分の特急が走っていたら高速バスと比べてどう選択肢になりうるのか気になったので少し妄想してみました。
と言っても、広島三次間の営業キロから特急料金を当てはめただけです。
現状の芸備線快速みよしライナーと高速バスの所要時間の比較は次のとおりです。
高速バス:三次-広島バスセンター間 約90分 料金1,620円
芸備線快速:三次-広島間 82〜85分 料金1,340円
なお、高速バスは広島バスセンターから広島駅に向かう便も存在しますが、広島駅に向かうまで追加で約17分がかかります。一方で広島駅から広島バスセンターの位置する中心部(紙屋町)までは、広電(運賃220円)で13分程度、かかります。
これだけ見ると、三次から広島駅までは価格面でも時間面でも芸備線快速が優勢、市内中心部までは高速バスが優勢となります。
ただ、高速バスが三次-広島間はほぼ30分に1本走っているのに対し、快速三次ライナーは1日3往復半です。それ以外の1〜2時間に1本走る普通列車は所要時間が100分と大幅に時間がかかる状態です。
では仮に、記事通り芸備線の高速化により三次-広島間が59分で結ばれたとしたらどうなるでしょうか。所要時間は20分以上の短縮のため、市内中心部まで考えても芸備線が優位に立つでしょう。
ただし、気になるのはお値段です。特急化されると仮定して現行のJR西日本の特急料金制度を当てはめてみます。JR西日本では2024年7月現在A特急料金のみを採用しているため、この料金で考えると広島-三次間の営業キロは68.8キロであることから、芸備線特急の料金は次のようになると計算できます。
芸備線特急(指定席) 運賃1,340円+指定席特急料金1,730円=3,070円
芸備線特急(自由席) 運賃1,340円+自由席特急料金1,200円=2,540円
なんと、指定席の場合驚きの三千円台突入です。これは高速バスの倍近い額になってしまいます。
最近の潮流から設定されにくそうですが、仮に自由席でも2,540円と高速バスより920円も高額になってしまいます。
JR西日本が推しているe5489のチケットレスで考えても、2,870円となりやはり割高感は否めません。J-WESTカード会員向けのeチケットレスなら2,430円なのでこれなら多少はマシに感じるかもしれませんが…。
こうしてみると、仮に自治体が車両を保有してリースするような形態でもJR西が渋った状況はなんとなく理解できます。所要時間に差があるので単純な比較はできませんが、そもそも急行料金の必要な急行みよしが快速みよしライナーに置き換わった経緯があります。特急化が行われるならば、料金増に見合うメリットが必要ですが「広島-三次59分」はそれに見合うメリットかと言われると、なんとも言い難いのではないかと思います。
芸備線に限らずうまいこと鉄道路線が活性化してくれればと思う私ではありますが、現実はなかなか厳しいのだなと痛感させられます。
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