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通信制高校や「サポート校」などについて

■ 「もしも」の備え

 中学校の特別支援学級の担任からは「高等特別支援学校等」も「インクルーシブ教育実践推進校」も駄目だった場合のことも考えておいたほうがいい、と言われていました。

 と、言われても、そんなに「選択肢」がある訳ではありません。

 実は、以前の職場での事業で知り合った、ある高校の先生から、定時制の高校生が、あるイベント」をやりたい、と考えているので(筆者の経歴と関係のある内容が主でもあり)協力してもらえないだろうか、という依頼がありました。
 この時に「定時制の高校生」との接点があって、息子の進路として「定時制高校」ってどうなんだろう、と考えたことがありました。

 息子は結構、規則正しい生活を送ることを好みます。
 休みの日でも、割合早くに起きますし、夜更かしもあまりしません。そのため、夜間部だけの定時制高校は合わないかも知れない、とは思いました。

 ちょっと調べてみたところでは、「フロンティアスクール(多部制定時制高校)」のような制度もあります。しかし、1日当たりの授業時間は少なくなりますし、その分、卒業まで4年かかる場合が多いのは、夜間の定時制高校と変わりません。
 また、夜間の定時制高校の場合には「共通選抜」の他に「定通分割方式」でも受検することができること、そもそも定員割れになるケースが多いことから、入れないということはなさそうだと思いました。
 しかし「フロンティアスクール」の場合には「定通分割」の対象にはならず、日中の時間帯は、それなりに志願者も多いように見えます。

 結果として、定時制(「フロンティアスクール」等を含む)は、候補から外れてしまいましたが、本人の個性次第では選択肢になり得ると思います。
 特に、夜間の定時制高校の場合、既に就職している(社会人になっている)年長の生徒も少なからずいますので、就労する、仕事をする、ということに対してのイメージを持つに当たって参考になることがありそうに思います。

 一方、特別支援学級の担任も挙げていた「サポート校」。
 一般的に、いわゆる「サポート校」は、高校(高等学校)ではありません。
 多くの場合「サポート校」は、通信制高校に進んだ生徒が円滑にその高校を卒業できるようにサポートすることを目的としています。
 要するに「塾」や「予備校」などと同じ位置付けということになります。

 通信制高校の場合、学校に行くことは「スクーリング」などの機会に限られ、基本的には自分で学習して、課題を提出するスタイルになります。当然、相当に「強い意志」がないと、完全に自力で卒業に必要な単位を修得するという、かなり高いハードルを越えることは難しいと思います。
 「サポート校」は、これをサポートするための存在ですが、当然ながら、通信制高校の学費に加えて「サポート校」の学費もかかってしまいます。

 私立の通信制高校の中には、「登校型」の高校もありますが、この「登校」して指導を受ける、という部分が、結局は「サポート校」と同じことになります。
 場合によっては、私立通信制高校と提携している「サポート校」がその部分を担っていることもあるでしょう。従って、やはり同じように「ダブルスクール」的に学費がかかってしまいます。

 それでも、普通の高校に較べると「登校」する部分の環境がかなり異なっていることもあって、「不登校」だった生徒の進学先として、最近は注目される存在になっています。
 実際に「不登校」というキーワードで検索すると、この手の学校がいっぱいヒットします。

 また、一般の高等学校に「通えなくなった」生徒の転学先になっていることも少なくありません。
 一般的な学校そのものに馴染めない生徒の場合には、選択肢の一つとして考えることができるとは思います。

 しかし、これらの学校の中には、とにかく「高等学校を卒業すること」に重心を置いていて、その後の進路に対するサポートがあまりない、というところも少なからず存在するようです。
 これらの学校を選択肢にする場合には、卒業後の進路についても確認しておくことが必要かと思います。

■ 発達障害のある生徒を受け入れる私立高校

 私立高校の中には、いわゆる「発達障害」のある生徒に対する理解があり、それなりの配慮をしてくれる学校があります。そのような障害や特性を抱えた生徒を積極的に受け入れている学校も存在します。

 これも、検索すれば色々と見付かりますので、ここでは詳しくは触れません。検索して出てきても、結局は前述した「登校型」の通信制高校だったりすることも多いですし、いわゆる「不登校特例校」での検索と重なることも多いです。
 まのた、このような高校と、いわゆる「サポート校(+通信制高校)」が混同されているような記載なども時々目にします。

 小学校の時に、息子と同じ個別級にいた同級生の中には、中学校からそのような私立の中高一貫校に進んだ友達がいました。
 これも、発達障害があるために個別級にずっといるような子にとっては、選択肢として充分考えられるでしょう。

 公立の中学校に進んで、そのままずっと特別支援学級に在籍した場合、既述のとおりいわゆる「内申点」が付かないなど、一般的な「高校受験」に当たって「不利」になる(選択肢が制限される)ことが往々にしてあります。
 一方で、中学校から私立に進んだ場合は、その点の問題は軽減されるでしょう。
 しかし勿論、中学校の間に学習について行けず、成績が振るわなかった場合には、その学校次第ではありますが「内部進学」の基準などで系列の高校に進学できないことがあるかも知れません。そうなってしまったという事例を、身近でも聞いたことがあります。

 娘が高校受験に際して「(自分は)私立のキャラじゃない」と言っていましたが、息子も私立の中学・高校に行くようなキャラクターではないように思います。
 何よりも、中学校の項でも触れたように「空気を読」んでしまって「私立はお金がかかって大変」という思いを抱いていたようですので。

 かくいう自分も、既述のとおり小学校の最後に「不登校」(当時は「登校拒否」と呼んでいた)をやらかして、中高一貫の私立校に進んだ人間です。
 そのため「中学受験」の経験がありますが、これが前述した「塾講師」などにも活きたことは否めません。今でもいわゆる「お受験算数」は得意で、電車でよく見るような「その手の広告」に載っている「問題」を暗算で解いてしまえたりします。
 「どんとこいN能研!」ですね(笑)。
 ただし、その時代は、今とは私立中学の受験に対する「感覚」が違っていたように思います。

 自分が小学校から高校までを過ごした地域では、大学進学において圧倒的に「私立>公立」になっていたため「国公立大学に進もうと思ったら私立高校に行かないと難しい。そして私立は高校から入るより中学校からのほうが圧倒的に楽。しかも(自分が行った)私立中・高の授業料は、月1万数千円(当時)と比較的安く、公立+塾よりかえって安価」という変な状況(ずっと国公立という「ルート」のほうがかなりの少数派)になっていました。
 なので、筆者としても私立の中学・高校のメリット(・デメリット)も承知しているつもりです。

 結局のところ、ある程度の検討(実際に長女は私立高校も受験しています)はしてみたものの、息子については具体的に学校説明会に行ったり、資料を取り寄せたり、というところにまでは到りませんでした。
 そのため息子にとっては、最終的に「高等特別支援学校」「インクルーシブ教育実践推進校」「クリエイティブスクール」という3つが「候補」として残ったことになりました。

 この時点では、クリエイティブスクールについては、高等特別支援学校もインクルーシブ教育実践推進校も不合格になってしまった場合に、恐らく実施されるであろう「二次募集」を想定した時の候補、という位置付けではありました。
 しかし、そこにたどり着いた経緯から「ボウリングで進路の学校を選ぶなんて」と、妻は否定的でしたが、別にそういう訳ではありません。たまたま「ボウリング」というキーワードから、可能性のありそうな選択肢にたどり着いただけのことです。

 しかし、万一どれも駄目だった場合には「通信制+サポート校」を考えなければならなかった可能性があったとは思います。

 もちろんですが「通信制+サポート校」が、どうしようもなくなっての「最後の選択肢」でしかない、ということではありません。それが「最適」になる場合も、当然あると思います。

 どの学校・校種が「上」だ「下」だ、ということではなく、あくまでも本人の「個性」や「特性」に合わせて選ぶことが肝要だと思います。
 私立の通信制+サポート校は、いわゆる「発達障害」のある生徒だけではなく、特に不登校の生徒などの「受け皿」として、実際に多くの利用者がいますし、ニーズも高いと思います。
 実際に「発達障害 高校」「不登校 高校」などで検索すると、数多くのこれらの学校がヒットします。

 そのスキームから、丁寧な学習指導や通学支援などは期待できる反面、既に述べたように、授業料は総じて高くなることには留意が必要だと思います。
 「通信制高校」の授業料相当部分は無償化の対象になりそうですが、サポート校は「高校」ではないため、対象外だと思います。とは言え、例えば公立の通信制高校一本で卒業まで頑張るのは、余程の強い精神力がないと難しいでしょう。

 また、通信制高校で単位取得・高卒資格を目指すことにウエイトがかかりがちなので、卒業後の就職などの進路についてのサポートについては、かなりばらつきが感じられることも既に述べたとおりです。
 このような面も含めて、よく各校の特徴・特色を確認した学校選びが必要かと思います。

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