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これまでの経緯について(概要)
2006(平成18)年度生まれの双子(女児と男児)の育児を通じて、保育や教育、児童福祉に関する様々な経験をしました。
娘は所謂「健常児」ですが、息子は、生まれつきの身体障害(内部・第1種3級)があり、生まれたその日に単身で転院、翌日に緊急手術をするという人生のスタートとなりました。
更に、幼児期に発達の遅れを指摘され、「広汎性発達障害(PDD)」ないし「自閉症スペクトラム障害(ASD)」という診断を受けました。知的な遅れはほぼありませんが、発達の凸凹が極端に偏っているため、検査を受けると所謂「境界域」に出たり入ったりします。
中学校卒業後の進路選択に「幅」を持たせるため、中3の時に「療育手帳(愛の手帳)」を申請し、「軽度(B2)」として手帳を交付されています。
しかしこれは「境界域」からある程度の範囲内(一般にIQ91以下と言われている)にある「自閉症スペクトラム障害」等の申請者に対しても「療育手帳」の交付対象とする、という「神奈川県ルール」によっての「特例」です。同じ「愛の手帳」という名称(障害の程度は「1~4度」と違っていますが)を使っている東京都の場合は、問答無用でIQ75で切られてしまうようです。
「愛の手帳」「B2」という表現からお判りだった方もいると思いますが(このあたりについてもいずれ書くことになると思います)、現在は横浜市内に住んでいます。
育児や教育にかかわる部分は、本来、全国統一であるべきものも少なくないと思っていますが、現状では自治体任せの部分があまりにも多く、実際には千差万別です。
そのため、今後執筆する内容に関しては、筆者が知り得る範囲で他の区市町村・都道府県での取扱に触れることはあるかも知れませんが、基本的に「神奈川県」または「横浜市」における事例に基づくことになります。
息子は、特別支援学校ではなく地域の小・中学校に通いました。
横浜市では、全ての市立小・中学校に「特別支援学級」(横浜市では「個別級」とか「個別支援級」と呼びます)が設置されています。区市町村によっては、一部の学校にしか設置がないため、障害のある児童生徒が所謂「学区外」の学校に通わざるを得ないケースもあるようですが、横浜市ではそれはないようです(障害の種別によっては、必ずしも対応し切れないかも知れません)。
そのため、義務教育期間については、息子は「双子の姉」である娘と同じ学校に通うことができました。
一方で、当地では中学卒業時に特別支援学級にいた生徒は、ほぼ全員が特別支援学校の高等部に進学するのが実情です。
特に神奈川県では、公立高校の受験に占める所謂「内申点」(中2と中3が対象)のウエイトがかなり大きいため、「内申点」が付かないことがほとんどの特別支援学級在籍者にはハードルが高いのです。
余談ですが、同じことが所謂「不登校」のために内申点が(充分に)付かない生徒にも言えます。
そのため、そのような場合でも受け入れるような(主に)私立の高校もあり、そちらに進むことも選択肢としては考えられますし、そういう生徒も少なからずいます。
しかし、学費面での負担も大きくなることもあり、何らかの「障害者手帳」を交付されている生徒の多くは、特別支援学校高等部が「既定路線」のようになっているのも事実です。
そんな中で、息子は「身体」と「知的」の二つの「障害者手帳」を交付されていますが、特別支援学校ではなく、全日制普通科の県立高等学校に進学しました。
これも、神奈川県が独自に実施している制度の一つを利用した結果です。ですが、このような制度が意外と知られておらず、せっかく用意された制度が活用されていないことが多々あるのではないかと思います。
そんな意味からも、息子たちが高校3年生になった今、振り返りつつ、少しでも多くの方に紹介できれば、と思っています。
市外、県外の方にとっては、そのままでは役に立たない部分も多いかと思いますが、このような制度が運用されている地域があることを知っていただき(勿論、似たような制度や、もっと進んだ取組が行われている地域もあると思いますが)、障害などを抱えた子供たちの進路選択について、幅広く考えるきっかけになれば、と思います。