
入学・その後
■ サクラサク
大幅に定員割れしたくらいでしたので、息子は問題なく「合格」になりました。
もっとも、入学後に授業などについて行けるかは、別問題としてあります。
娘も、無事に県立高校も合格。
二人揃って県立の高等学校に入学することになりました。
なお、娘が「確約」をもらい「授業料相当の奨学金」も対象になっていた私立高校は、入学金等を実際に納めるのは「県立高校の(一次募集の)合格発表翌日」が期限でしたので、受験料だけしか支払っていません。
県内の私立高校には、このような「良心的」な学校が多いのですが、これについても学校ごとに違っているはずですので、必ずよく確認するべきです。
ちなみに、神奈川県内の公立高校は「入試」から「合格発表」まで約2週間かかります。
お隣の「都立高校」では、入試は神奈川県の翌週ですが、合格発表は「ほぼ同日」ですので、約1週間ほど「待つ期間」が短いです。
私立高校の大半は、試験の翌日に発表されますので、どういう採点の仕方をしているのだろうか、という点で気になります。いや、単純に「仕事」の「効率化」のヒントにもなるかも知れないし。
特に「選択式」の問題ならともかく「記述式」の問題の場合は、採点基準を揃えなければ「不公平」が生じかねません。短期間で採点できる、ということは「手分けして採点している」可能性もあり、それこそ「採点者による差」をどう排除しているのか、と考えます。
もしかすると「答案用紙」ごとに手分けするのではなく、設問ごとに手分けするなどという手法なのかな、などと考えていますが、恐らく「企業秘密」なのではないかと。
それにしても、公立高校の入試も、もう少しスピードアップできないものかな……それほどまでに「万全」を期しているのかな?などと思ってしまいます。
息子が受験した高校(クリエイティブスクール)は、二次募集もしましたが、結局、定員238人に対して、142人+二次募集で9人の151人しか入学者がいませんでした。
当初予定から1クラス減らした7クラス体制にしたようですが、それでも1クラスは21~22人になります。ここに「複数担任制」が適用されますので、規模感としては、中学校までの特別支援学級(個別級)と大差がありません。
人数が少なかったのですが、その分、その学校を積極的に選んだ、という生徒が多いようで、校長も「今年の1年生はやる気のある生徒が多い」とべた褒めしていました。
例年、1年生の間にもかなりの数の生徒が転退学しているような高校ですが、息子の学年に関しては「あまり減らない」と言われています。1年生の間に転退学となったのは「8人」だったそうですが、そもそも「(たった)一桁なの?」と驚かれたくらいです。
これまでは「卒業までに1クラス分くらいはいなくなる」と言われていましたので、確かに「ちょっと違う」学年だったのかと思います。
■ 入学式
入学式も、県立高校同士のため同日になってしまったので、娘の入学式には妻が行きました。
筆者は、息子の入学式に出席しましたが、式次第の中に「校歌紹介」とあったので「何のことだろう、普通は『校歌斉唱』とかだけど、いきなりは歌えないよな」と思っていたら、いきなり校長が壇上のピアノで校歌の「弾き語り」を始める、という初めて見るパターンでした。もともと音楽の先生らしいです。
ちなみに翌年の入学式では、息子をはじめとした10人くらいの在校生代表が「校歌」を合唱する、という形式でした。
PTAの広報委員長(当時)として現場にいた筆者は、何故そこに息子が(選抜されて)いたのかわからなかったのですが、あとで聞いたら「芸術科目の選択が『音楽』の生徒から(大きな声で歌えてほとんど欠席のない生徒という基準で)選抜された」ことが判明しました。「音楽」を選択していないと「校歌」を歌う機会もほとんどないようですので、仕方ないかも知れません。
そう言えば、中学校の「卒業式」は「卒業生1人につき(家族)1人」ではなく、わざわざ「各家族1人」という制限が付いていました。
我が家以外にも、実は「双子」が同学年にあと2組いるのですが、200人程度の卒業生の中で、僅かに3組の「双子」のために、わざわざそう書いたようにも見えて「何だかなあ」という気がしました。
いっそのこと、下準備をしていた「ペーパー離婚」を進めて、親権も分けてしまえば「2家族」だよな、とも思いましたが、そこまでして出席するほどのものでもないか、と思い留まりました(結局は妻だけが出席)。
息子の高校では、これまで例年「二次募集」まで実施したうえで、ほぼ定員の入学がある、という状況が続いていました。
しかし実際には、そこから徐々に「長期欠席者」などが出始めて、卒業時には「1クラス分いなくなってる」という状況が毎年繰り返されていることは前述のとおりです。
息子の学年は、それに較べると3分の2ほどしかいない状態からスタートしていますが、校長によれば「中途退学や転学者は少ないだろう」という見込みのようです。
PTA活動で、毎月1回は息子の通う高校に行くのですが、定例役員会が10時からなので、それに合わせた時間に向かいます。なのに、その時に乗るバスに結構な数のその高校の生徒(同じバス路線の他の高校の生徒もいますが)も乗っています。
こんな時間で大丈夫なのかな(もっとも3年生になると選択科目の関係で「空き時間」が生じている可能性もあります)と思わなくもないですが、遅刻してでも学校に行こうとするだけ、まだいいのかも知れません。
息子に関しては、特に大きく遅刻することもなく、ほぼ毎日きちんと通えているようです。たまにバスや電車が遅れて朝のHRに間に合わなかったりとか、(身体障害のため)体調を崩して休む、ということもありますが、それでも年に数回です。
ところで、入学者が減少しているのは、クリエイティブスクールに限った話ではなく、公立の下位校では最近よく見られる傾向のようです。
一因として「高校無償化」の影響が挙げられていて、授業料がかからないなら、設備が整っている私立に行こうとする生徒(行かせようとする家庭)が増えて当然、らしいです。
その中で、校長曰く「少数精鋭」の息子の学年は、積極的な面が多くみられるそうで、PTAの定例役員会でも、冒頭によく校長が褒めていました。
■ 高校生活
息子は、念願だった、かどうかは定かではありませんが、部活動デビュー。ボウリング部に入りました。
実はこの高校、ボウリング業界では全国屈指の「名門校」の一つ(本格的にボウリングをしている人なら知らない人はいない、と言っていい高校)です。
男女とも全国優勝を何度か経験していますし、プロボウラーも多数出ています。
前述した「県立横浜南陵高校」どころではありません。
しかし最近では、ボウリング部に限ったことではなく、部活をする生徒自体が減っているようです。
ボウリング部も、息子の入学時の3年生は数人いましたが、2年と1年は一人ずつで、存続の危機に瀕していました。
実は3回あった「学校説明会」のうち、2回目に参加していたら「部活動体験」のメニューもありました。
実際に息子も、入学後にはそれの「対応」もしています。毎年それなりの「体験希望者」があるのですが、実際に入学まで到らないことも多いのか、息子の後は、しばらく入部する生徒がいませんでした。
そんな「部活動体験」にも参加していないにもかかわらず、いきなり14ポンドの「マイボール」を持参してすぐに入部したものですから、必然的に「期待の即戦力新人」として扱われたようです。
入学後すぐに大会出場(そもそも競技人口が少ないので、出場だけなら他校でもほぼ全員可能ではありますが)し、あっという間に、6月の関東大会にも出場することになってしまいました。
その後、一学年上の先輩と2人だけになってしまいますが、その先輩が全国でもかなりの「上級者」だったこともあり、一緒に(前述の)「全国高等学校対抗ボウリング選手権大会」にも出場しました。
この時は半ば「連れて行ってもらったようなもの」だと思っていましたが、本大会では惜しくも入賞には至らなかったものの、序盤はなかなか調子の上がらなかった先輩を引っ張るかのように200ピンを超えるゲームを連発。結構な上位に食い込み、神奈川県から出場した学校ではトップの成績になりました。
先輩が卒業して以降も、独力で全国大会に出場できるだけの実力が付いています。
もう、一緒に投げても、あまり(というかほとんど)勝てなくなってしまいました。
一方、娘も中学校に引き続いて吹奏楽部に入りました。
元々は、高校では「部活はもういいかな」と思っていたようです。仮に吹奏楽部に入るとしても「ガチ」なところはきつい、と思っていたようです。
横浜市内にはいくつか「市立高校」があって、成績的には恐らく問題ないし、実は「横浜市立高校」は、ほぼ「食堂(学食)」完備です。県立高校では、ないほうが多いです(設置されているのは「定時制」並置校が主流)。
でも、実は横浜市立の高校は「吹奏楽部」が「ガチ」なところが多いらしく、ちょっとなあ……という意識もあったようでした。
娘が入学した高校では、たまたまクラスの担任が吹奏楽部の顧問、という巡り合わせになり、相当強く勧誘されたようです。
長女の高校では、卒業まで3年間「クラス替え」がないので、ずっと同じクラス・(異動等がなければ)同じ担任のままらしいです。
吹奏楽部はというと、コンクールで「金賞」と「銀賞」を行ったり来たりで、「金賞」もいわゆる「ダメ金」がほとんどのため、県域を超えてのコンクールに出ることはほぼないようですが、意外と活動は「ガチ」らしいです。
娘的には「ちょっと失敗したかも……」と思っている様子を感じたことがあります。
また息子は、中学校に続いて「図書委員」としての委員会活動にも参加しています。
図書の買い出しなどの行事もあるようで、中学時代以上に張り切っています。そして偶然にも、娘も「図書委員」をしていることが判明。
違う高校ですが、同じ委員会活動をしているとは、さすが「双子」なのかも知れません。
息子ですが、中学までは(特別支援学級だし)無関心だった定期試験も意識するようになり、自分から机に向かうことも増えて、びっくりしました。
1年生のある時、テスト前に「数学教えてほしい」と、自分から言ってきました。どんなことを習っているのか、と思ってみたら、普通に「因数分解」とかやっていて、更に驚きました。
そんなこんなで、いざ試験を受けてみたら、概ね平均点以上が取れていて、課目によってはクラスでトップのものもありました。
成績表にも「4」や「5」が並んで、「2」は一つもありませんでした。
最初は唯一「3」だった「数学I」も、学年末には「4」になっていました。他の科目でも英語と体育が「4」以外は、全て「5」で、「学年でも10位以内に入っているんじゃないか」と、担任も驚いているようです。
2年生以降は「成績表」を見せてくれなくなりましたが、それは娘も同じです。
面談などで聞いた限りでは、出席状況や授業態度もいいので、成績はいいようです。
言うまでもなく、学校での授業などのレベルはそれぞれですので「基礎」に重点を置く高校ならでは、だとは思います。
しかし「個々の特性に合わせた目標設定」のインクルーシブ教育実践推進校だったら、こうはいかなかったんじゃないか、と思います。
本人にとってもかなり自信になっているようで、この「選択」は間違っていなかった、と感じています。
もちろん、授業やテストについて行けるか、合わせられるか、は人それぞれです。
息子にとってのベストが、誰にとってもベストである訳ではありません。
それだけに、いや、それだからこそ「他にもっといい選択肢はないのか」については、積極的に探しに行かないといけない、と思います。
卒業後に、それなりの割合の生徒が「就職」を選ぶ学校らしく「インターンシップ」などにも力を入れています。
基本的に3年生が主な対象らしいのですが、1年生も参加可能なので、と、夏休みの「インターンシップ」には、自分から毎年参加しています。
卒業後、すぐに就職するかどうかは、今の段階ではまだわかりません。
本人がどう考えるか、もありますが、就職にしろ進学にしろ、受けられそうな(受けてみたい)試験は(推薦絡みで組合せに制約はあるにせよ)一通り受けてみればいいんじゃないか、と思っています。
一般入試一本で大学を目指す、とかでなければ、ほとんどの場合「面接」はありますし、就職試験の「一般常識」のような問題は、息子のような「クイズ好き」にはハードルは高くないとも言えます。
その他にも、文化祭や「マラソン大会」などの学校行事にも積極的に参加しています。
たまに「仲のいい友達とカラオケに行く」などと出かけて行ったりもします。
存続できるか、と心配した部活動ですが、今年度の入学生が数人入部した、ということで「部長」としての「自覚」も芽生えたようです。
まだ全員が「初心者」のようで、例年6月の「関東大会」の予選には間に合いませんでしたが(息子は「個人枠」で出場権を獲得)、冬の「全国高等学校対抗ボウリング選手権」には、自分が「連れて行く」と張り切っています。
■ これから
まだ、3年生が始まったばかりですが、一年はあっという間です。
この先の「進路」がどうなるかわかりません。
でも息子については、小・中学校の頃には想像もしなかったような状況になっているのは間違いありません。
これには、手探りながら可能な限り多くの「選択肢」を探し続けてきたという自負はありますが、筆者自身も驚いています。
これをお読みになっている方の中には「当事者」やその親御さんも少なくないでしょう。
子供の可能性は無限大です。
明日、明後日のことはある程度「想像」ができるでしょう。もちろん、明日に「予想もしていなかったこと」が起きないとは限りませんが。
でも5年後、10年後にどうなっているかなんて、障害の有無に関わらず、誰にもわからないし、決めつけてはいけない、と思います。
目の前の課題を「何とかしなければ」と思う気持ちは痛いほどわかるつもりですし、何とかしなければならないことも確かです。
でも、いつまでも「その場しのぎ」だけしているわけにもいきません。
確率を重視して「最適解」を求めることは、確かに「安全性」は高いかも知れません。
でも、それが本人の希望や「願い」に沿ったものになっているかどうか、も重要だと思います。
確率だけではなく「可能性」も考えながら、進路選択をしていただきたいですし、息子の「今後」についても、それを大切にしたいと考えています。
娘についても同じです。
学校の成績は、一応かつての「学区トップ校」の一つでレベル自体が高いこともあって「中くらい」のようです。
「指定校推薦」は、希望に合うようなところはないか難しいと、一般受験を考えているようです。
父親には似なかったらしく、数学は苦手で、国公立大学は「諦めた」ようです。
というよりも、本人が希望している学部・学科は、近隣の国公立大学にはほとんどなくて「東大くらい(笑)」にしかありません。今はどうだか調べてもいないのですが、筆者の時代だと「東大は二次試験にも理系で国語、文系で数学が必須で、文系の社会科も2科目ある」(二次試験で「4教科」が必要なのは東大だけだったと記憶しています)という「ゼネラリスト型」の入試でしたから、そもそも候補にもなりません。
でも、筆者が「何となく理工系」という漠然とした志望だったのに較べると、娘は志望学部・学科を明確に決めています。
その学部・学科のある近隣の私立大学をいくつか受ける、というつもりのようです。
これも本人の希望が明確になっているので、見通しが立てやすいかと思っています。
本来の「学校選び」って、こうあるべきだと思います。