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【1分小説】僕の王様

【あらすじ】
王様になりたい主人公が、あの手この手を使って王様になろうとするが、現・王様に毎度こてんぱんに負けてしまう。
そんなある日、とっておきの装備を携えて王様に挑みにいくと事件が起きてしまう。


僕は、王様になりたい。





王様になりたくてなりたくて堪らない。



なぜ王様になりたいかと言うと
王様は全てが思い通りになるからだ。


王様になれば
好きなものをたくさん食べれるようになるし、好きなだけぐうたらできる。




だから、僕は今の王様を倒して
新しい王様になりたいのだ。





でも、今の王様は最強だ。





簡単に倒すことができない。



レーザー銃を王様の顔に向けて撃ったことがあるが、レーザー光線を口に入れ始めて歯磨きをするほど、王様は最強だ。





龍の力を宿した伝説の剣で
王様の背後から斬りつけたこともあるが
「ちょうど背中が痒かったんだ」と言われて「もう少し右」だとか「そこそこ~」と指示をされたこともある。


誠に屈辱的である。






王様の大切にしていた
歴代の王の肖像画に
呪いの魔方陣をたくさん書いた時は
さすがの王様も激怒した。

怒った王様は、
魔界から小太りな女悪魔を召還して
絶え間ない咆哮を浴びせてきた。



そのせいでしばらくは
高い音が聞けなくなった。



許せない。




今日こそ、憎き王様を絶対に倒してやる。




王様は、いつも王室にいる。


今日は、新しく仕入れたレーザー銃を2丁と
龍王神から授かった伝説の剣を準備し、
天変地異を起こすと言われている
最古の魔方陣を覚えてきた。


これほどの装備を携えて負けるはずがない。



僕は、もう勝ったつもりで王室へ向かった。







すると、途中で
ナイフを1本持った男を見つけた。


見慣れない顔だ。


どうやら、この国の侵入者のようだ。


僕は王様を憎んでいるが
この国のことは好きだ。


相手はナイフ1本。





僕の敵ではない。

余裕だ。


男は、僕にまだ気づいていない。



僕は、伝説の剣で男の背中を
おもいっきり斬りつけた。




ふっ、侵入した国を間違えたな。
天国で後悔するがいい。










「いてっ、なにすんだ。このガキ!!」


なぜだ?伝説の剣が
男には、全く効いてない。


僕は慌てて2丁のレーザー銃で男に連射した。





我ながら、やり過ぎた。
これで、跡形もないだろ…









「冷たっ!おまえバカにしてんのか!?」



レーザー銃も効かないだと?

こうなったら、魔方陣を描いて天変地異を起こすしかない!


僕は、床に魔方陣を描こうとした。


しかし、男に思いっきり蹴り飛ばされた。








「お前、さっきから何やってんだ?

お前みたいなガキが、近所で水鉄砲やらチャンバラやらお絵描きやらで遊んでる声がうるさくて、こちとらクソ迷惑してんだ。



だから今日、この小学校に侵入して
お前ら1人残らず、皆殺しに来たんだよ」



男は笑顔でナイフを振りながら
僕に近づいてきた。



「まずは、一番生意気そうなお前からだな」





僕は、腰が抜けて動けなかった。


声を出したいけど恐怖で力が入らない。






母ちゃん、ごめんなさい。

もう悪いことは絶対にしません。

母ちゃんのことを
小太り悪魔なんて、もう絶対に言いません。


もう2度と、
好き嫌いしません。

ピーマンとニンジンは、残さず食べます。



ぐうたらばっかりしてないで
家の手伝いや勉強も真面目にやります。





だから、誰か助けて。














「この不届き者めーっ!私の大切な生徒に何をする!!」


校長が駆けつけて
男の顔面に勢いよく、へなちょこパンチをした。


奇跡的にクリーンヒットして
男は、白目を剥き倒れて動かなくなった。




校長は、僕に駆け寄り
「大丈夫ですか?ケガはありませんか?」
と心配そうに言った。


校長の足を見ると
いつもの堂々とした姿とは違い
ガクガクと足が震えていた。





「君がいつもの時間に遊びに来ないから
心配して見に来れば…」


校長の目から涙がこぼれた。






「君は、学校のために戦ってくれていたんだね…」




僕は、憎き校長に今までしてきたことが、
申し訳なくなり謝ろうとした。


「校長先生…あの…僕…」








「ううっ…」


校長が苦しそうに目の前で倒れた。


「早く…逃げなさい…」


校長の背中にはナイフが刺さっていた。



「こ、このクソじじぃ…
よ、よくも俺の顔を殴りやがったな。
お、俺は親にも殴られたことないんだ。
…こ、こんな奴殺していいよな。
正当防衛だからな!」


男が汗をタラタラ流しながら
ブツブツと一人言を言っている。


僕は、校長の顔が少しずつ白くなっていくのを見て、また震えて動けなくなった。


「私は、大丈夫ですよ…ちょうど背中が痒かったところですから…
私のことは、いいから逃げなさい…」






そうだ、校長の言う通り

逃げなきゃ…


早く大人達を呼ばないと…


校長が…


校長先生が…







僕の大好きな王様が死んじゃう!!





僕は、無我夢中で
通学路で拾った伝説でも何でもない
ただの棒を振り回して
男の股間に思いっきり強打させた。


男が股間を抑えて倒れた隙に
男の鼻の穴に、スーパーで買った
2丁の水鉄砲を勢いよく発射させて溺れさせた。


そして、男のズボンを脱がして
お尻に適当に考えた魔方陣を
クレヨンで描き殴った。



男は、痛みでなのか
息ができない苦しさでなのか
お尻丸出しの恥ずかしさでなのか
わからないが勢いよく逃げ出した。









その後、警察が来て
いろんな話をさせられた。


母ちゃんが泣きながら
僕を抱きしめて、いつものキンキン声で
たくさん叱ってきた。


小学校に侵入してきた男は
僕の話した通り、お尻に魔方陣が描かれているのが証拠となり無事逮捕された。



そして、校長は















元気に次の日も学校に来た。

僕がいつものように
水鉄砲を顔面にかけると
その水で気持ち良さそうに顔を洗っていた。




やっぱり、僕の王様は最強だ!








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