【エッセイ】どうやら君は知りすぎてしまったようだ
~皆様、もし森羅万象何でも知ることができるとしたら何を知りたいですか?~
世の中ではまだ解明されていないものが
たくさんあります。
ナスカの地上絵、アトランティス大陸、バミューダトライアングル、ヴォイニッチ手稿、モアイ像…
最先端の科学をもって様々な憶測が流れる中、完全な答えは見つからずにいます。
もし万が一そんな世界のあらゆる謎を
知ることができるとしたら何を知りたいですか?
私は宇宙人がいるのかどうかを知りたいです。
昔からSTAR WARSが好きで
本当にあんな風に色んな星に色んな生命体が存在していたら面白いだろうなと思って過ごしてきました。
死ぬまでの一生のうちに
宇宙人の存在の有無が少しでも解明されればいいなと思います。
そんな森羅万象の知識にまつわるエピソードがあるので、皆様お話ししてもよろしいでしょうか?
私が小学生の頃の話です。
私には1つ年下の弟がいます。
弟は幼い頃から身長が伸びなくて
比較的に同世代の子達と比べると小さめでした。
おまけに私とは正反対で
可愛らしい顔をしているので
羨ましいことに周りから「可愛い可愛い」と
もてはやされていました。
本当に羨ましいことに…
でも、弟はそれが嫌だったみたいで
必死に可愛いの反対になろうとしていました。
弟の中で「可愛い」の反対は「渋い」だったので小学生低学年にも関わらず
やたら漬物を食べて「うめぇうめぇ」と言っていました。
回転寿司に行くと
私に「いいか?通(ツウ)ってのは箸を使わずに手掴みで寿司を食べるんだよ」と
米粒まみれの口で言っていました。
一時的ではありますが
じいじがお土産で買ってきた
下駄を履いて散歩していたこともありました。
「下駄のほうが歩きやすいな」と言って
転びそうになりながらフラフラと歩いていました。
そんな弟がある日
家で私に対して突然
「おい、真実を知りたいか?」と聞いてきました。
…真実?
と私は「?」で頭の中がいっぱいになりました。
小学生の私にとって
「真実を知りたいか?」なんて質問は
映画やアニメだけの世界だけのものだと思っていたのです。
ところが、今目の前で
自分の弟から
そんな日常生活ではあまり使わない質問をされています。
本音を言えば真実なんて
別にどうでもよくて
私はピングーのビデオを観ている最中でしたので早く続きが観たかったのです。
ところが弟があまりにも真剣な顔で
私を見つめるので渋々テレビを消して
弟の質問に付き合うことにしました。
弟をよく見てみると
ポケットに手をつっこんでいました。
ポケットに手をつっこむのは
とても悪いことです。
もしポケットに手をつっこんだまま
転んでしまえば顔面から床にぶつかってしまいます。
注意しようとしますが
弟がもう一度「真実を知りたいか?」と
聞いてきました。
あまりの迫力に私は後ずさりしてしまいました。
なんだか今日の弟はいつもより迫力があります。
まるで別人のようです…
急に弟のことが怖くなってきました。
そういえば、最近弟は寝ている時
立ち上がって歩いたりしていました。
単に寝相が悪いと思っていたのですが
もしかすると、あれは何者かに操られていたのではないでしょうか?
弟は秘密結社に改造されて
世界の重要な秘密を知る改造人間にでもされてしまったのではないでしょうか?
それとも、本当の弟は誘拐されていて
目の前にいるのは弟の姿をした別の何かなのではないでしょうか?
3日前、牛乳にヤクルトやマヨネーズを混ぜて毒薬みたいな飲み物を作っていたのは本物の私の弟だったのでしょうか?
2日前、家の壁に「ぶりぶりだいまじん」と
落書きをして母に怒られていたのは本物の私の弟だったのでしょうか?
そもそもあの落書きは落書きではなく世界の謎を解く暗号式だったのではないでしょうか?
昨日、ゲームのキャラクターに
「ふこめねへせ」と名前を付けていました。
適当に名前を付けていたのだろうと思っていましたが、あれもまさか世界の謎を解く暗号だったのではないでしょうか?
「ふこめねへせ」
逆から読めば
「せへねめこふ」
並べて変えてみると
「ふせねこめへ」
…なるほど
全く意味がわかりません…
どんどん、弟のことがわからなくなり
恐怖が増すばかりです。
私は本当に本当に怖くて仕方ないのですがお兄ちゃんとして真実を知らなければいけないような気がしてきました。
弟に意を決して「真実を知りたい」と答えました。
すると、弟は無言で後ろを向き
私を案内しました。
そして、我が家のほとんど誰も使っていない居間に連れていきました。
この部屋に世界の真実が隠されているというのだろうか…?
頼む、弟よ。
いつもみたいにお兄ちゃんに笑顔を見せてくれよ。
なんでそんなロボットみたいに
無表情なんだよ。
お兄ちゃん、ガタがアシアシして
小便が漏れそうだよ…
弟は気にしない様子でロボット顔で
物置を開けました。
こ、この中を覗いてしまうと世界の真実を知ることになってしまう…!!
…怖い!!!
でも!
でも!!
お兄ちゃんとして真実を知らなければ!!!
私は恐る恐る物置の中を覗き込みました。
そこには
キラキラに飾りつけされた
大きな赤い袋が置いてありました。
「…これが真実?」
私は震える声で弟に聞きました。
「そうだ、これが真実だ」
弟は真っ直ぐな目で私に答えます。
あぁ、そうか…
そうだったのか…
私は絶望しました。
真実とは残酷なものです。
毎年毎年12月25日になると
寝ている間に憧れのあの人が
全国をソリで飛び回って枕元に
魔法の工場で作られたプレゼントを置いてくれているのだと思っていましたけど
コレが我が家の物置の中に12月上旬にあるということは…
弟は続けて言います。
「そうだ、サンタさんの正体は…
お父ちゃんとお母ちゃんだ
それが、世界の真実だ」
いやああああああああああああ!!!
サンタさんの正体を私に教えてくれたのは
1つ年下の弟でした。
私が小学2年生まで
サンタさんを信じていたので
母と父は、いつまで隠しとおさなければいけないのかと悩んでいたそうですが
弟がお兄ちゃん(私)に真実を教えてくれたことでホッとしたそうです。