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【エッセイ】私と妻の動物園デート


~皆様、日本一広い動物園はどこか知っていますか?~











それはよこはま動物園ズーラシアだそうです。

私も人生で2回ほど行ったことがありますが
めちゃくちゃ広くて驚いた記憶があります。


皆様、動物園は好きですか?


私は動物園が好きです。
なぜならいろんな動物を見るのが好きだからです。


子供みたいな感想ですみません…


シンプルな理由かもしれませんが
動物を見てると癒されます。


今回そんな動物園にまつわる話があるので
お話してもよろしいでしょうか?









私がまだ社会人になりたてで
妻(当時は彼女)とお付き合いするようになってから数ヶ月が経った頃の話です。


私はあの時、妻に対して
非常にかっこつけてました。


以前書いた記事に書いてある通り
私のほうが年上ということもあって
頼りがいのある男でいたかったのです。



デートの度に毎日ドキドキしていましたが
妻にはバレないようにデキる男を演じていました。



仕事中は上司に怒られてばかりでダサい私ですがデート中はカッコいい男でいたかったのです。

なぜならば、四六時中360度ダサい男では
すぐに愛想を尽かされフラれてしまいます。





それは嫌です。


当時も今も私は妻にゾッコンです。


だから多少無理してでもカッコつけなければいけません。




そんな中でデートで動物園に行きました。

この日も当然、カッコいい所をたくさん見せないといけません。


まずは、人気なライオンを見てテンションを上げることにしましょう。


ところが、やっぱり百獣の王ライオン様です。人だかりでライオンのラの字も見えちゃいません!




「なんてこったー!」と、いつもの私ならここで諦めることでしょう…

しかし!この日の私は違います。
この動物園のライオンはこの時間帯にお客さんがあまり行かない逆側に移動するというのはリサーチ済みです。



妻をお客さんがあまりいない穴場スポットにこっそり連れていき
ライオン様がこちらに移動してきたら
指パッチンして妻にドヤ顔で
「イッツ ショータイム!!」と言ってやるのです!


妻はライオンがいる逆側に連れてかれて
不思議そうな顔をしています。


ふふふっ
その顔がディズニープリンスのように
真ん丸な目で驚く顔が目に浮かびます。


さぁ!!!
ライオン様どうぞこちらへお越しくださいませぇええ!!
















…全くお越しくださいませんでした。


ライオン様も生きた動物
気分というものがございます。

今日はこちらに来る気分じゃなかったみたいです。


私は妻に事情を説明して
諦めてライオンゾーンを出ようとしました。


その瞬間ライオン様は先ほどの穴場スポットに移動したみたいで、すごい人だかりになっていました。



「なんてこったー!」




妻は笑ってくれました。








さぁ、気を取り直しましょう…!



私達が次のエリアへと歩いていると
柳葉敏郎さん似のロングコートを着た男性が、手すりに手を掛けて遠い目をしながらコーヒーを飲んでいるのを見かけました。


…な、なんて渋くてカッコいいんだ!


私はそれを見て早速、近くの売店で妻と私の分のコーヒーを注文して
コーヒー片手に先ほどの柳葉敏郎さん似の男性のようにカッコよく
手すりに手を掛けて遠い目をしながら
コーヒーを飲みました。

簡単に言えば、先ほどの渋い男性のマネをしました。



あの男性が柳葉敏郎さんなら
さしずめ私は花より男子の頃の松本潤さんというところでしょうか?

つまり、最高にイケメンということです。


妻に見せびらかすように
精一杯目を細め遠いところを見つめながら
コーヒー飲むようにしました。


秋空を見つめるイカした私の姿を見て
惚れ直していただいて構いませんよ?





ん?

なんか手すりに乗せてる左手に違和感があります。





う!


う!




うわわわわわっ!!


鳩のフンが思いっきり手にくっついてるううううう!!!


せっかくカッコ良かったのに
これじゃあ全くカッコつきません!!!


妻は爆笑して
私の鳩のフンがついた左手と
ツーショットを撮ってました。






今回のデートで私のカッコいいところを全く見せれていません。


そろそろ挽回しなくてはいけません。


このままでは情けない彼氏と思われて
すぐに頼りがいのある男性に妻を奪われてしまいます。



ここいらで少し私が博識であるところを
お見せしてあげることにしましょう。


自慢ではありませんが
私は少々、物知り博士なところがあります。


次に向かうゾーンには
ミーアキャットがいるようです。


私はここで妻に

「ねぇねぇ、

ミーアキャットって立ってる姿が有名だけど、どうして立っているのか知ってる?」

と東大生も顔負けの難しい質問をしました。



妻は当然「わからない」と回答しました。


計算通りです。


「実はね、ミーアキャットは外敵に襲われないように見張り役を選ぶんだよ。

その見張り役が立って周囲を見渡し
敵がいないか、確認するんだ。


だから、次のミーアキャットのゾーンを見てごらん?


群れの中で見張り役に選ばれた1匹だけが立っているから」


妻は「へー、本当に1匹?」
と疑いの目を向けてきます。


「ほ、本当だよ!!

昨日、動物豆知識の本を読んだから!!


絶対に1匹しか見張り役として立ってないから!!」



私は自信満々に勇み足でミーアキャット達がいる展示場に向かいます。






















妻は「3匹立ってるーーーっ」
呼吸ができないぐらい笑っていました。




私は「見張り役はいくらいても困らないからね」と何とか強がってみせました。


すると突然ミーアキャットが
全員立ち上がって
なぜかわからないのですが私を見始めました。


それを見て妻は
「外敵とみなされてるじゃん!!」
さらに爆笑していました。


私は「敵じゃないよ~」と精一杯優しい顔ををしました。





見張り役は1匹だけというのは
私の勝手な勘違いだったようです。

家に帰って動物豆知識の本を確認してもそんなこと1つも書いてありませんでした。



それでも、そんなカッコつかない私を妻は気に入ってくれてるようで、
今もずっと一緒にいてくれています。







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