植物栄養と肥料
施肥設計や肥料について基本的なことを箇条書きにしてみました。
1.肥料の考え方
■必要なのに不足している要素を補充するのが「肥料」
施肥基準の考え方「どのくらいいる?」
NPK
「施肥基準」化成肥料+完熟堆肥使用が前提
都道府県毎に施肥マニュアルが整備されている。
■天然資材の場合
①窒素:畜ふん、おから、油粕、魚カス
②ミネラル:蠣殻殻、海水、草木灰
③微量要素:有機資材では補いにくい
④有機物、微生物:わら、籾殻、
天然資材の場合→投入資材の「効果」でジャンル分け
①窒素(N)
②ミネラル(Ca Mg K)
③微量要素(Fe Mn 等)
④有機物・微生物 生きた土壌を作るため
2.植物に必要な養分
必須元素の特徴のつかみかた
窒素 細胞の主原料
リン酸 核(DNA)、エネルギーの運びや(ATP、ADP)
カリ 「ナメクジ」浸透圧の調整(みずみずしさ)
石灰 「牛乳&フルーチェ」細胞壁を堅く→しめる
苦土 「クロロフィル」葉緑体の重要なパーツ
ケイ素 石やガラスの材料→稲の幹を強くしたりするガラス質
ホウ素 「ペクチン=フルーチェ」の主原料
鉄 赤血球「赤色」田んぼの青 酸素を呼び呼吸を助ける
マンガン 「酵素」の活性に深く関係
細胞壁の中の終えクチンカルシウム
ホウ素はカルシウムでつなげたペクチンをさらに強固に繋げる微量要素
マグネシウム 葉緑体の真ん中にいる重要な元素
カリウム 根物などの重さを出したい場合はカリウムを効かす
■必須元素の知っとくと便利なこと
・どのくらいの量が必要か?
10aあたりのkg/g
・水に溶ける時のイオンの特徴(プラスかマイナスか)
陽(プラス)イオン→主に重金属のなかま(ミネラル)
陰(マイナス)イオン→「~酸」という名前がつく
「塩」・・・水から析出
陽イオンと陰イオンがくっついている状態
水と電気
水は極性分子(電気的に偏りがある)
イオンが水に溶ける様子
イオンになる(電気を持つ)と溶けやすい
イオンの溶解
■水に溶ける時の形
「塩」の例
「炭カル」
カルシウムイオン Ca²
炭酸カルシウムイオンCO₃²-
炭酸カルシウムCaCO₃
■pHとは?
陽イオンと陰イオンのバランス
3.補肥力とミネラルバランス
■ミネラル施肥の基本
石灰、苦土、カリをがランス良く施肥
植物体内での役割
石灰:ペクチンと結合して細胞壁を強める(フルーチェ)
苦土:葉緑素の重要な構成要素)(光合成・クロロフィル)
カリ:浸透圧を制御~細胞内の水分調整(ナメクジ)
ミネラル施肥の流れ
土壌分析はミネラルバランス確認のために行う!
①土壌分析を行う
②CECに応じたミネラル適正値を求める
③用いる肥料の性質と成分を確認
④不足分を施肥
土壌分析の見方~CECと塩基飽和土
陽イオン交換能 CEC
土が肥料分をどれだけ保てるかを示す数値
←→土中の「席の数」
CECの単位はmeq→座る人(ミネラル)の「人数」
土の中の鉱物はマイナスに帯電→陽(プラス)イオンを抱えることが出来る。
~10 砂 20粘土 黒ボク40
土壌分析の見方
1meq の大きさは
石灰:28 苦土:20 カリ:47
これを「ミネラルー一人あたりの体重」と考えて分析結果(mg/100g)を割ると人数が決まる。
例)分析値の読み方
石灰Ca=280mg/100g(総体重)=10meq(Ca28mgが10人いる。)
■ミネラルバランスと塩基飽和土の目標値
最適塩基バランス(meqの比)<石灰は締める←→カリは緩める>
夏 石灰多め 葉物石灰多め
冬 カリ多め 果菜類・根物 カリ多め
苦土Mgを重視しすぎると・・・
→過剰投入によるカリ欠乏に注意が必要
■ミネラルバランスと塩基飽和土の目標
最適塩基バランス(meqの比) 石灰:苦土:カリ 比
Ca:Mg:K=5:2:1(あるいは7:3:1←締めるとき)
最適塩基飽和度
80%程度に調整(CEC15~20の場合)
*ただしCECが低い時は飽和度を高めにする。
★空席にはアンモニウムイオン NH₄⁺→無機態窒素を保持
余ったところには水素イオン H⁺
→ミネラル過多(満席時)は窒素保持
微量要素(鉄Fe、マンガンMnなど)
量が非常に少ない→ミネラル
土壌のpHと塩基飽和度
ミネラル(陽イオン)が少ない→酸性
多い→アルカリ性
塩基飽和度100%が中性(おおむねpH7)
4.窒素施肥の考え方
適正施肥の意義
<肥料(N)と光合成>
光合成は有機物を作る。
光合成(CHO)と窒素(N)のバランスが大事。
・病害中予防・食味向上・環境への配慮・コスト削減
窒素施肥の考え方として、植物が必要とする養分と土や植物にすでにある量と不足分を把握する事が大事。
窒素施肥の実際~ここをしっかり把握~
①植物が必要とする窒素
~施肥基準などを活用
都道府県毎の施肥基準などを参考にする。
②土や培地中にすでにある窒素
~土壌分析などで判断(無機態、有機態)
無機態窒素
土壌分析(無機態のみ/ハウスの場合EC測定)
植物体の硝酸イオン温度
有機体窒素
可給態窒素(地力)
③補うべき不足窒素
~投入肥料の種類に応じて計算
・化成肥料(無機態)→正味量投入
・有機肥料や堆肥→分解などを考慮
有機肥料や堆肥の場合 様々な課題
-肥料に含まれる窒素成分がつかみにくい
-実際に分解されて植物が吸える量は不定
窒素循環に詳しい知見が必要である。