第十八回:微生物と共に土壌を作る
Soil Food Web(土壌食物網)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?土壌中の食物連鎖を想像していただけるとわかりやすいかもしれません。
農業の中でも特に「土壌の健康」というのは各メディアや本で紹介されています。
では土壌が健康であるというのは一体どういうことなのか?という事について生物的観点で考ていきたいと思います。
今回紹介する本は「Teaming with Microbes」Jeff Lowenfels (著), Wayne Lewis (著)です。この本は土壌微生物と土壌の健康の関係について書かれています。
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これまでこのマガジンでも紹介してきた世界の農家がおススメしている本になります。
この本から土壌とSoil Food Webとの関係とSoil Food Webをどのようにして利用していく事が重要なのか考えていければと思います。
1、土壌食物網とは?
土壌は植物の生命を支えるだけでなく、多様な生物が共存する複雑な生態系です。良い土壌にはミミズやムカデなどの目に見える生物だけでなく、細菌、真菌、原生動物、線虫などの微生物も多数存在します。
これらの生物は炭素を含む有機物をエネルギー源とし、土壌の中で食物連鎖を形成しています。土壌の健康は、この多様な生物群の活動によって維持されています。
土壌食物網は、土壌中の生物が複数の獲物を食べることで形成される複雑な食物連鎖のネットワークです。各土壌環境には異なる生物群が存在し、それぞれ独自の土壌食物網があります。
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