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反収700万円 超高収益小規模農家/ NEVERSINK FARM "CORNOR CRICKMORE"

耕耘する事が1つのムダな作業だと気づいた。この印象的な言葉を残した人物が今アメリカでもっとも栽培面積当たりの収益が高い人物であるネバーシンクファーム農場長のコーナー・クリックモアーである。 6反で40万ドル日本円で4200万円稼いでいる。反収700万円。しかも有機栽培で、施設栽培だけではなく、露地栽培も取り入れてこの反収を実現しているのは凄すぎる。経営哲学やどうしてそんな事が可能なのかヒントを探すために紹介していきたい。


NEVER SINK FARMの特徴

 ニューヨークのマンハッタンから北に車で2時間ほどの距離にNEVERSINK FARMがある。NEVERSINK川が近くに流れているのでそこから名前が取られている。農場の面積は1.5acer(6反)ほどに過ぎない小さな農場だが年間で4000万円以上の収益を上げており、働いているスタッフもムダをなくす努力で高い賃金を確保しながら労働時間を適切な時間内で終わらせるようにしている。

 Redefining sustainability:持続可能性を再定義する
 Neversink Farmでは持続可能性の定義をこのように示している。

“We are redefining what sustainability means to our farm all the time. We started with the premise that the farm must sustain our family financially. Within that framework we try to employ more sustainable practices as our farm evolves and grows. Some practices we think add to our sustainability presentry:being certified organic.scale size with high production per square foot , no tractors, no plastic mulch, no wax based produce boxes, no hydroponic growing, paying our staff a reasonable wage.”

https://www.neversinkfarm.com/pages/open-positions-at-the-farm


Neversink farmの持続可能性の定義

1、家族を養う為に十分な売り上げを確保する
2、面積当たりの収益を上げつつ、
 ・トラクターや管理機でさえも使わない
 ・ワックスの使っていない包装資材を使う
 ・水耕栽培は行わない
3、スタッフに妥当な賃金を支払う($19/1時間)
4、オーガニック認証を持つ農場であること

栽培方法


 栽培方法の特徴として、表層耕起(表層5㎝だけ耕す方法)でプラスチックマルチも防草シートも使わない。トラクターや管理機も使わない。畝を固定する事で可能になる農法で表層の雑草をゼロにしながら、土壌ストラクチャーを破壊せずに済むので土壌浸食も起こりにくい。
 栽培方法や道具については以前の記事でも紹介しているのでそちらも参考にして下さい。

マーケット


 売り上げのほとんどをファーマーズマーケットが占めている。最初地元のファーマーズマーケットで販売を始めたが、今では往復5時間ほどの離れた街でファーマーズマーケットをする事によって売り上げが伸びた。なぜなら人口も多く大きなファーマーズマーケットがあったからだ。良い市場を探す事が売り上げを伸ばす1つの大事な要素になってくる。
 自分の販売量に合わせて出店先を決めることが大事である。

農場の大きさ

 今は1.5acerの大きさでここはJean-martin Fortierのような栽培スタイルではなく、徹底的に雑草が生えないようにしている。今後面積当たりの収穫量が増えてきたので野菜の栽培面積は1.3acer位に減らそうと思っている。理由としてはこれ以上野菜が増えると新たにファーマーズマーケットを探さなくてはいけなくなるから。

土作り

 土壌診断の結果によって土壌への肥料設計も変えている。土壌設計用の部屋があって、診断結果から鶏糞、アルファルファ、大豆カスなどを配合している。それらを配合した肥料を表層施肥をしている。
 露地とハウスでも肥料の中身を変えている。ハウスでは動物性の肥料は使わない。ハウスでは海藻などの肥料も使っている。

足るを知る

 生産側の従業員は1.5aceで2人で回しています。不耕起栽培の良い所として、播種のタイミングが大雨でなければいつでも植え付け準備が出来ているということです。植え付けるタイミングが多いことは効率性の向上に繋がってきます。

 彼はこの農場を$30000で始めました。豪華なトラクターを購入しましたが、今思うと他のハンドツールに十分でした。
 農業を成功させるためには十分な利益を効率的に生み出さなくてはなりません。そのために私はどういう風に私が栽培しているのか。売り方などのメソッドを若手の農家に伝えています。世界中で小規模農家の生産性が上がり、ローカルフードが活性化する世界を見てみたいのです。

 メソッドよりも重要な事は、どうしてそれを行っているのか?を自問自答して行く事にあるという。よくスケールアップしないのか?という質問をされるが、今の広さと利益で充分満足する生活スタイルなので、むしろもっと効率化させて楽にしていきたいと考えています。


畝の準備に必要な4つのステップ

 収穫後から定植出来る用にするまでの畝の準備の方法を紹介します。

準備物
・ホウ
・バケット(取り除いた野菜を入れるため)
・ブロードフォーク
・ティルサー
・サイレージタープ

ステップ1 野菜の根っこまで取り除く


 全ての野菜の根っこを取り除く。例えばニンジンやケール。ラディッシュなど。作物によって取り除きやすさが変わってきます。この作業が特に難しい野菜がベイビーグリーンで葉っぱを収穫したら直ぐにホウを使って全ての根を取り除きましょう。そうしないと雑草化してしまって次の栽培が上手くいきません。もし時間に余裕があればタープを1ヶ月しましょう。そうすれば綺麗な畝で栽培を始められます。


ステップ2 ブロードフォーク 


 次は土壌に空気をいれる作業です。ブロードフォークという土起こし君のような構造の道具を使っていきます。表層耕起はトラクターで耕運した時の様に土を反転させないように注意しながら30㎝深くまでブロードフォークをさして空気を入れる作業です。もし岩などがあれば随時取り除きましょう。作業間隔は25㎝毎に穴を空けていきましょう。

ステップ3 肥料散布


 毎回肥料を土壌の状態に合わせて散布します。土壌診断や野菜の生育などから判断して投入する肥料を考えていきます。

ステップ4 表層耕起


 ティルサーを使って表層耕起をします。ティルサーとはマーケットガーデナーが良く使っている道具です。
 特徴として軽い、シンプルな構造、電動ドライバーで動く事が挙げられます。必ず石、岩の無い綺麗な畝で使いましょう。ほとんどの野菜でティルサーは充分耕してくれます。
 表層耕起栽培は早くて簡単です。効率的で早い輪作体系は生産性の高い農場の理由のひとつです。

NEVERSINK FARMの表層耕起栽培法


 多くの表層起栽培があるがこの農場は他の表層耕起農家と違っている。トラクターはもちろん管理機でさえも使わない。思い機械は一切農場では使わないので硬盤が出来にくい。シンプルで哲学をしっかり持っている農法です。

ありがとうございました。

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