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『大人』って誰ですか?

人っていつになったら「大人」になるのか?

僕は成人をして、しばらく経ちましたが、
いまのところ、自分が「大人」というものになった感じが全くしません。

何度か、「すみません。つかぬことをお伺いしますが、僕は大人ですか?」と、
自分の心に問うてみましたが、
いまのところ「あなたはあなたです」としか返事が返ってきません。

「そんなことわかってるよ。俺が
『大人』か『子ども』かってことをきいてるんだよ。」
と癇癪を起こしてみますが、同じ答えしか返って来ないようです。

しかし、続けてこう返事が返ってきました。

「あなたは、これまでもこれからもずっと、あなたです。『大人』などというものになることはありません。もちろん断言はしません。『大人』を知りませんから。」

は?

いやいや、大人はいるよ?
何を言ってるんだ、こいつは。
まあなんで心と会話出来るのか、という討論は、また今度にしよう。

とにかく大人はいるんだよ。
でも今のところ、どうやって大人になるのか分からないし、
20歳になった時に
「あなたは今日から大人!」と誰かに言われたけど、今のところ見よう見まねで『大人のふり』をしているだけだし、
普通に生きてれば勝手に大人になると思ってたんだけどなあ。

「じゃあ、あなたがおっしゃる『大人』というものはどのような生き物なんですか?」

それはさ、
わからないことがあっても聞けば何でも知っていて、誰に対しても平等だから常に他の人のことを考えていて、『子ども』みたいに喧嘩もしないし、絶対に間違ったことはしない。
嘘もつかないし、約束も破らないし、僕らみたいに泣き虫じゃないし。
怒ったりもするけど、それは正しいことを教えるために怒ってるんだ。
もちろん、大人がすることは正しいから
人から怒られることは絶対にないよ。

「ふーん。
それじゃあ、どこでその『大人』とやらを見たんですか?」

いろんなところで見たな。たしかテレビのドラマとかネットで見たことある。
子供のころから会ってないけど、小学校の先生とかは『大人』だった気がするなあ。
自分自身を『大人』って名乗ってる人はたくさんいたけど、みんな『大人』じゃなかったしなあ。
例えば中学と高校の先生は『大人』じゃなかった。

「うーん。
残念ながら、
あなたが『大人』だと思っている人達も、
嘘はつくし、約束を破ることもある。
どうしても喧嘩してしまう時もあります。
間違いや失敗もします。
人から怒られたりもしますし。」

「それに悲しくて泣いてしまう時もありますよ。
子どもと同じく歯を磨かずに眠る時もあれば、虫歯にもなります。」

「しかしどうでもいいですが、
あなたのおっしゃる『大人』という化け物とは、
仲良くなれそうにないですね。
そんな完璧で正解ばかり知っている人と話しても面白くなさそうですし。
ほんとにそんな化け物になりた…
おっと、今のは失言です。聞き流してください。」

「あ、ついでに言いますと、
何歳になっても勉強は続きますよ。
実は、学校で教えられること以外にも覚えることがあります。
だから森羅万象全てを知る人物などいません。」

本当に?

「そうですとも。
そんな人がいれば、はなから戦争なんか…
おっとあんまりこんな話するとよくないですね。」

なんだよ。はっきりしないなあ。
君がそんなんじゃ、いつまで経っても、僕も大人になれないじゃないか。

「元々、あなたも私も
こういう性格なんだからしょうがないでしょうが。
しかし、あなたの基準から考える『大人』という生き物は空想の生き物じゃないですか?
そんなもの本当にいるんですか?
少なくとも「あなたの心」として、あなたと一緒に成長して来ましたが、今のところそんな人いなかったと思いますよ。
それに、そんな完璧な人がうじゃうじゃいたら、怖くてしょうがないですよ。」

「だいたい、あなたはどうしてそこまで『大人』になりたいのですか?」

そりゃあ、「憧れ」だからだよ。
「大人」って響きからして、かっこいいじゃないか。
それに人に「大人だなあ」とか言われたら、嬉しいしさ。
だから、君がどう言おうと、
僕はかっこいい『大人』になるために、努力するからな。邪魔しないでくれよ。

「はいはい。
『大人』になるために努力されるのは結構なことですが、
あなたはあなたなんだから、
『大人』にはならないし、
話を聞く限り、
私は『大人』なんかより
失敗しながら少しずつ成長する『あなた』のままでいた方がよっぽどマシだと思いますけどね。」

※本文はフィクションであり、いつもどおりコラムを書こうとしたら、ファンタジーっぽくなりました。ご迷惑おかけします。
内容は個人の意見ではありますが、
「大人ってなに?」っていう問いには十人十色の回答があると思います。

それでは
読んで頂き、ありがとうございました。

おわり

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