鍼灸院・整骨院経営3.0【後編】
前回までのnoteをまだ見ていない方は
鍼灸院・整骨院経営3.0【前編】
鍼灸院・整骨院経営3.0【中編】
を先にご覧ください。
治療院経営3.0のカギ「共創」
1.0・2.0の「競争」時代が終わり、これから治療院経営3.0にアップデートされることにより大切なのは「人」と「共創」だと前回のnoteで書きましたが、今回はその中でも「共創」について書いて行きます。
まずはじめに「共創」とは
多様な立場の人たちと、新しい価値を”共”に”創り”上げていくことです。
語弊があるかもしれませんが、これまでの僕たちの業界は、他所を蹴落とし他所よりいかに優れているかを一般に向けて発信していました。「共創」の真逆です。例えば「うちにしかできない治療法」とか「他所はこう言っているけど本当はこうだよ」などの文言だけでもそう言えると思います。
「鍼灸」というそのもの自体の価値を高めるのではなく、我先に、自分だけ良ければいいという発想で行われてきたことだと思います。
しかし、これを何十年も続けてきた結果今、どうなっていますか?
鍼灸院を例にあげると
全国に4万店舗ほど鍼灸施術が受けれるお店がありコンビニと同じくらい至るところに鍼灸院があります。そしてコンビニと違うのは利用者の数です。
最近では86歳の僕の祖母でもコンビニで日用品を買っていますし、コンビニを1度も利用したことがない人は稀ではないでしょうか?
それに比べて鍼灸施術の受療率は毎年4%前後という調査結果になっているみたいです。
「誰よりも儲けたい」「どうにかして他所より患者さんを集めたい」という思いは間違いではないし、事業をしている人であれば誰でも同じような気持ちだと思います。
でも、それを続けてきてしまったおかげで、お店だけ増えて鍼灸施術を利用する患者さんは増えていないのが現状です。
ちなみに、大雑把な計算ではありますが日本の人口1億人の4%を4万店でまかなっているとすると
400万人(1億人の4%) / 鍼灸院4万店 ということになり、
1店舗当たり100人の患者さんしかいない計算になります。
(もちろん平均値ですのでこれに当てはまらない鍼灸院はたくさんあると思いますが)この100人の患者さんを毎月ぐるぐるぐるぐる回していることになります。
どうですか?めちゃくちゃ大変ですよね。それは『鍼灸業界はレッドオーシャンだから儲からない』という声が出ますよね。
この状況を打破するには、これまでのような「他所より精神」や「うちだけ精神」では無理です。
【鍼灸院業界】・【鍼灸治療】そのものの価値を高め、経済圏の拡大をする必要があります。
しかし、それをいち鍼灸師やいち鍼灸院がマンパワーで頑張ったところで、自分の院がある地域も本当の意味で盛り上げることはできないと思います。
そこで「共創」の出番です。
ではここからは実際にどのような考えで「共創」が必要と思ったのかを書いていきます。
僕が「共創」がカギと思った理由
※ここからは全て鍼灸院を例で書いていきます。
まず考えていきたいのは「なぜ鍼灸の受療率は4%なのか」です。様々な答えが出てきそうなので何個かあげていきますね。
・鍼灸の存在を知らない
・鍼やお灸が怖いから
・鍼灸は胡散臭いし怪しい気がする
・衛生面的に不安...etc
鍼灸師の方とこの話をすると大体このような答えが返ってきます。他にもたくさんありますが僕たちの精神衛生面上よくないのでこれくらいにしておきますね(笑)
こんな答えが返ってきますが、もちろん僕も全て正解だと思います。しかし根本はもっと手前にあるのではないかとも思っています。
それは何かと言うと「”鍼灸”は聞いたことあるし知っているけど、自分に関係があると思っていない」です。
ちょっと話はずれますが、僕はiPhoneで「Apple Music」という定額制の音楽アプリを使っています。たくさんの音楽が月額を払えば聴き放題なので普段なら聴かない音楽なんかも簡単に聴くことができます。
そのアプリでよく「あいみょん」という歌手名を目にしていて、患者さんとの会話にもよく出てきていたし、「あいみょん」という歌手がいることは知っていました。
でも、勝手に「あいみょん」は僕には関係ない歌手だと思っていて、一曲も聞いたことはありませんでした。
そんな時に僕のみていたドラマの主題歌を歌っているのが「あいみょん」だと知り『なんじゃ!この曲めっちゃ好きだったけど「あいみょん」なんかいっ!!』ってなったのを覚えています(笑)そしてそこから「あいみょん」の曲を片っ端から聴いていき気づいたらちゃんとあいみょんファンになっていました。
何が言いたいかというと、僕にとっての「あいみょん」が、一般の方にとっての「鍼灸」なのではないかということです。
最近ではテレビなどでもよく「鍼灸」について取り上げてもらっていて、鍼灸の存在については大体皆さん知ってくれている思いますが、まさかそれが自分にも関係しているとは思っていないのではないか。と僕は考えています。
先ほど書いた
・鍼やお灸が怖いから
・鍼灸は胡散臭いし怪しい気がする
・衛生面的に不安
このようなネガティブイメージがある人を僕たち鍼灸師がポジティブイメージに変えていくのは難しいと思います。
『鍼灸は怖くないし、ちゃんと歴史のある治療法だから怪しくないし衛生面なんてかなりしっかり管理しているから鍼灸を受けてよ』って鍼灸師が言ってもピンっとこないと思います。自分たちの悪い部分なんて普通晒さないですもんね。
一般の方からすると『はいはい、鍼灸を受けて欲しいんだからみんな良いことしか言わないもんね』って思っちゃてると思います。
なので、ネガティブイメージを持たれている人に直接僕たちがアプローチをするのはナンセンスで、その人たちにアプローチをするのは「鍼灸のことを好んでいる患者さん」にお任せすれば良いんです。(良いものは一瞬でその方のコミュニティ内に広がりますから)
そして、僕たち鍼灸師がアプローチしなくてはならないのは、「鍼灸が自分に関係ないと持っている人たち」で、そんでもって、経済圏の拡大(「鍼灸を好んでくれる患者さん」を増やしていくこと)が大切だと思います。
ここでいう「経済圏の拡大」とは受療率を上げることです。これまでの受療率4%(400万人)を全国の鍼灸院でグルグル回すのではなく、受療率を5%、10%、30%と増やしていくこと。簡単にいうと患者さんの母数を増やすということです。
鍼灸を関係ないと思ってる人(患者さん)に関係ないと思われてる人(鍼灸師)がどれだけアプローチしても聞く耳をもってもらえないですが、もし仲の良い友達から『鍼灸ってめっちゃ効くよ』って言われたら自分も受けてみようかなと思ってもらえると思います。
以上のことから、これから鍼灸院を永続的に経営していくには、経済圏の拡大をするために、多様な立場の鍼灸師たちが、誰かを蹴落とすのではなく、みんなで「鍼灸」の価値を見出して、発信して、『鍼灸なんて自分たちに関係ない』と思っている人たち(経済圏の外)にアプローチをする必要があると考えた結果、いち鍼灸師やいち鍼灸院のマンパワーではなく「共創」がカギだと思いました。
鍼灸院・整骨院経営3.0の前中後の長い3本立てを最後まで読んでくださりありがとうございました。僕は自分の仕事をめちゃくちゃ誇りに思っています。こんなに素晴らしい仕事は他にないとまで思っています。この素晴らしい仕事をこれから30年50年と死ぬまで続けていけるように、どうにか経営を持続していきたくて、治療院経営3.0に変わらなくてはいけないという考えになりました。
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