南禅寺のつけもの
去年の秋に、京都の永観堂から南禅寺のあたりを歩いて、そこから疎水のアーチの上を渡って蹴上へいった。インクラインをくだって、動物園の裏手あたりに、生垣や塀がきれいな感じのいい路地がある。そこに石段と門を構え、小さな庭園を併せ持つ日本家屋の漬物屋がある。
同行した人がおみやげに買うというので、一緒にのぞく。
店では番頭が座敷に正座して、切り盛りしているが、そろばんの計算がおそい、たくさん買うとと包装や小袋をつけるのにとまどったりと、由緒ありそうな店なのになんだかおぼつかない。感じがいいので、なぜかにくめない。
大根のつけものが賞味期限間近で安くなっており、私にもおひとつと、買ってもらう(身内なので、気兼ねなし)。家に帰って食べてみると、すごくおいしくてあっという間に食べてしまった。もう一度食べたいなと思いつつ、南禅寺のあたりは交通の便もあまりよくなく、遠いわけではないが、行きづらいななどと思う。
年が明けて、無鄰菴(むりんあん、山縣有朋の別荘)に見学にいく。
漬物屋は斜め向かいなので、のぞきにいく。
千枚漬けと大根の漬物を買う。
2回目食べても、やはりおいしかった。
大根の漬物は、賞味期限間近だった一回目の方が、味がしみてやわらかくおいしかった。2回目は少しかたく、味が馴染んでおらず、そこも面白いと思う。千枚漬けも少し甘めだが、さっぱりとして、すぐになくなった。
全体的に素朴で、味わい深い。添加物も少なく、店舗も一軒のみで手広くやっていないところにも好感がもてる(通販はあり)。
南禅寺近くに行くひとには、ぜひおすすめしたい。
京つけもの 長瀬
写真は無鄰菴に建学に行ったときのもの