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興味関心の連鎖
吉田修一のパレードという作品がある。サラリーマン、雑貨屋店長、無職、大学生の若者4人が都内でルームシェアをしているところにもうひとり、男娼をしているサトルが現れる。同じ頃、近所で連続通り魔事件が発生しており、それまで平穏に見えていた日常に影が差し始め…といったお話。
数年前になるが、たまたま本屋で見かけて、映画化!藤原竜也主演!と帯に書かれていたので即購入した。重い読後感、考えさせられる内容が大変よろしい。おすすめ。
ちなみに映画も大変素晴らしい。おすすめ。キャスト豪華。より一層暗い。
パレードという言葉は明るい、陽な雰囲気を持つものとして捉えられることがほとんどだと思われるが、この作品では不気味なものとして描かれている。タイトルとはかけ離れた読後感だよな…と呆然とした私は、一般的なイメージと異なる表現がされているものや、解釈の異なる言葉って面白いなと思い、とりあえず「パレード」と名のつく作品が他に無いか調べてみた。
スガシカオの午後のパレードという曲が出てきた。
「キミの隣にいるその人って、ホントにキミが思うような人ですか」
「本当の事を誰も話さなくても続けること、それがパレードのルール」
等、どういうことなんだろうかと考えさせられる歌詞が並ぶ。曲調も決して暗くは無いのだが、明るいとも言い切れない。なんか不気味なエッセンスが含まれている感じ。
スガシカオはアシンメトリーくらいしか知らなかったのだが、結構聴くようになった。黄金の月も好き。あとミスチルのファスナー(これもなんじゃこりゃと思える暗い曲)をカバーしていてめちゃくちゃ嬉しくなった。
話が逸れるが、プラージュというドラマに出演している。星野源主演。前科持ちの人間が集まるシェアハウスの話。他にも石田ゆり子が出演しているが、このふたりと仲が良いらしく、ふたりと共演するなら…とオファーを受けたらしい。Huluで観れる。ちなみにパレードもHuluで観れる。
曲でいうとバンプのパレードも不穏な雰囲気の曲調である。映画化された寄生獣の主題歌になっている。話が逸れまくるが寄生獣の映画化も良かった。原作が好きなので過度な期待を持って観ると悲しい想いをするよな…と臨んだが、かなり良かった。これきっかけで染谷将太ファンになったし、深津絵里の田宮良子も違和感が無い。新一と田宮良子の公園のシーンで泣いた。泣くやろうなーと思って観たらやっぱり泣いた。
石田衣良の小説、池袋ウエストゲートパークの「憎悪のパレード」という作品がある。IWGPといえばドラマが有名と思われるが、原作は小説で、実は未だに連載している。1年に4本のペース。春夏秋冬を感じさせながら、時事ネタをテーマにしている。物語の中でコロナも流行っていたし、マコトもタカシも歳を取っている。この作品がきっかけで出会い、IWGPにはまることになった。ちょうど仕事の関係で池袋にほぼ毎日出入りすることになった事情もあり、作中に描かれる場所を実際に訪れて嬉しくなったりもした。タイミングとは不思議なものである。
歳を取り、読む本はエッセイやノンフィクションが多くなってしまっているが、IWGPは本当に面白い。未だに胸が熱くなる。文庫化される9月を毎年楽しみにしている。
最近IWGPを読み返しているが全く遜色無く面白いので、なんでこんなに惹かれるのだろうかと考えていたが、マコトとタカシのように、歳を取っても一緒に居る関係が羨ましいのかもしれないと思った。オードリーの東京ドームライブにも同じことを思っていた。結局はああいうふうに、おっさんになってもずっとふたりで喋っているようなことがしたいだけなのかもしれない。