【異郷日記】10/9/24 移民の里親に会う場面に立ち会う
海外生活、対人援助の仕事、様々な環境的要因から昔は納めて閉じ込めていた自分の気持ちが溢れてだした。そのためカウンセリングを受けている。先週あった、職場と家での怒りを感じたエピソード二つを話す。他人の気持ちのぐちゃぐちゃに付き合っているのに、自分のことは本当に難しい。
お昼は焼きそばを作った。明日から不在になる家人に見せる愛情の一つでもあった。家人は現地人だが、こういう形の気持ちはとてもよく伝わる。なぜか薄切り牛肉を解凍してしまい、牛で。少し違和感はあったが、美味しかった。食後に、お盆の帰国時に叔母が持たせてくれていた、地元の400年続く和菓子屋のゼリーを食べてこれも感動。400年前からある品なのかはわからないが、優しい甘さが染みた。
仕事へ。クライアントの付き添いで、里親になってくれる家族との面談だった。緊張しているクライアントにみかんをあげると、とても喜んで食べ、部屋に香りが漂って、少しリラックスした空気になった。とても素敵な落ち着いた、穏やかな雰囲気だったが、移民のご家族で、難民として苦労しながら生活を組み立ててきた方たちだった。クライアントとこのご家族は同じ国の出身だが、この里親家族は元のルーツの国からの慣習や宗教的信仰を重んじ、厳格さや伝統や家族の和、を重んじるような発言があり、それはクライアント本人が感じ取って不安になっていた。しかし、厳格さは将来必ず役に立つものとも言っていて、この10代半ばの子がそう思える達観したところに尊敬の念を抱いた。現実的にでてくるだろう問題もいくつか見えて、その予防策や万が一のプランの提案や交渉はこちらの力量だろうと思った。
たくさん子どもがいる家庭では、兄弟姉妹の中で二人組をつくって部屋を共有するというのはあり得ることなのかもしれない。しかし、この個人主義の現地で、親元を離れ、ある程度の自由を味わったクライアントはどうこの家族に馴染んでいくのだろうか。移民二世の十代は、一世であるルーツの慣習のまま家庭生活を営む両親と、ほとんど現地人として学校社会で生きている自分のアイデンティティの違いからくる軋轢に悩むことが多く、それが問題を引き起こしているケースがけっこうあり、これはまた別途記そうと思う。このクライアントの里親生活のスタートにあたり、環境的、心理的準備を本人主体で丁寧にサポートしていきたいと思った。そして、ふと、もしこれが日本人の10代の子と、日本人の里親だったらどうなるのだろうと思った。嫌がるような気もしたが、よく想像できなかった。
緊張が解けたあと、マクドナルドによって車の中で食べた。夕方の光がさしこむ車の中の感じ、そこで食べたチップスとコーラの味は、クライアントにとって記憶に残るような気がなんとなくした。
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