それいけ! 麻婆豆腐道(1)
突然ですが、私は麻婆豆腐が大好き、なようです。
なぜ断言しないかというと、たとえば「好きな食べ物は何ですか?」と問われた時に「麻婆豆腐」と答えることはまずないから。中華料理店に行っても、頼むのはだいだい酢豚です。
そのくせして、家で作る中華となると炒飯の次に麻婆豆腐が多い。炊き立てご飯に熱々の麻婆豆腐をかけて食べる幸せは、まさに人生の小さな宝でございましょう。
手前味噌ながら、私が作る麻婆豆腐はそれなりにおいしいのです。私の口にシンデレラ・フィットするようレシピが整えられているので。
けれども、つい先日、ふとこんなことを思ってしまいました。
現状に満足していていいのか。
もっと麻婆豆腐を極めるべきではないか。
なんでまた唐突にそんなことを思ったのかはわかりませんが、思ってしまった以上は仕方ない。
極めることにしました。
というわけで、これから不定期に「それいけ! 麻婆豆腐道」と名付けた連載をしていきます。
よろしくお願いいたします。
さて、道を究めるためには座学と調査と実習が欠かせません。
普段なら座学から入るのが私のセオリーですが、今回は麻婆豆腐に詳しい文献を見つけている暇がなかったので、まずフィールドワークから始めることにしました。
麻婆豆腐のフィールドワークとはなにか。
それは町で提供されている麻婆豆腐を実食していくこと。
麻婆豆腐は和式中華の定番だけあって、チェーン店から個人経営の町中華、はたまた高級レストランまで、中華を標榜する店なら十中八九メニューに取り入れています。これはなかなかやりがいがありそうな調査です。
で、栄えあるファーストリサーチの対象には、チェーン中華の大定番Gを選びました。
画像、ドン!
まず、最初にお断りしておきますが、これはレギュラーサイズではなく小食さん向けのジャストサイズでございます。自慢じゃないですが胃袋が年々小さくなっておりまして、普通の一人前を食べきるのがつらいことがあるので、小にしたような次第です。
ここからは実食時の率直な感想をつらつらつづります。
まず、料理が運ばれてきた時の香りですが、特に強いわけでもなく、上に振りかけられている山椒も鮮烈というほどでもありません。
次、一口目。
味、うっすい……。正直、そう感じました。
最初に立つのは、麻(痺れる山椒)辣(ひりひりする唐辛子)味ではなく、鶏がら系出汁のうまみ。次は醤油など調味料、その後にようやく軽い辣が感じられるかな、ぐらい。
でも、いま一つ物足りない気分で食べ進めていくうちに思い出してきました。そうだ、昭和の町中華の麻婆豆腐ってこんなだったわ、と。そういう意味では、和式中華としてトラディショナルな味なのかもしれません。
しかしながら、家庭でも豆板醬、豆鼓、甜麵醬が使えるようになった21世紀日本において本品を麻婆豆腐とするのは若干の抵抗感が、私には、ある。中華風豆腐のピリ辛煮程度では? と思わざるを得ないのです。
とはいえ、別にまずいわけではありません。ご飯に乗せつつ、最後までおいしくいただきました。
結局、レシピの参考というより、昭和の味探訪気分になったフィールドワーク第一回でした。
辛さ ★☆☆☆☆
麻婆豆腐らしさ ★☆☆☆☆(ただし昭和に限定すると ★★★☆☆)
FOR ME 度 ★☆☆☆☆
さて、次は実習編の予定。いつの更新になるかはわからないけど、どうぞお楽しみに!