癸卯葉月 処暑 四国行 夏休み編その2
廿七日午後
宇佐美さんに松山駅まで送っていただき、さあいよいよ旅前半のメインイベントに挑むことになった。
四国の有名観光列車「伊予灘ものがたり」に乗車するのだ!
プチ乗り鉄としては一度は乗っておきたい列車である。詳細は下記をご覧あれ。
ワタクシ、なぜか海の側を走る電車が大好き。
たとえば海の上を走るJR西日本の参宮線や京都丹後鉄道の由良川橋梁、側ぎりぎりを走る三陸鉄道リアス線などなど、“海と鉄道”は最高のごちそう。我が心のふるさとだ。生まれ育ちは大阪内陸部の煤けた街なのに。
とにかく、一度テレビかなにかで見て以来、恋い焦がれていた列車に乗れることになったというので、もう浮かれまくりである。我が人生のチェックポイントが、こうしてまた一つ埋まった。
二人席だったので、見知らぬ方と相席となった。ご挨拶してお話していると、なんと横浜からいらっしゃったと判明。しかもかなり横須賀のご近所だ。予讃線を走りながらなぜかスカ線の話でしばし盛り上がる。これはこれで旅の醍醐味だ。
食事が配膳され、車窓を眺めながら楽しむ。
言葉は不要だ。
ただただ、うれしかった。
途中、伊予灘が美しく見える駅として有名な下灘駅では停車し、下車。すぐ向こうに青い海。これが見たくて、はるばる来たのだ。
沿線ではあちらこちらで住民のみなさんが見送ってくれる。普段、どちらかというとこの手の演出にはクールな方なのだが、今回ばかりは都度ありがたさが込み上げた。これもまた観光列車マジックなのかもしれない。
旅は二時間半ほど。新横浜から新大阪までほぼ同じぐらいなのだが、もっと乗っていたかったという意味でははるかに短く、充実感という意味ではとても長い時間だった。
終着駅の八幡浜駅で特急宇和海に乗り換えて宇和島へ。今日はそこで投宿予定。
さすがにくたびれるだろうと思い、駅上のホテルメッツを予約していたのだが、これが正解だった。夜は駅近くの居酒屋に行くつもりが、電車の中で飲みすぎたのか杯を取る気にならず、スーパーで惣菜と地酒を購入して部屋で食べることにした。これはこれで好きなのだが。
夜、今日の鉄旅を思い返しながら眠りについた。最高のひと時である。