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こども誰でも通園制度について
異次元の少子化対策として、「こども誰でも通園制度」があります。この制度は、保護者の就労状況に関係なく、0歳6ヶ月から2歳児の子どもを保育園などで預かるサービスです。現在も一部の自治体で試験的に実施されており、2026年度からは全国での本格実施を目指しています。
この制度を運用するには保育士が必要ですが、多くの自治体で待機児童が解消されておらず、保育士の不足が課題となっています。保育士の処遇改善により、給料面などで見直しが進んでいますが、現状では少ない保育士の取り合いになっているように見えます。高い給料を払える施設へ流れていってしまうのは当然ですよね。
国は待機児童対策の一環として保育所を整備してきましたが、少子化により地域によっては保育所の活用が課題となっているケースもあります。こういった施設の利活用も含め、「こども誰でも通園制度」を始めようとしているのだと思います。
保育士不足については、働き方改革や給料面などの処遇改善が進められていますが、すぐには解消されないのが実情です。保育士登録者は約120万人、実際に働いているのは約40万人です。保育士の資格を持っているが別の仕事をしている方や働いていない方を「潜在保育士」といいますが、全国には約80万人もいると言われています。潜在保育士のほとんどは保育施設で働いた経験がある方ですが、その経験があるが故に再び働きたくないということなのでしょう。
働き方や給料の問題以前に、どういった職場にすれば働き手が集まるのかという原点に立ち返って議論する必要があります。こどもと関わる仕事がしたいと思って保育士になった若い方に同じような思いをさせないよう、現場の方も行政も国も考えるべきだと思います。