見出し画像

続けることの意味とはなにか? │ 哲学対話

ここ数日間、超怒涛の哲学対話漬けの毎日だった。
大学の哲学対話への参加、QWSアカデミアの対話イベントへの参加、そして自身が主催した哲学対話イベント。

さらに6月末で今の会社を離れることも相まって、ドタバタしていた。ようやく落ち着いてきたので、これを書いている。


テーマについて

哲学対話を開くのは今回で2回目。テーマは「続けることの意味とはなにか?」

テーマを提案してくれたのはQWSコミュニケーターの上田さんで、「ある活動や行動を続けている人たちが何を考えているのか、『今』を起点に皆さんと考えてみたい」と仰っていた。

今回の会場である渋谷QWSでは多くのプロジェクトが動いているので、ここで「続けること」について問うことには意義がある と感じた。

私自身、興味が移りやすく、一つのことを長く続ける経験がほとんどなかった。いわば続けることへのコンプレックスがある

(前回の対話も自身のコンプレックスがきっかけだったが) こうしてテーマが決まり、わたしの「やりましょう!」の二つ返事でこの企画が始まった。


対話の前日のこと

話は少し逸れ、企画の前日。
渋谷QWSで「なぜ拒否る 拒否られる」という対話イベントがあり、東京大学総合文化研究科の梶谷先生とお会いすることができた。(先生の著書を参考に哲学対話を進めているので、お目にかかれてとても嬉しかった)

イベント終了後、明日自身も哲学対話をすると先生にお話した。そして、「哲学専攻でもない人間が、勝手に何度も哲学対話を開いている。これでいいのか?と今でも思います。」と自分がずっと懸念していることも。

すると先生は、「そこは気にしなくて良い。その人がやるからこそ、その人にしか作れない場が生まれる。例えば企業で哲学対話をするのが得意な人もいれば、そうでない人もいる。あなたにしか作れない場もありますよ。明日の対話も楽しんでくださいね」と言ってくださった。


当日

同じ組で 前半30分→休憩10分→後半30分 のスケジュールで、2つのグループに分かれて対話がスタートした。

参加者の方が持参してくれたもふもふのコミュニケーションボールを使って、5W1Hを意識しながらの問い出だしからスタート。

もふもふコミュニケーションボール

対話のなかで、「続けるモチベーションは何か?」が一番、参加者の方それぞれで違いが出ていて面白かった。

  • 好き

  • お得

といったプラスの感情がモチベーションになっている人もいれば、

  • 怒り

  • 不安

  • 焦り

といったマイナスの感情が続けることの根源にあると答える人もいた。一見すると真逆の感情が「続ける」という行動につながっている。

さらに興味深かったのは、「最終的には怒りや不安、焦りも『マイナス』ではないのではないか?」という意見だった。

怒りなどを何かを「続ける」ことで昇華し、続けることで解消できるなら結局プラスだと言えるよね、と。

「確かに」「おお〜」という声が上がる。

哲学対話らしい考えの変化の瞬間。これが楽しい。


やめる ということ

個人的に、今回の対話の中で一番好きだったのは、「やめる」ことへの認識の違いだった。
「続ける」の対にある「やめる」ということについての話題の際、

①「『やめる』とは、0になり別のステップに進むことであり、良くも悪くも一旦リセットするということ」

やめるイメージ①


という意見がでて、わたしもそれに納得していた。

が、ある参加者の方は

②「続けなければ関係性などが限りなく0に近づくが、決して0にはならない」

やめるイメージ②


と言っていたのだ。


私はこれまでたくさんのことを続けられなかった。中学、高校と部活の一貫性もなければ、大学で専攻していたことと今の仕事もちがう。ここから転職も控えている。

しかし、この考え方で行くとその経験や人脈はゼロにはならない。そこで出会った人とまた新たな領域で再開するかもしれないし、退職したあともどこかしらで続く縁はある。


6月末の退職に伴い渋谷QWSのメンバーも抜けることになる。この場所が好きだったから、関係性がなくなるのが寂しかった。でも、「ゼロにはならない」という言葉は今のわたしにとって救いになった。


「続けることの意味とはなにか?」を考える 哲学対話を終えて


今回の対話は大成功だった気がする。

去年自身が行った哲学対話との大きな違いは、やはり議事録の部分だと思う。

ホワイトボードで議事録を取ることで、どこまで話したのか、ここまでの対話を俯瞰して客観視できるので、今後もこの方法を活用したい。別のイベントで見たグラレコも取り入れられたらな〜と思う。

今回の哲学対話で良かったポイントをまとめると、

  • みながその問いに真剣に向き合おうとする姿勢ができていた

  • 否定する姿勢(反対意見ではなく)をとる人がいなかった

  • ホワイトボードに議事録をとることで、グループごとの意見の違いがわかりやすく可視化できた

このあたり。いずれも参加者の方の協力なしでは成り立たなかったので、感謝です。


謝辞

この哲学対話の開催にあたり、たくさんの方々にご協力いただきました。

相談やお話をさせていただいた梶谷先生、河原先生、小林先生、渡名喜先生、堀越先生 (50音順)
今回の対話を一緒に企画・運営してくださったQWSコミュニケーターの上田さん
こうした問いを真剣に話せる場所を提供してくれたQWSの皆様
当日記録用の写真を撮ってくれた加藤さん
そして参加いただいた皆様

本当にありがとうございました。


この哲学対話は、今現在の私たちにしか作れない場になっただろうか。
そうだとしたらとても嬉しい。

いいなと思ったら応援しよう!