スタイリングする醍醐味
先日、いつも私のお店でたくさんお洋服をお選びになるお客様が数ヶ月ぶりにいらっしゃった。
しかし、なんだか浮かない顔だ。
「最近、あなたのお店のお洋服のカタログを見てもピンとこないの。以前に買った服も前程着ててワクワクしない。きっともう秋なのに暑いせいと、私が太ったせい。」
とおっしゃっていた。
彼女は自分のスタイルを持っていらっしゃる方だ。
もちろん、気候のせいもあるのだろうが
心身的な理由もあるのか
もしかしたら趣味趣向が変わったのか
いろいろ探りながら
彼女が好きそうなコーディネートをお勧めしていた。
そして、いろいろ渋る彼女を
「試着をしてみたら、想像が浮かぶかもしれないから、いろいろ試着をしてみましょう。」
と、お誘いし
とりあえず試着をしていただいた時に気がついた。
彼女は以前ブルーやグレーといった
アイス系のカラーがとても似合っていて
本人もそういった色を好んで着ていたのだが
なぜか以前よりもそれ系の色を着たときの顔映りがよくない。
その事により、私は彼女の本質に気づいた。
そして、今まで着たことがないであろう
とっても鮮やかな真っ赤なギンガムチェックのネルシャツと
同じく真っ赤なパーカーを私は彼女にお勧めした。
もちろん、着たことがない色だ。
「私、こんな色着たことがない」
と言って渋っていたのを
「着たら分かるから着てみて下さい」
と、とりあえず試着して頂けるよう誘導した。
そして私の読みは当たった。
めちゃくちゃ顔映りがいい。
お客様の顔つきも明らかに迷いから
「これだ」
といった明るい顔つきに変わった。
そして聞いた。
「髪の毛のカラーだいぶん落ちていてはじめは気づかなかったんですが、美容院に行った時にレッドかピンク系の色入れましたよね?」
すると彼女は
「そういえばいつも担当の方にお任せしていているのだけど、今回ちょっと色変えときますねって言わたわ」
そうだ。最後にお会いした夏の時
彼女はブルーよりのパープル系のアッシュを入れていた。
それを完全にお任せされている
担当の美容師さんは秋のシーズンに合わせて
今流行のピンクアッシュに変えていたのだ。
それを説明した際に
「私もこんな色、似合うのね」
と、嬉しそうにおっしゃったお客様を見ていると
こちらも嬉しくなる。
「そうですね。○○様のお肌のお色ですと、こういう暖色系もよくお似合いになられますよ。担当の美容師さんもきっとそれが分かるから、ピンクのお色を入れたんでしょうね」
と私は答えた。
そして彼女は、その真っ赤なギンガムチェックのシャツとパーカー、そしてそれに合うパンツをお選びになられた。
「本当にありがとう。あなたに相談してよかった。また来るわね」
そう言ってもらえ、何だか憑き物が取れたかのように
晴れ晴れとしたお客様の顔を見ると
本当にこの仕事をしていてよかったと思う。
そしてもっともっと勉強をして
更に素敵なアパレル販売員になりたいと思った。
あ~辞められないなぁ、この仕事。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?