エッセイ 『思い出のサンフランシスコ』
あなたが、今までいった海外の街で、一番お気に入りはどこですか。
私は、ここです。
そう、サンフランシスコです。
２回、行きました。親友がサンフランシスコに住んでいたからです。その彼
は、今、リタイアして、同じカリフォルニア州のパームスプリングスという
お金持ちが住む砂漠のリゾートで、温水プール付きの家に住んでいます。ア
メリカの市民権を取って、今は日本人ではなくアメリカ人です。
その親友がサンフランシスコに居た頃は、彼はツインピークスという絶景ス
ポットに住んでいました。まるで双子のようにそびえる丘は、サンフランシ
スコ市内でも最も標高の高い場所です。眼下にはダウンタウンや高層ビル
群、そして遠くには港と、サンフランシスコの美しい景色を丸ごと楽しめる
のがうれしいところです。ちなみに、ツインピークスを訪れるなら、断然、
夜がおすすめです。
彼は、ダウンタウンの中心地にある「ユニオンスクエア」で美容院を経営していました。渡米して美容師のライセンスを取りました。（ただし、２回試験に落ちて、３回目で合格しました。実技は問題なかったそうですが、筆記試験が英語の関係で難しかったようです。）そのユニオンスクエアには、ホテルやショッピングセンターが立ち並んでいます。私が行った時には、美容院のお客さんが来ていて忙しかったので、「一人でその辺を観光してきて！」と言われました。それで、サンフランシスコ・ケーブルカーに乗って観光することにしました。
お天気が良くて、空気が乾いていて、空が青くて、風が爽やかに吹いてい
て、気持ちの良い日でした。
サンフランシスコの顔ともいえるケーブルカーは、１８７３年の開業以来、
長きにわたって市民の足として活躍し続けています。
急斜面の坂道を行く赤いケーブルカーに飛び乗って、車内のポールに捕まっ
て、外の景色を眺めていると、次々に通りを歩く人が飛び乗って来て、楽し
かったです。レトロな外観や内装も観光気分を盛り上げてくれました。
狭い通りの先に植え込まれた植物で作られた幾何学模様の小さな庭がところ
どころにあり、とても印象的で、なんて絵になる街だろうと思いました。
ケーブルカーの終点で降りて、しばらく歩くとサンフランシスコ海事国立史跡公園があり、市民の憩いの場になっています。そこの博物館に、太平洋単
独無寄港横断航海を達成した堀江謙一さんのヨット「マーメイド号」が展示
されていました。知っていたものの実物は初めて見ました。そこで、しばら
く感慨にふけりました。
そのサンフランシスコ海事国立史跡公園からは、手を伸ばせば届きそうな距
離にゴールデン・ゲイト・ブリッジを見ることができます。そこに桟橋のよ
うなものがあって、そこでゴールデン・ゲイト・ブリッジを眺めていると、
大きなペリカンが欄干に飛んで来て、観光客にエサをねだっていました。翼
を広げると2m位あったので、エサをねだられた子供が逃げ回っていました。
友達とフィッシャーマンズ・ワーフにも行きました。19世紀後半のゴールド
ラッシュでサンフランシスコが発展したのを機に栄えた港で、美味しいシー
フードが味わえる場所として世界中の人々に知られています。サンフランシ
スコの定番ともいえる酸味の強いサワードゥというパンをくり抜いてボウル
にした中に入ったクラムチャウダーがすごく美味しかったです。そのサワー
ドゥのパンがとても美味しかったので、パン好きの妻へのお土産として、帰
りにサンフランシスコ空港で数個買ったことを覚えています。
フィッシャーマンズ・ワーフでは、貝殻にのった生牡蠣にレモン汁を絞って
食べました。美味しかったです。でも、仙台で食べたものの方がもっと美味
しかったです。さすが、Japan!
フィッシャーマンズ・ワーフの近くにあって、1852年、イタリアからの移民
であったドミンゴ・ギラデリによって創設されたチョコレートカンパニーが
Ghirardelli（ギラデリ）です。現在はスイスのリンツ＆シュプルングリーの子会社となっていますが、ギラデリのチョコレートは、サンフランシスコのお土産の定番中の定番として人気があります。私は、このギラデリ・チョコ
レートを関空からのロスアンジェルス便で機内食と一緒に出されて食べまし
た。とても美味しかったので、これも妻のお土産にたくさん買いました。
サンフランシスコは、どこを切り取っても絵になるようなフォトジェニック
な街です。ゴールデン・ゲート・ブリッジをはじめとする観光名所が多く、
自然との調和が美しいのも魅力の一つです。港町特有のグルメやショッピン
グを楽しめるのはもちろん、博物館や美術館といった文化施設や自然豊かな
公園も充実しており、自分のスタイルに合ったプランで観光を楽しめます。
トニー・ベネットの「思い出のサンフランシスコ」を聴くたびにサンフラン
シスコの風景や街並み、ゴールデン・ゲイト・ブリッジなどの光景が目に浮
かびます。
以上、私の「思い出のサンフランシスコ」でした。