合気道の護身術としての有効性について考えるための動画
私が習った合気道は、道場長が戦前の植芝盛平翁の内弟子であったため、それ自体が、いわゆる実戦的な荒っぽい合気道でした。そのため合気会本部でも私が所属していた道場は、「地獄道場」と呼ばれ一目を置かれていました。
その道場開設の際に掲載した新聞広告には、以下のような一文が書かれていました。
『女性の方々には是非共斯道を習得して頂き、一たび暴漢等に襲われた際には、撃退又は逮捕するといった明るい町づくりの為、一人でも多くの方に防犯に御協力願えれば此の上もない幸いに存ずるものでございます』
いかに護身術としての合気道が重要視されていたかがわかります。
そこで、合気道の護身術としての有効性について考えるための一助として、動画をアップしようと思いました。
しかし、合気道といっても、いろいろな流派があります。私が稽古していた「地獄道場」と呼ばれた実戦的で荒っぽい道場は、道場長が亡くなったと同時に失くなってしまいました。そこで、その合気道に近く、また現在も存在しているものとして「富木流合気道」を取り挙げることにしました。因みに、富木流合気道の創始者である富木謙治先生と道場長は、同じく植芝盛平翁の内弟子であり、また道場長と富木先生の奥様が同郷ということもあって親しい間柄でした。
以下、富木流合気道の護身術的な技の動画をアップしますので、合気道の護身術としての有効性を考える一助にしていただければ幸いです。
特に、富木流合気道には、他の流派にはない「護身の形」というものがあります。この点からも富木流が護身術に重点をおいていることがわかります。私が習った合気道の先生も富木先生も合気道の護身術としての有効性を追求された点に共通するものを感じます。
古流の形(護身の形)は、富木先生とその高弟大庭英雄先生によって、「真剣勝負の形」として形成され、また富木先生の合気道の奥義を示す代表的な形でもあります。
護身とはどこから攻撃されてもこれを防御して身を守ることですから、多様な防御形態、多様な方法での攻撃に対応した稽古をすることによってはじめてこれが実現します。富木先生はこの形をいわば真剣勝負の形として非常に重視し、門人に研究することを求めました。
以上のような点にも留意されて、動画をご覧いただくことによって合気道の護身術としての有効性についてより深く考えることができるのではないかと思います。